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 なんだろう、お母さんがやらかしたような気がするけど、気のせいだよね。うん、気のせいだと思おう。 旅館やすらぎで美月さんと合流した私達は、そのままのんびりと交流することにした。前回渡せなかったお土産として、海洋庭園をプレゼント。カレンに渡したものと同じだけど、中身の構成がちょっと違う。

 具体的にはリラクゼーション効果のある海洋生物や珊瑚を、ふんだんに取り入れているタイプだ。美月さんは首相として多忙を極めているだろうから、ちょっとリラックス出来るものを選んだんだ。これで少しでも疲れを癒してくれると良いな。

 説明がてら四人で一緒に入ったけど、まあカレンの時と同じだから割愛するよ。取り敢えず美月さんの身体は見惚れるくらいグラマラスで若々しかったとだけコメントしておく。




 その後は皆で温泉に入った。美月さんも一緒に入ったし、フィーレも露天風呂を気に入ってくれたみたいだ。のんびりお喋りしていると、フィーレがフラフラし始めた。




「うーん……」




「あら、フィーレちゃん逆上せちゃったかしら?」



「ティナ、私が」




「お願い、フェル」




 フェルがフィーレを連れて先に出た。長湯は苦手なのかな?

 ちなみに私は前世からの習慣で長湯は苦じゃない。と言うよりお風呂そのものが好きだから長めに入る。美月さんも同じみたいで、ゆったりと浸かっている。




「フィーレちゃん、温泉は初めて?」




「まあ、初めてですね。アードにもお風呂はありますが、浄化魔法で済ませてしまう人も少なくないので」




「羨ましいわね。私もお風呂にゆっくり浸かりたいけれど、忙しい時はシャワーでささっと済ませてしまうの。浄化魔法があれば、もう少し余裕が出来そうね。そんな道具はないの?」




「浄化魔法は基本中の基本ですから、どうなのかな?需要があるなら作れると思いますけど」




 ちなみに私は浄化魔法の行使すら大変だったりする。だから水浴びをする回数は里でもダントツだ。どうしてもって時は頑張るか、両親に頼るけど。




「需要は山ほどあるわよ。特に汗をかく夏場や汚れる仕事に従事している人は大喜びね。もちろん私もよ、ティナちゃん」




 ふむ、トランクや医療シート以外の交易品も探していたし丁度良いや。後でばっちゃんと相談してみよう。




「さて……苦手なのは承知しているけれど、ちょっとだけ真面目なお話をして良いかしら?」




「どうぞ?」




 なんだろう?




「私達は、出来ればもう一歩踏み込んだ交流を行いたいと思っているのよ」




「踏み込んだ交流、ですか」




 月面に拠点を作っている最中だし、それとはまた違うんだろうなぁ。




「そうよ。まだ先の話と思ってくれて良いけれど、私達は惑星アードへ使節団を派遣したいと思っているのよ」




「使節団ですか?でもアード政府は……」




 地球に興味がない。




「ティナちゃんが頑張ってくれたお陰で、地球の食べ物に興味を持ってくれたのよね?」




「はい、直ぐに売り切れてしまいます」




 その効果はまだ秘密だけどね。




「ティナちゃん、それだけでも大手柄よ?外交も人間関係と同じ、先ずは興味を持って貰う事から始まるの。

 あなたは地球の食べ物をアードで売り込んでくれた。それをたくさんのアード人が口にして、気に入ってくれた。それだけでも十分興味を持ってくれたことになるわ」




「そうなのかなぁ?」




「ティナちゃんだって興味が無い人と仲良くなりたいとは思わないでしょう?」




「それは、まあ」




 相手が私に興味を持ってくれたなら、よっぽど変な人じゃ無い限りは頑張って私も興味を持とうとするけどね。




「だから、大手柄なのよ。貴女は架け橋としていつも頑張ってくれている。今度は私達大人が頑張らないとね」




「むっ、私だって中身は大人ですよ。最近あんまり自信がないけど」




 この身体に引っ張られている自覚はあるんだよね。まあ別に困ってないから良いけどさ。前世に良い思い出なんてあんまり無いしね。ハハッ。




「ええ、私にとって貴女は可愛い女の子であり格好いい男性よ?」




「かっ、格好良い?」




 前世の顔面偏差値は、どう贔屓目に見ても下の中くらいだ。これ勘違いとかじゃなくて、顔面偏差値で苛めにあうレベルだよ。今は信じられないくらい美少女だけどね。




「命懸けで自分を助けてくれた男性にキュンと来ない女は居ないわ。少なくとも私にとって貴女は命の恩人で格好良いヒーローよ」




「あはは……」




 何だか恥ずかしいな。ちなみに美月さんと二人きりの時、アリアはサイレントモードだ。少なくとも私と美月さんの会話だけは聞かないようにお願いしている。

 アリアも最初は渋っていたけど、最後には折れてくれた。なんと無く、私が転生者だってことは美月さん以外には秘密にしていたほうが良い気がするから。

 まあ、もしバレたらその時考えよう。




「安心して、貴女の前世については誰にも話していないわ。話したとしても、下手をすれば頭がおかしくなったとか、オカルトに目覚めただなんて攻撃されるだけだしね」




「その辺りは大丈夫なんですか?」




 私だって地球のニュースはある程度目を通してる。私と美月さんの仲の良さは有名だ。面白く思わない人や国もたくさんある。

 でも、そんな私の心配は杞憂だった。美月さんは不敵な笑顔を浮かべているんだから。



「大丈夫よ。これでも政治の世界で長く生きているし。それに、この程度で挫けるつもりもないわ。これからもティナちゃんが命と引き換えに救って良かったと思えるように頑張るわ」




「もう良かったと思っていますよ。無理はしないでくださいね。美月さんの元気な姿を見るだけで私は嬉しいんですから」




 だって、何一つ良いことの無かった私の人生で唯一の誇りは、こんなに優しくて強い女の子を救えたことなんだから。

 その日は頑張って半日フリーにしていたらしくて、美月さんも旅館に泊まるらしい。どうせなら親睦を深めようと夜も私達の部屋で過ごした。もちろんフェル、フィーレの許可を得てね。二人とも仲良くお喋りして、最後は一緒の部屋で川の字みたいな感じで眠った。

 翼や羽根を無視したら、お母さんと娘三人が仲良く一緒に眠っているように見えたかな。残念ながらばっちゃんの合流は明日以降になるみたいだ。迎えに行こうとしたけど、用事があるらしい。何か、色んな意味で不安だ。主に地球の人達が。




 そして翌朝、お台場にて。




「ガン◯ムだーーっっ!!!」




 まだあったんだ、実物大ガ◯ダム……フィーレが目をキラキラさせてる。嫌な予感しかしない……。

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