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ザザーッ
オレンジ色に染まった波が俺に触れそうなくらい近づいてくる。今日も終わりを迎える__。
学校が終わり、カバンを背負い、早足で教室を出る。俺が向かう先は、海。
この町唯一の海。だが、いつ来ても人はいない。海が嫌いなのか、俺には分からないけど。でも、それが逆にこの海の良いところだと思う。
「つかれたぁー」
俺はやわらかい砂の上に座ると、声を上げた。ここは本当に落ち着く。学校では友達と居るし、そんなことないように見えるが、本当は一人が好きなのだ。
「気楽…最高…」
一人だったら誰にも気を遣わなくていいし、我慢する必要もない。自分の好きなことが出来る。
「俺以外、誰もいなかったら、気楽で生きやすいんだろうな。」
とか、そんな事を考えながら段々と黒に染まっていく海を眺めながら呟く。
「海、綺麗ですね」
その時、聞いたことの無い声がした。高くて綺麗な声だった。きっと女子だろう。
「え、と…」
この町は田舎と言っていいほど小さく、人口もあまり多くない。だから住んでいる人の名前や顔、声まで把握済みだ。だが、聞いたことない声。戸惑う俺を見て、その人は俺の隣に座る。
「驚かせてしまってすいません」
ちらりと左を見る。やはり、女子だった。だが、顔は全く知らない人だった。
「どちら様でしょうか…」
緊張しているせいか、変な言葉遣いになってしまう。そんな俺を見て彼女はクスリと笑う。可愛らしい笑顔だった。
「どちら様でしょうね」
「え、いや、あ、あの…名前…」
まさかの返答に対して驚きを隠せず、挙動不審になっている。恥ずかしすぎる。でも彼女は優しい笑顔で、
「…明日」
という意味不明な言葉を残して去っていった__。
𝕟𝕖𝕩𝕥➯➱➩
コメント
1件
めちゃくちゃ面白いです!応援してます! 初コメ失礼いたしました!