コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
エーフィの額の水晶がキラリと光った。
テレポートさせられる、と春翔が思った瞬間、
「ーーーお待たせ」
天から光が降り注いだ。
2人に襲いかかっていたポケモン達は四方に吹っ飛ぶ。
突如落ちてきた、何か強烈な力により。
巻き上がる粉塵の中、2人の前に現れた影に、春翔は目を見開いた。
「な、何が起こった!?」
ヨナヤは目を顰め、煙の中の人影に気付く。
「誰だ、お前…!」
「…あぁ、僕のことですか?」
徐々に煙が晴れていく。
少女も次第に、それが誰なのか分かる。
「…この子たちの『お兄ちゃん』です」
そこにいたのは、隊服のような物を着た春翔の兄、秋斗だった。
「兄貴…」
「ごめんね、遅くなっちゃって。2人とももう大丈夫だよ」
秋斗が2人の頭に手を置く。
「お兄ちゃんが守ってあげるからね」
少女は身動きが取れずにいた。
驚いたのもあるが、それだけではない。
「兄だと?ふざけやがって、家族ごっこなら他所でやれ!次から次へと邪魔ばっかしやがって…もういい、お前ら!さっさとコールだけ攫っちまえ!」
「兄貴、あいつら…」
「わかってる、大丈夫だよ」
秋斗は振り返り、ヨナヤを見た。
ヨナヤはふと、その制服に既視感を覚えた。
「…お前、まさかその制服はーーー『PBF』…特殊警察か」
ヨナヤが秋斗を睨む。秋斗はにこりと微笑む。
「さぁ、僕の家族を虐めた報いーーー受ける覚悟は出来てるかい?」
その目は、鬼のように恐ろしかった。
見た目のことではない、その奥に潜む脅威。
その場の誰もが悟る。
絶対に敵わない、と。
圧倒する気迫。
節々から感じる恐怖。
少女は思わず身構える。
…何だこのオーラは。
そこに居るだけで息をするのを忘れてしまうほどの美しさと畏怖。
秋斗の後ろで束ねた長い髪が揺れる。
…この人から溢れるのは、純粋な強さ。
「さぁいこうか、ピジョット、ムーランド」
二つのボールから2匹のポケモンが出てくる。
周囲を取り囲む敵の集団も自ずと身構える。
「怯むんじゃねぇ!息を合わせろお前ら、相手は少数だ!一気に畳み掛けろ!」
「…悪いけど夕飯の時間だから早く帰らないといけないんだ」
秋斗の耳飾りが光る。
「一瞬で終わらせようかーーーピジョット」
「ピジョォォ!!」
ピジョットの体が光り輝く。
輝きの中姿を変え、大きな翼を羽ばたかせる。
「め、メガ進化だと…ウッ!!」
目にも止まらぬ速さで風の刃が巻き起こり、何人か吹っ飛んでいった。
ピジョットが羽ばたいた後には、何も残らなかった。
「兄貴!」
春翔が叫ぶ。
秋斗が振り返ると、
「あいつがいねぇ…!!」
少女は姿を消していた。