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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#恋愛
水無月 京
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#オフィスラブ
草原草原

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毎年六月、俺と朔也は最終面接の面接官を務める。
例年通り、四年前のこの日も、俺は面接官として会議室の正面に並べられたテーブルの真ん中の椅子に腰を下ろした。
「なかなか粒ぞろいじゃないか?」
書類に目を通しつつ、隣に座る朔也が俺にチラリと視線を寄こした。
この男はプライベートでは冗談ばかり言う明朗快活な性格だけれど、いざ仕事となると人が変わったように真剣になる。
「誰か気になった人はいますか?」
全員の面接が終わったところで人事部の部長が俺に感想を求めてきた。
「みんなやる気があってフレッシュでいいと思う。特に、十五番」
「あ、香椎さんですね。彼女は真面目さが取り柄のようで……」
「採用で。内定を出しておいてください」
俺と人事部長のやり取りを聞いていた朔也が驚いて目を見張った。
「即決するなんて珍しいな」
「なんとなくだけど、彼女はうちの戦力になる気がする」
「さっきの面接はめちゃくちゃ緊張してたけどね」
たしかに朔也の言うとおり、面接での彼女は心臓が口から飛び出そうなほど緊張していて、指先が小刻みに震えていた。
その様子を思い出したのか、朔也が口元に手をやってニヤニヤと笑っている。
「香椎さんみたいなタイプは伊地知さんの好みだろうな。商品部に配属したらいいかも」
朔也の意見を聞いて俺も即座にそう思った。
そんな話をしたせいか、彼女のことは強く印象に残った。
そして翌年、商品部に配属された彼女は伊地知さんとすぐに打ち解けた。
名前を聞くたび、あのときの直感は間違っていなかったと思う。
そうして三年が経ったある日、俺が用事で商品部に立ち寄ったとき、一心不乱にパソコンの画面を見つめて仕事に打ち込む彼女の姿を見かけた。
メイクは薄めで透明感があり、上品でやさしそうで……とても綺麗だ。
社長である俺が突然声をかけたらとまどうだろうと考えて、そっと見守るしかできなかったけれど……。
なにごとにも真剣に取り組む彼女のことが、入社以来ずっと気になっていた。
「いつまで独身でいるつもりなんだ。早く身を固めろ」
ここ何年か祖父から顔を合わせるたびにそう言われ続け、口には出さないが本心ではうんざりだ。
いちいち反発する年齢ではないから、説教めいた言葉が聞こえても適当にやり過ごすようにしている。
男は結婚してこそ一人前だ、という昔ながらの考えが祖父の中にあるようで、幾度となく見合い話を持ってくるからいつも断るのに苦労する。
「朝陽、お前にピッタリな子がいるんだよ。会ってみないか? 俺はあの子がいいな。気に入ってるんだ」
また始まった。いい加減にしてくれとばかりに、俺はうなだれたまま首を横に振る。
どんなに祖父が気に入ったのだとしても、俺とその女性の間に愛が生まれなければ結婚なんて無理だ。
だが、今回はいつも以上に祖父がたいそううれしそうな顔をしていて乗り気なのが気にかかった。
「実は囲碁仲間の倫さんの孫娘なんだ。本当にやさしい子でな、この前も俺の肩を揉んでくれて」
「じいちゃん、頼むからそういうのは辞めてほしい」
なんとか見合いをさせたい祖父が俺を懐柔しようとしているのがわかって、会話を途中で遮った。
俺としてはとにかく、手当たり次第にあちこちで縁談の話をしないでもらいたい。
今度倫治さんに会うことがあったら、恥ずかしくてどんな顔をしたらいいかわからないなと頭を抱えた。
しかし祖父は俺がそう言ったところであきらめはしなかった。
コメント
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第35話、読ませていただきました! 社長である朝陽さんが、入社以来ずっと香椎さんのことを気にかけていたというのが、じんわりと心に沁みますね…。 面接のときの緊張した様子から、三年経って仕事に打ち込む姿へと視線が移っていく流れがとても自然で、彼の静かな眼差しが伝わってくるようでした。 祖父とのやりとりのもどかしさもリアルで、思わず「わかる…」と共感してしまいました。 若葉さんの描く男性視点の心理描写、すごく繊細で素敵です🌷