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「お父さん、いつもありがとう。お昼ご飯もこんなにご馳走になって」



「こちらこそ、一緒に食事できて嬉しいよ」



久しぶりに雪都を連れて実家に帰ってきた。



麗華とキチンと話をするために。



「おじいちゃん、遊ぼ」



「ああ、雪都、一緒に遊ぼうか。だけど、少しだけママとお話があるから、終わったら遊ぼう。ちょっと向こうで待っててくれるか?」



父は、膝まづいて雪都に言った。



「は~い、おじいちゃん大好き」



そう言って、父のことを抱きしめる雪都。



「おお、雪都~おじいちゃんも大好きだ」



あまりにも微笑ましい光景に目尻が下がる。



顔をしわくちゃにして笑う父、冷静沈着な社長の時の顔とは全然違う。



「雪都のこと、ありがとう。こんなに良くしてもらって……私が親孝行しないといけないのに」



「何を言うんだ。雪都を産んでくれたことが何よりの親孝行じゃないか。こちらこそお礼を言わないとな。孫がこんなにも可愛いなんて思わなかったよ。初めて……長生きしたいと思った」



「お父さんには長生きしてもらわなきゃ困るからね。お母さんもきっとそう願ってるよ」



「そうだな。家族みんな健康で仲良くいられたら、こんなに嬉しいことはない」



「うん、そうだよね」



雪都はこうやってみんなに元気を与えてくれる、みんなを笑顔にできる存在なんだね。



本当に、子どもってすごい。



保育園で、慶都さんが雪都と初めて会った日のことも、私は忘れられない。



そして、慶都さんが雪都に「パパだよ」って告げた日のことも……



目を閉じると鮮明に思い出す。



あの時の慶都さんは、珍しく緊張した面持ちだった。



『保育園の夏祭りで会ったこと、雪都は覚えてるかな?』



慶都さんの問いかけに雪都は、



『うん! 覚えてるよ。ママを大切にしなさいって』



と、元気に答えた。



『覚えててくれてありがとう。すごく嬉しいよ。雪都、よく聞いてくれ。俺は……ずっと君とは離れていたけど、本当は……』



慶都さんのドキドキが伝わってきて、私まで心臓がバクバクした。



『ねぇ、パパ? 僕のパパでしょ?』



目をキラキラさせながらそう言った雪都に、2人ともすごく驚いた。



でも次の瞬間、慶都さんは雪都を優しく見つめながら、



『ああ、そうだよ。俺は雪都のパパだ。ずっと離れていてごめんな』



って、答えてくれた。



『わ~い、やったぁ。パパだ、パパだぁ~』



こんな嬉しそうにはしゃぐ雪都、初めて見た。



本当は、ずっとパパに会いたかったんだね。



『雪……都』



慶都さんは、そう小さくつぶやきながら、目の前の我が子をギュッと抱きしめた。



抑えきれない涙がポロポロこぼれ落ち、その姿を見ていた私も……もちろん涙を我慢することはできなかった。



『パパ! ママと3人でいっぱい遊べる?』



『ああ、これからはずっと一緒だから。だから……いっぱい遊ぼうな』



胸を詰まらせながらも、慶都さんは、自分の思いを一生懸命言葉にしてくれた。

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