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大好きです今回も😭😭💘💘 レントリーと白昼夢の恋人がだいすきですいちばん;;;;
うちが好きなのはレントリリーとあったかい眼差しです!レントリリーはうちがはみぃさんを知った作品ですしあったかい眼差しは初々しい桃くんがかわいくて好きなんです!!
“レモネード”
桃赤
青赤
ヒーロー。
彼は俺にとってそんな眩しい存在だった。
―――
少し冷たい風が頬を撫で、真っ赤に染まったもみじがはらりと寂しげに地面に落ちていく。
「ゆ~びんやさーん、ゆ~びんやさーん、ハガキが10枚おちました~♪♪ひろってあげましょ、」
小学校の中庭で同じクラスメイトが放課後、長縄で遊んでいた。
縄が大きくまわる度に、クラスメイト達の楽しそうな笑い声が聞こえる。
「ほら、赤行くぞ」
「お、俺はいいっ….桃ちゃんだけで行ってきなよ….」
「おまえなぁ….」
当時から人見知りだった俺は、桃くん以外の人との関わり方がよく分からなくて皆の中に入っていけなかった。
もみじの木の陰にくっついていると、桃くんに手を引かれて強制的に皆の前に連れられる。
抵抗するも、俺の手をグイグイ引く彼は、お構い無しにクラスメイト達に声を掛けた。
「なー、俺達もいれてくんね?」
俺が居るのに気がついて顔を見合わせるクラスメイト達。
「いーけど、赤くんとべなくない?」
「俺が一緒にとぶから大丈夫。な、赤?」
桃くんに笑いかけられ、俯き自分の服の裾を握りながら小さく頷く。
「じゃ、いいよ〜」
「赤くん!今日は楽しかった!またねやろーね!!」
「!!うんっ!」
燃えるような夕焼けになり、ニコニコと手を振ってくれるクラスメイト達に嬉しくなって手を振り返していると、桃くんが俺の頭にポンッと手を置いた。
「ほら赤、楽しかっただろ?」
「うん….楽しかった」
顔をほころばせると桃くんも満足そうな顔をしてそのまま俺の頭をわしゃわしゃ撫でた。
「ちょっ、やめてよ!!」
「www」
校庭の木々が風を受けて鮮やかな緑色をキラキラと揺らす放課後。
「ほら、取れるもんならとってみろ!」
「かえしてよっ!!」
小学生のとき俺はよく1部の男子に虐められていて、その日も桃くんに誕生日に貰った犬のキーホルダーを取られて必死に抵抗していた。
「男のくせにこんな女子みたいなキーホルダーつけてやんのw」
「やだっ….ふぇっ、ぐすっ」
「うわwまた赤が泣いた~!!なきむし!!」
「ちょっと男子やめなさいよ!!先生~!また男子が赤くんいじめてる!!」
クラスの女子はよく庇ってくれたが、年頃の小学生はやっぱり生意気で言うことを聞かない。
「ねぇ、なにしてんの」
「うげっ….桃」
すると、俺のキーホルダーを掲げた男子がギョッとして振り返った。
その視線の先には、怖い顔した桃くんが。
「それ、俺が赤にあげたやつなんだけど?」
「っ….」
「返してくんない?」
それはそれは、もう目の前の男子達を怯ませるのには十分の圧で。
男子達は桃くんに犬のキーホルダーを押し付けると、逃げるように教室を出ていってしまった。
「ほれ、赤」
「桃ちゃ….」
蹲って泣いている俺に前に彼はしゃがみこみ、手のひらにキーホルダーを握らせる。
「こういう時は俺を呼べっていつも言ってるだろ?」
「ぅん….ぐすっ」
「あ〜も〜、取り返してやったんだからもう泣くな」
桃くんはまだ泣きじゃくる俺を抱き寄せて背中を摩ってくれる。
泣くな、と呆れつつも泣き止むまでは必ずそばに居てくれるところはほんとに優しい。
「….帰ろ」
そうやっていつも俺の手を引いてくれた。
俺がピンチなときはいつもヒーローみたいに現れて、助けくれる。
憧れで、大好きでずっとその背中を追いかけていた。
彼にとっての俺はただの幼馴染に過ぎなくても、俺にとっては眩しいくらい大きな存在だった。
俺に笑いかけてくれる度に胸が締め付けられるのに、怖いくらい幸せで彼に抱いた憧れも、直ぐに恋心に変わっていった。
…初恋だった。
度胸も勇気もない俺は、彼に自分が釣り合わないなんて承知の上で、気持ちを伝える気はなかったし、幼なじみとして傍に居られれば十分だった。
傍に居られれば….そんな思いすら傲慢だったのかもしれない。
―――
洗って乾かしたばかりのユニフォームを畳んでいると、何やら女子達の叫び声がして顔を上げた。
「きゃーーー!!桃先輩かっこいい!!」
合服を身にまとった女子達が、目をハートにさせてサッカー部の試合を見ている。
もちろん1番の注目はエースの桃くん。
彼は同じチームの人からボールのパスを受けて、颯爽とゴールに向かっていく。
「ないす桃!!」
「うぇーい」
ゴールを決めると、汗を拭って同じ仲間と無邪気に笑ってハイタッチをする。
『赤!!俺ゴール決めたの見てた?かっこよかったっしょ?』
…懐かしい
中一のときは俺とハイタッチするためだけにわざわざこちらまで来てドヤ顔で笑いかけてくれたんだっけ。
そんな事を思い出しぼーっと動き回る彼を見ていると、急に視界が真っ暗になった。
「だーれだ」
「….青ちゃん」
「くふっ、せーかい!」
振り返ると青色のフニフォームを着た青ちゃんがいたずらっぽく笑って立っていた。
「はい、お疲れ様」
「ありがとー!!」
スポーツドリンクとタオルを手渡すと彼はあちー、と呟いて汗を拭きながらごくごくと中身を半分ほど飲み干す。
白い肌に映えるクリクリした瞳と風にサラサラと靡く透き通った青髪。
そんな姿を見て、そういえば青ちゃんも随分モテるやつだったなと苦笑いする。
「赤くん、僕次試合出るから応援してよ?」
「当たり前だよ。頑張ってね」
「うん。あ、これ赤くんにあげるよ」
そう言って彼が手渡したのは学校の自動販売機に売っているマスカットのサイダー。
「これよく飲んでたじゃん」
「えっ….あ、ありがとう」
俺が驚いてお礼を言うと、青ちゃんは嬉しそうに走り去って行った。
―――
「またいるし….」
「おかえり、遅かったじゃん」
中学生になったある日。
委員会で遅くなって帰ってきた俺を、桃くんがいつも通り俺の部屋のベットに寝転んで漫画を読みながら生返事をする。
いつも寝る前に彼がこのベットに居座っていたことを毎回意識して眠れなくなってしまうのでやめて欲しいところだが。
火照る顔を抑え溜息をつきカバンをに置くと、机に部活の入部希望の紙が置いてあった。
そこにはお世辞にも綺麗とはいえない字が並んでいる。
「え、桃くんサッカー部入るの?」
思わず紙を手に取って聞く。
彼がサッカー好きでよく昼休みにプレイしていた事は知っていたからさほど驚かないけれど。
桃くんはいつの間にか漫画を読むのをやめてニヤニヤとこちらを見ていた。
「そ、だから赤も一緒に入ろ」
「いやいやいや無理だよ!!桃ちゃん俺が運動音痴なの知ってる癖に!!」
「え〜」
「それにうちの学校エスカレーター式だから高校まで続けなきゃいけないんだよ!?6年間だよ、ろ、く、年間!!」
「じゃあマネージャーとして入ってよ」
「まぁ、それなら….って、そういう問題じゃない!!」
「….ぼく、赤くんと一緒に部活入りたいなぁ….?だめ….?」
「うぐっ….//….」
必殺桃くんのショタボに頭を抱えしょうがないなぁ、と頷くと彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべ笑った。
中一の夏休みの部活。
容赦なく照りつける太陽に手をかざして目を細める。
マネージャーとして覚えなきゃいけない仕事がありすぎて頭がパンクしそうだ。
「よっ、赤」
「あ….桃ちゃん」
大きなボトルに入ったスポーツドリンクを一生懸命運んでいると、走り込みから帰ってきた桃ちゃんとばったり会った。
ボトルを持つ手がプルプルしているのに気づいたのか彼はニヤニヤして煽ってくる。
「相変わらず力ねぇのなw」
「うるさい….」
ぷいっとそっぽを向きまた歩き出そうとすると急に手元が軽くなった。
「これ、どこまで?」
「え、あ//あそこのベンチ….」
「ラジャ」
彼は軽々と片手でボトルを持ち上げると、俺の手を引いて歩いていく。
途端に触れられた手の先からぶわっと顔が暑くなった。
「お前顔赤くない?大丈夫か?」
「へっ//べ、別にそんなことないし//!!」
「ほんと?」
赤くなった顔を隠すように俯くと、心配そうに綺麗な顔で覗き込んでくるもんだからさらに顔が赤くなってしまう。
「ほんとに!暑いだけし!!」
ブンブンと顔を振る俺に桃ちゃんは笑ってまた頭にポンっと手を載せる。
「赤はすぐそーやって無茶するんだろw」
…その笑顔に、何度助けられだろう。
好きだなぁ….なんてぼんりと思っていると、彼はあっと声を上げてボトルをベンチの上に置くと、俺の手を離した。
さっき触れていた温もりを忘れないように、思わず繋がれていた方の手をもう片方の手でぎゅっと握りしめてしまう。
すると、ピタリと頬に冷たいものが当たった。
「ぴゃ、」
「ふはっw変な声w」
「うぅ//もぅ、冷たいってば!!」
いたずらっぽく笑って手渡されたのはマスカットの炭酸飲料。
「さっき飲んでみたんだけどこれめっちゃうまいんよね。だから絶対赤も好きだと思う」
「え、ぁ//」
これ….と口を開こうとすると、監督からの指示が聞こえ桃ちゃんはちゃんと水分補給しろよ、とまた俺の頭を撫でて走り去って行ってしまった。
「これ….//飲みかけ、だしっ….//」
俺は真っ赤な顔でボールを追いかける彼と、3分の2ほど入っているぬるくなったペットボトルを交互に見つめる。
その時飲んだサイダーの味は甘ったるくて口の中で弾けて….なんだか恋の味がした。
―――
また思い出してしまった。
当然飲みかけでもない新しい、彼の好きだった炭酸飲料を見つめる。
彼に強制的に入れられたサッカー部のマネージャー。
“10”そう大きく書かれた桃くんのユニフォームを手に取りそっと番号を撫でる。
このユニフォームを見る度にこんなに苦しくなるなら、マネージャーなんて辞めればいい。
でも出来なかった。
マネージャーをやめたら、彼との接点が、思い出が、彼が俺に笑いかけてくれたこともなくなってしまう気がして。
サイダーの蓋を回すと、シュワっと音がしてマスカットの匂いがした。
ゆっくりと口に含む。
「いたっ」
炭酸の強さに思わず顔を顰めてしまった。
そういえば俺、そんな炭酸強くなかったっけ。
そんな事をぼんやり考えながらもう一口、もう一口とまた口に運ぶ。
「苦い….」
思わず零れた言葉は、目の前のサッカーを練習する音にかき消される。
久しぶり飲んだマスカットのサイダーはなんだかとても苦く感じて、残してしまいそうになった。
“あなただけを見つめる”
To Be Continued….
あれ….
書けば書くほど長くなっていく….( ‘-’ )スゥゥゥ⤴︎︎︎
よく〜のお話が好き!!ってコメントくれる方いるんですけど皆さんは私のお話の中で何が1番好きですか!?
良かったら教えてくださいw