テラーノベル
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その晩、リビングで窓にへばりつく花斗を眺めていると、隣に座っていた壱月から、職場仲間のパーティーへのお誘いを受けた。
以前と同じ、ジョージさんのホームパーティーだ。
「今度はクリスマスパーティーなんだ。プレゼントを持ち寄って、花斗も一緒に。どう?」
花斗も一緒だと聞くと、気後れしてしまう。
けれど。
「他の家族も子連れ参加だし、ジョージが花斗に会いたいと言っているんだ。袴田も子ども好きだから、また花斗と遊びたいらしい」
壱月はそう言うと、意味ありげにニヤリと微笑んだ。
副操縦士の袴田さんは、子どもが好きらしい。花斗も何度か会ったことがあるが、その時はいつも花斗の話し相手になってくれる。
「はかまだのおにいちゃんに、あえるの?」
先に反応したのは花斗だ。
飛行機のおもちゃを手にわざわざこちらに走って、私たちの前までやってくる。
「会いたいか?」
壱月が花斗にそう聞くと、花斗は満面の笑みになる。
「うん! またひこうきのおはなし、いっぱいしたい!」
花斗に先に話を振るのはズルい。
そう言われてしまうと、私がノーと言えなくなるのを壱月は知っている。
「愛音、今度は大丈夫。俺が愛音の隣、離れないから」
壱月は優しく微笑む。
「うん。でも、離れても大丈夫だよ」
私は彼に微笑み返した。
だって、心配していたのは花斗のことだ。
だけど壱月は、この間のことを気にしているのかもしれない。
こちらを見たままキョトンとしている彼に、私は続けた。
「私、英会話習い始めてだいぶ経った。少しくらいなら話せるから、なにかあっても自分でどうにかできるよ。花斗が大丈夫なら、私も行きたいな」
「愛音……」
壱月は私の名前を呟いたあと、ふっと目を細めて笑う。
それから、そばに居た花斗の頭をがしがしと撫で、「ちょっと邪魔しないでな」と花斗に告げた。
「愛音、好きだ……」
壱月は言いながら、私をぎゅうっと抱きしめてくれた。
「壱月……」
突然のことに驚き、でも嬉しくて目を閉じる。そうやって、壱月の腕の中で彼の体温を存分に味わう。
甘い空気が漂って、頬がだらしなく緩む。ああ、なんて幸せなんだろう。
「はーい、『ちょっと』まったよ」
不意に花斗がそう言って、無理やり私と壱月の間に手を差し込んできた。
「ふふっ」
「ははっ」
壱月と同時に笑い合う。
「おいで、花斗」
私が花斗を抱き上げ、壱月との間に挟む。そのまま壱月とふたりで、花斗をぎゅーっと抱きしめた。
「あー、もう、くるしいっ! パパ、ママ!」
花斗がそんなことを言う。
けれど、花斗も幸せそうに頬をほころばせている。
それを見て、改めて思った。
私はもっと、強くならなきゃ。
この幸せが、ずっとずっと続くように。
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コメント
1件
読了したよ〜!第79話、めっちゃ温かい回だったね😭💕 壱月が「隣離れないから」って言うところ、優しすぎて胸キュンしたし、花斗が「ちょっとまったよ」って割り込んでくるシーンも可愛すぎて笑っちゃった!三人でぎゅーって抱き合う幸せな空気が画面越しに伝わってきたよ。最後の「もっと強くなろう」って愛音の決意も、家族想いな感じがしてじーんとした…。この幸せ、ずっと続いてほしいなって心から思えるエピソードだった🌸