こんにちはっ
今回はひろぱ✖️りょうちゃんです!
お花屋さんパロです!(?)
どうぞ!
ひろぱ目線
「別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。花は毎年必ず咲きます。」
昔、どこかで見たのか聞いたのか。
ふと、そんな言葉が思い浮かぶ。
パチ、パチ、と枯れた部分を切り、また元の場所に花を戻す。
なんでもこまめに切って手入れをしてやらないとすぐだめになってしまう、と店長が言っていた。
こういう作業は案外嫌いじゃない。一人で同じ作業を繰り返すというのは自然と心が落ち着く。
ふと窓の外を見ると、木々は華やかに赤、黄、と彩られ、空は見事な秋晴れだった。うろこ雲がぷかぷかと浮かぶのをじっと眺める。
少しの間ぼーっとしていると、金木犀の香りが鼻を擽る。うっとりとしてしまうその甘い香りに、思わず目を細める。
あと何回、こうしていられるだろうか。
そんなことを考えていると、店長が外から戻ってきて、
「はいはーい、若井くん。手も動かそうね〜」
「あ、すみません。…金木犀、良い香りっすね」
そう言うと、店長はにっこりと微笑んで
「そうね〜、これぞ秋!ってかんじよね〜」
「あ、そうだっ」
なにやら忙しなく裏の方へ行ったかと思うと、小さいメモ用紙を手に取り戻ってきた。
あれ、いつも注文聞く時に使ってるやつだよな…
「ちょっと若井くんにお願いしたいことがあって。」
そう言うと、そのメモ用紙を俺に渡してきた。
「今日ちょっとどうしても外せない用事があって。…このお客様なんだけど、若井くんがお花を見繕ってブーケにして差し上げてくれない?」
「えっ、俺がですか?」
「そう!若井くんいつもおしゃれだし。色彩感覚もきっと抜群だと思うのよね〜」
そこまで言われて悪い気はしなかった。
「俺でいいなら、、やってみます。」
「ありがと〜!じゃ、よろしくね!」
そう言うと店長はまた、外に作業へ出てしまった。
えっと…、お名前は、、
「フジサワさん…午後2時に予約、」
よし。
やったことはないけれど、店長が花をブーケにしているのは何度も見たことがある。少し緊張するけど、見よう見まねでやってみよう。
初めてのアレンジメントに、自然と心が高鳴った。
カランコロン。
ドアを開ける音がする。
「…こんにちはぁ〜、2時に予約した、藤沢です。」
あぁ、もうこんな時間か。
「お待ちしてました。今日はどんなお花をご希望ですか?」
「えっと…、友達に送りたくて。今度、ピアノの演奏会にゲストとして出るみたいで。」
「…へぇ、すごいですね。色のご希望などございますか?」
「うーん、、どうしよう。秋だから、優しい感じの色味になったらいいなって思ってて、」
「優しい感じ…、あっ、花言葉から選んで見るのはどうですか?今ちょうどいいの、あったと思います。」
「それいいですね!見せていただいてもいいですか?」
「はい…!少々お待ちください!」
「今お作りできるものですと、カーネーション、トルコキキョウ、カスミソウとかですね。」
「えっと…、花言葉って」
「左から、感謝、よき語らい、幸福ですね」
「…すごくいいですね!じゃあそんなかんじでおねがいします!」
「かしこまりました。では、お包みさせていただきますね。」
店長みたいに上手くできた自信はないけれど、まあ初めてにしてはいい感じになったと思う。
喜んでもらえるかな…。
少し不安になりながらも藤沢さんにできたものを渡しに行く。
「わあ…!すごくきれい!」
「ご希望に添えたならよかったです。」
カランコロン。
「今日はありがとうございました。」
「こちらこそ、またよければいらして下さい。」
上手くできただろうか…。
緊張もあったけれど、不思議と今はとても清々しくて、心があったかい。
藤沢さん、すごくいい人だったなぁ。
あの、優しい笑顔を思い出すと、自然と笑みが溢れた。
もちろん花に囲まれた姿がとても似合っていたけれど、どちらかというと、彼自身が花のような、そんな人だった。
「…また、会えるかな。」
小さな独り言が、秋の空に静かに溶けていく。
あれから藤沢さんは、よく店に来てくれるようになった。
話していくうちにだんだんと仲良くなり、
俺の三つ上であること、
動物が大好きで、オカメインコを飼っていること、
お友達と同じく、ピアノを大学で勉強していること、
など、初めよりだいぶ知った仲になった。
「んー、今日は、、あっちのお花にしよっかな。家に飾ったらよさそう。」
「あ、いいですね。向こうで包んできますね。」
「あ、おねがいしまぁーすっ」
今日も、かわいいなぁ。
そう、俺は。
いつからか、藤沢さんのことを”かわいい”と思うようになった。
これが恋なのかと言われたら、よく分からないけれど。(そもそも男性だし、、)
ただ、藤沢さんが来た時は、、なんていうか、とても胸が高鳴った。
今は頻繁に会えるのが楽しみで、次はいつくるかな、なんて考えてしまう。
でも、そんなことを思うたびに、同時に一つの事が頭を過ぎる。
いつまで、この日々が続くだろうか。
半年前に医者に言われた、病気であると。
そしてもうあまり、長くはないこと。
病名を聞いた時は、まさか自分がそうなるなんて思いもしなかったけど。
今ではなんとなく、少しずつ受け入れ始める自分がいた。
「ありがとうございました〜。」
はぁ…。なんだか今日は気分が上がらない。
曇り空に呼応するように、心もどんよりとしていく。
藤沢さんと出会った頃には、カラフルに色づいていた木々の葉も、今はすっかり枯れ落ちてしまっている。
細く残った枝がまるで自身の体のようで、少し切なくなる。
どうにもならない寂しさを紛らわすように、淡々と花の茎を切っては元の場所に戻し、作業をする。
少しでも、長くつづくようにと。
あとがき(まだ続くけど…)
どうでしたか…?
なんか思ったより切ない感じになっちゃった。。
そして、、今回の話はちょっと長くなっちゃいそう…!
どうしよう!!
あの、どうか見捨てずに読んであげてください。
それでは…!!
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