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「うわぁああ!」
あまりの恐怖で叫びながらも、教室の扉を開けて逃げた。初めて廊下を走ったなんて考える暇もなく、無我夢中で走った。
だけど、走っても走っても下へ降りる階段は見つからなくて、この廊下が永遠に続いているような気がした。廊下にいる生徒も、教室にいる生徒も、皆、ただ俺を、俺だけを見ていた。
恐怖で足が動かなくなった。そして、まるでそれを見計らったかのように、俺の首にはさっきまで教室にいたはずの首無し先生の手があった。ギリギリと首が絞められる。痛い。苦しい。呼吸が出来ない。どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう。
「ねぇ、ちょっと、お兄ちゃん。お兄ちゃんってば!!」
そんな俺を現実に引き戻してくれたのは、幼い女の声と頭を叩かれる衝撃だった。
「やっと起きた。お母さんが晩御飯出来たって、だから早くして。」
そう言ってこちらを見てくるのは高橋より4つ歳下の妹、高橋 美和だった。
「あー、うん。行く行く、行くから先行ってて。」
「それでまた二度寝して晩御飯抜きになっても知らないからね。」
はいはい、と適当に言葉をこぼした。美和は興味なさげに高橋の部屋から退出し、ご飯を食べに行った。高橋もそれに続いて部屋から出ようとしたが、先程のあの夢が脳裏に残る。考えれば考えるほど分からなくなった。生徒は皆高橋を見た。首の無い森沢先生は高橋を指さした。それも己が首を吊ってぶら下がった姿を見たあとに。
「意味わかんな…」
ベッドに体が沈み、また眠気が襲う。結局、美和が言った通り二度寝して、翌日の朝まで寝てしまい、晩飯を抜きにしたことを後悔する高橋だった。