テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する



「ボ……………ッッッロ」

大家が隣にいるのも忘れてうっかり本音を漏らしてしまった。

俺、只野もぶ夫(28)――五日前にリストラされ、住んでたマンションの家賃も払えなくなり、不動産を回りに回って家賃激安物件を見つけた。

それがこの目の前のアパートなんだけど……。オイふざけんな写真と全然違うじゃないか!真昼間なのに幽霊でてきそうなんだけど!

人が住むところじゃないだろ!どっかの物件は契約すればもれなく橋本◯奈が付いてくる⭐︎って宣伝してたのに、ここは幽霊が憑いてきます⭐︎って?バカヤロー!

「只野さんの部屋は202号ね。はい鍵どうぞ」

「はあ。あ、あのここって俺の他に誰か住んでるんですか?」

「201は学生さんが住んでるよ」

優しくていい子だよと大家が付け足し帰っていく。

とりあえず隣人がまともな子でよかった。ホッと息をつき、ショルダーバックを肩にかけ直して部屋に向かった。

建てつけ悪い扉を開けて中に入る。家賃激安の割には広いほう。天井に雨漏りのシミもなくて安心した。

荷物片付けたら寝具買いに行くか。あとカーテンと今日の飯。隣学生だけど挨拶は一応しとくべきだよな。粗品はまあタオルでいっか。

――ダンッ!

「え」

入居してから1分足らずでもう隣から壁叩かれたんだけど。

まさか粗品タオルが気に入らなかった?いやそんなわけないだろあれは俺の心の声なんだから。

まさか心の声も筒抜けてしまうくらいここは壁薄いのか。そんな馬鹿なと苦笑を浮かべ、荷物の片付けに戻ろうとしたとき。

『んあッ!』

今度は甲高い声が響いてきた。

『アッ、う!』

しかも続けて。

学生だしAV観ながら抜くのは分かる。俺は今でもやってるし。でもその声はテレビやスマホの機械から響いたものじゃない。生の喘ぎだ。

つまりお隣の学生さんがこの壁のすぐ向こうでセックスしてる。

『アぁあッ、んっ、ッ!♡♡』

あっちは俺が引っ越してきたって知らない。隣に誰もいないと思い、喘ぎがヒートアップしてきた。

ギッ、ダンダンダンダン!

薄い壁に腰打ちつけんな布団でやれよッ。

とてもじゃないが片付けに集中できない。早いとこ買い物行って隣に粗品を渡して抑制してもらおう。

買い物から帰ったころには流石にエッチも終わってるだろ。

3時間後。

粗品のタオルを持って201号室の扉をノックする。一回じゃ出てこなくてもう一度叩けば、ドタバタと中から忙しい足音が玄関に迫ってきた。

「ハァ、ハァッ………はぃ」

火照った顔を覗かせた珍しい頭色をした青年。呼吸を乱し、瞳はとろんと微かに潤んでる。

ヨレヨレのTシャツの首元から見えている無数の赤い痕。目線を下げるとズボンを履いてない。下着から覗く白い足にも痕がいっぱい。

しかも今にも膝が崩れ落ちそうにプルプルしている。

え、ちょっと待って。

まさかあの声彼なの?

男からあんなどエロい声って出るの?

いや、もしかしたら超肉食の彼女につけられた痕かもしれ――

「ほーら桜ぁ。これ以上焚石待たせたら今日寝かせてもらえねーぞ?」

「ちょ……ッ」

サクラと呼ばれた彼を呼びにきた上半身裸の男がサクラ君を背中から抱き締め、目の前に俺がいるのに首筋にちゅっちゅっとキスをする。

腕や首や胸元の大量の刺青に俺のタマが縮こまる。

「――で。なんの用?」

顔を上げた男がサクラ君を呼びにきたときとは全然違う声音を俺に向ける。ナイフで刺すような視線に背中が震えあがった。

「きょきょッ…今日から隣に引っ越してきまして…それでこれつまらない物ですが…ッ」

とても言えない。

セックスの声を抑えてほしいなんて!

「丁度いいや。壁とか床に飛び散った精液拭くのに使わせてもらうわ〜」

「なッ…棪堂ッッ!」

バタンッ!

俺の手からさっさと粗品を引き抜いたエンドウという失礼な男に扉を閉められた。

閉められる前に見えたサクラ君の真っ赤な顔と。――内腿を伝った白くドロッとしたもの。

放心したまま部屋に戻る。

飯食って、風呂入って、買ったばかりの布団に横たわって好きなAV女優の動画を鑑賞。彼女の太ももから滴る白濁を見て、サクラ君から伝っていたものは精液だと放心状態から醒めた。

すると。

『ンアァア――ッ!』

悲鳴のような喘ぎが響いてきた。

『たき、ぃし、ッ!やらぁっ!声でッ…!となりに聞こえ、からッ…あぁあッ!お、願ッ、も、ゆっく、りぃ、ゔぁああッ♡♡!』

ダンダンダンダンダンダンダンダンッ!

違う男の名前。

タキイシと呼ばれた男のピストンの激しさが音で分かる。これじゃあサクラ君もぐったりするわけだ。

さっきのサクラ君の疲れ切った顔が頭に浮かぶ。

薄く開いた口から漏れる乱れた吐息。色気を宿した潤んだオッドアイ――

「ッ………?!」

ずくんと下半身に重みを感じて慌てて上半身を起こした。部屋着の短パンの中央部が膨張していて前髪を掻きむしる。

違う。これはさっきまで動画見てたからだ。

あと引っ越し初日で疲れてるせい。

さっさと処理して寝よう。

短パンを膝までずり下ろせば、下着の真ん中が我慢汁でシミになっていた。

ティッシュ買い忘れたなぁ。

まあ後で手洗えばいっかと、停止していた動画を再生する。

《あんあんっ!ああん!アッ『〜〜〜ひぁゔッッ!!♡♡』

一瞬どっちの喘ぎか分からなかった。

『とま゛ッ、ぁあッ!♡♡ イっらぁあッ!も、ずゅっとイ、ッてりゅ、かりゃああ!♡♡』

動画は一時停止した。

聞こえてくるのは隣から。

呂律ぐちゃぐちゃなサクラ君の声に、俺の尿口からぷくっと新たにカウパーが滴る。

おい嘘だろッ!

普通男の喘ぎ声聞いたら萎えるだろ!俺はゲイじゃないんだしッ。

『言われたとおり止まってやってんのに腰振ってんのはお前だろ桜♡♡』

これは無礼な奴エンドウの声。

『〜〜ぉあ゛ッ!あっ!ふっれなぃッ!♡』

『つうか桜もう声我慢する気ねぇだろ♡ 隣の奴いかにも童貞っぽかったし、オレのエッチな声おかずにオナニーしていいよって言ってやれよ♡』

聞こえてるんだよクソガキッ!

パンパンパンパンッ!くちゅぐちゅッ!パンパンパンパンパンパンッ!

すぐ近くから聞こえる激しい肉のぶつかり合う音に俺の手が勝手に動かされる。血管が浮きでた陰茎を先端から根元まで、ふしだらな音に合わせて扱く。

『あぉ゛ッ!やぁあッ!そんな、おぐッ、きたら、声とまら、なッ、ぁあッ!ぉぐッ!♡ ぁああッ!あッ♡♡』

「ぁ、く………」

なんだこれ。

いつもより興奮してちんこ破裂しそう。

パンパンッ!パンパンパンパン!ズュッ!ブッ!

『激ッ!やあッ♡♡ けつこわれぇッ!るうッ!や、や、あぁあッ♡ またでッ、あぁあッ――!!♡♡』

あ、この声。

サクラ君射精イッて……。

「ッ〜〜〜〜!!」

俺も全身を震わせて買ったばかりの布団に精液飛ばした。こんなに射精だしたのいつぶりだ。ティッシュ持ってないのに。

ドンッ!

賢者タイムに浸ろうとしたら玄関の扉が思いきり叩かれた。エンドウか?いや隣から声がするから違う。

急いでパンツとズボンを上げて手を洗い、玄関の戸を開けた。

「返す」

目が怖い派手な赤髪の青年がそれ以外一言も発さず、俺がサクラ君に渡した粗品を返品して201の部屋に帰っていった。

あの目に全て見透かされたようで、俺の顔色が赤面と青ざめが混ざって赤紫に変色する。

やっと顔色が落ち着いて部屋に戻ったとき、新品の布団が乾いた精液でカピカピになっていた。

俺、只野モブ夫(28)――会社をリストラされて只今ニートだ。昼飯食いながらスーパーから持って帰った求人誌で職探しをしていたとき。

ブブーッ。

訪問ブザーが鳴った。

玄関の戸を開けると真っ先に白黒頭が目に入った。お隣さんのサクラ君の訪問に口から心臓が出そうになった。

何故なら俺は、引っ越し当日に彼が恋人とセックスしてる声を聞いて抜いてしまったんだから。

それだけ聞くと彼女さんの喘ぎと思うだろうがそうじゃない。サクラ君の恋人は二人いて、どちらも男だ。そしてサクラ君は抱かれる側。

つまり俺はサクラ君男の喘ぎ声に興奮してマスターベーションをしてしまったのデス。

本人目の前にするのが超絶気まずい……過去に彼女と外食したとき隣の席に元カノがいたとき以上に気まずい!

相手は高校生。もし俺がやったことがバレてそれを言いにきたのなら――

「え、棪堂が……あんたが、オレたちがヤってるの聞きながら一人でオ、オナニーしてるって言ってて……ッ」

あ、悪い母さん。俺牢屋行くわ。

「今、棪堂も焚石もいないし……うるさくしてる詫びにっ……オナニー手伝う……」

勢いよく頭下げて謝罪しかけた顔をゆっくり上げた。この子、今なんて仰いました?俺の聞き間違いじゃなければオナニー手伝うって。

混乱で硬直してる俺の前を横切ってサクラ君が家の中に入って玄関の戸を締めた。「お、お邪魔します」って靴を脱いで奥の畳部屋に移動する。

犯罪級にやばい状況なのに身体が言うことを効かないのはどうして。足が勝手に動いてサクラ君のあとを追う。

「ッ…二人に朝出されたのが、まだ中に残ってるから……オレが掻き出すの見て、抜いていいぞ……っ」

「ッッッ!」

気づいたら布団の上で正座している俺の前でサクラ君が赤くなりながら制服のズボンを下ろす。恋人がつけたのだろう赤い痕が太腿に散らばっている。

なんてエッロい脚なんだ……っじゃねぇだろ俺!早く辞めさせないと明日のニュースに晒される羽目に!

「サッ…クラ…く」

やっと声が出た。そのときには既にサクラ君はボクサーパンツを脱いでしまっていた。

恥ずかしそうにぎゅっと瞼を閉じ、俺にがっつり見えるように開脚する。ふにゃんと萎えたサクラ君のペニス。そこからゆっくり目線を下ろせば、尻穴からこぼれでた精液が畳に滴る。

どすけべな絵面を前に、せっかく出た声が引っ込んでしまい。喉に溜まった唾をごくりと飲んだ。

「…っ、床汚れたら悪いから…このタオル敷いてもいい、か…?」

言いながらサクラ君が取ったのは、引っ越し挨拶で渡して彼の恋人に返品された粗品のタオル。

壊れた機械みたいにギギギッと頷くとサクラ君が尻の下にタオルを敷く。そして中指を尻穴にゆっくり挿入していく。

「んっ…」

「……ッッ」

男とは思えないかわいい声。抽挿する指に中出しされた二人分の精液がとろりと割れ目を伝う。

フーッフーッと無意識に鼻息が荒くなってることに俺は気づいてない。ずんと重みを増した股間を見下ろすと、そこはもうビッグテントを張っていた。

チクショウ…ッ!

自分の理性の弱さに心で悪態吐く。ウエストゴムに指を引っ掛けて、反り勃つペニスを外に晒すとサクラ君が「デケェ…ッ」と熱のこもった声を漏らす。

色気含んだ瞳に凝視され、尿口に溜まっていた我慢汁が陰茎に流れる。

「っ、は、あ……」

我慢汁纏ったちんこを扱く。サクラ君も俺のオナニー見ながら精液を掻き出し、空いた手で勃ちあがったペニスを扱く。

狭い部屋に俺たちの吐息と淫猥な粘着音。このどエロい空間が、ほんのわずかに残ってた俺の理性を粉砕し、

「んな、ッ…!?」

高校生を押し倒す犯罪者へと堕とす。

俺に組み敷かれたサクラ君が驚いて目を見開く。それにすら興奮してペニスがまた膨張する。

据え膳食わぬは男の恥。こんな美味しそうな穴が目の前にあるのに挿入いれない男は漢じゃない。

ぬるぬるな尻穴を先端で撫でる。欲しそうにヒクつくそこが、宛てがった先っぽをヌプッと呑み込んだ。

「や、だ…ッ!浮気になッ、あぁあ―――ッ!」



と、いう夢を見た。



鑑賞するAVの九割が無理矢理系なほど強姦ネタが好きだってことは認める。が、お隣さんの高校生を犯す夢で夢精するほど俺はイカれてない。

パンツを洗い、顔も洗う。拭こうとしたタオルは夢で使用された粗品のもの。映像が鮮明に蘇り、罪悪感で使えなかった。

入居する前からあった畳のシミが夢で吐き出したあらゆる体液に見え、壁に頭突きして頭を醒ます。お隣さんに迷惑……どころか、あの程度の騒音なんて聞こえないさ。

ダンッ!ドンッ!ダンダンッ!

『ンァ、ちょっ…!や、めっ!』

平日の朝っぱらから盛り上がってるんだから。

引っ越してから毎日のようにセックスサウンド聴かされてたらそりゃあんな夢見ますよ!男の子だもん!

『こら逃げんなよ桜♡ 罰ゲームなんだからさ』

『だからってそんなのッ……せ、せめて学校帰ってからっ』

『それだと罰ゲームにならないだろ』

『んッ、あ!』

壁際で話してるせいで三人の声が丸聞こえ。罰ゲームより勉強しろ勉強。

隣からの甘ったるい声にはああと溜息吐く。俺の息子が反応してしまう前にできるだけ壁から離れる。

そういえば今日はゴミの日だ。ゴミ箱から袋を引っこ抜き、ここから逃げるように家を出た。

「にゃあん」

「んにゃー」

ゴミ捨て場前の塀で猫がお互いの身体をすり寄せている。外でもイチャイチャ見せつけんなちくしょー!

ゴミを叩き捨てたとき目の端に見えた人影。不審と思われないために笑顔を繕って挨拶する。

「おはようございま゛」

「っ………ど、も」

まさかのサクラ君に声が裏返ってしまった。でもサクラ君は気づいてなく、どこか気まずそうに目を逸らしながら頭を軽く下げた。

肌が赤らんでる。さっきまでセックスしてたから。身体も怠そうで歩き方がなんだかぎこちない。

俺を横切ったとき乱れた吐息が耳をかすった……。


《っは、ぁ!はっ!あぁあッ!やらぁッ!浮気ちんこ抜いッ、んあぁあッ!》


思い出すな俺ェエエ――ッ!!

塀に頭ぶつけたいけどそれこそ不審者だ。部屋に帰ってシャワーで頭冷まそうと踝を返したとき。

「〜〜ゔッ!…くぁ…ッ!」

「え、だ、大丈夫?!」

突然サクラ君が膝を崩して身体をよろけさせる。倒れると思って咄嗟にサクラ君の肩を支えてしまった。

丸く見開いた瞳が俺を見上げる。宝石みたいな綺麗な瞳をくらりと左右に揺らし、ますます肌色を赤く染まらせた。

「っ、へー…き…」

「そ、そっか。よ、かったデス…っ」

何で片言。何で敬語。何で俺まで顔熱くなってんの!

ふわり。ふと香ってきたシャンプーかボディソープの匂い。覗いた鎖骨に汗の粒。制服の上から伝わるサクラ君の体温に、喉仏が上下に動いた――

「そろそろうちの桜返してくれねぇかお兄さ〜〜ん?」

「ヒッ?!?!」

刃物のような視線。ポンッと俺の肩に手を乗せた例の無礼な男、エンドウに悲鳴を上げてしまう。

恐怖に震える俺の腕からあの目が怖いタキイシがサクラ君を引き剥がして抱き上げる。息の上がったサクラ君が彼の胸に身体を傾ける。

「ッ、焚石ぃ……も、抜い、て…」

「ん。部屋でな」

タキイシがサクラ君の前髪にキスをして俺の前を通り過ぎる。

「あの様子じゃ学校行くのは無理だなあ。ま、はなから行かすつもりなんかなかったけど♡」

独り言なのか、それとも俺に話してるのか。どちらにしろエンドウの語りかけに冷や汗が止まらない。

エンドウが添えるだけだった手を俺の肩に回して、口角上げた顔を覗かせてきた。

「今からセックスするからオナニーしていいぜ?さっき桜を支えてくれた礼だ。――だが、次からは有料な?」

この男、イカれてる。

でも、遠退く足音を背中に聞きながら早く職探そうと考えた俺はそれ以上にイカれてた。

(今貯金いくらぐらいあったっけ………)



メモ (閲覧禁止)

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚