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kn×shk
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ある日、彼は突然姿を消した。
夏の午後、頭が痛くなるほどにセミが鳴いていた日。
きんときは理由を告げることもなく、シャークんの視界から消えた。
「ごめんね、シャークん」
それだけを言って。
当時のシャークんは小学三年生。泣きながら「行くな」と言ったが、きんときは背を向けたまま振り返ることはなかった。
再会は十年ぶりだった。
夜の繁華街の街中、歩いていた時にシャークんは偶然きんときを見つけた。
十年ぶりの再会だったが、一目見ただけで彼だとわかった。
「……きんとき?」
咄嗟に腕を掴んでしまったが、彼に違いない。振り返った男は、幼い記憶の中の「兄」よりも背が高く、鋭い目つきになっていた。
だが、笑ったときの口元だけは変わらない。
「……シャークん?お前、でかくなったな…久しぶり」
それは、十年分の空白を簡単に埋めてしまうような言葉だった。
「会いたかった」と言う代わりにシャークんは拳で彼の胸を軽く叩いた。
「なんで……なんで急にいなくなったんだよ」
「……色々あったんだよ。お前には関係ない」
濁した感じで俺の質問に答えてくれないその言い方が、当時と同じで腹が立つ。
でもそれと同時に、会えたことが嬉しくてたまらなかった。
その日から、俺たちはまた会うようになった。
昼間はくだらない話をして、夜は人気のない場所で散歩をする。
気づけば、昔みたいに頭を撫でられるたびに胸が苦しくなるようになっていた。
「……もう俺、子どもじゃない…」
「知ってる」
「なら、そういう撫で方…やめろよ」
「やめてほしいの?」
低く笑って、きんときの手が髪から頬へと移る。
十年前は知らなかった感覚が、肌を撫でていく。
熱くて、逃げたいのに、身体は動かなかった。
「……っ」
「声、我慢してんの?」
「な、何言って…」
唇が触れそうになった瞬間、きんときは動きを止めた。
その距離のまま、じっとシャークんを見つめる。
「……泣きそうだな」
「泣いてねぇ…っ」
「泣き虫なところは昔から変わらないな」
クスッと笑いながら耳元で囁く。
心臓がうるさい。十年前にはなかったこの鼓動が、全身を支配していた。
その夜、別れ際にきんときが言った。
「…あの日、いなくなったのは、シャークんのためだったんだよ」
「……嘘つけ」
「ほんとだよ。…でも今はもう違う。お前が俺を求めるならーー全部、お前にやるよ」
挑発的な笑みに、シャークんは何も返せなかった。
ただ、背を向けて歩き出すきんときの背中を、十年前よりずっと熱い視線で追い続けた。
次に会ったとき、自分から触れてしまうような気がする。
それが怖いのか、楽しみなのか、自分でもまだわからなかった。
次に会ったのは三日後だった。
夜の河川敷、人通りのないベンチに並んで座った。川面に映る街の灯りが揺れている。
「…なんでそんな顔してんだよ」
「……顔?」
「待ってたんでしょ、俺のこと」
軽く笑って言うきんときの声が、妙に低い。
その響きだけで、胸の奥がざわめく。
「べ、別に……」
「嘘。お前、昔から嘘つくと目が逸れる」
そう言って、きんときの手がシャークんの顎を持ち上げる。
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あったかいろ
見上げた瞬間、視界いっぱいにきんときの顔が近づいてきた。
「……っ」
唇が触れるか触れないかの距離で止まる。
熱い吐息が頬を撫で、耳まで痺れるような感覚に包まれる。
「……キス、されたいの?」
「……わかんない……」
「わかんないなら、確かめてあげる」
甘いリップ音を立てながらゆっくりと唇が触れたーーが、その瞬間に離された。
甘さの余韻だけが唇に残る。
「……っ、なんで…止めんの」
「この方が俺の事もっと欲しくなるでしょ?」
笑いながら、きんときの指がシャークんの首筋をなぞる。
そのままシャツの襟を緩め、鎖骨に唇を落とす。
「…ひっ、…ん…」
肌をかすめる熱と、かすかな吸い付き。
痕を残す寸前で、また離れる。
「…や、やだ……」
「やだ、じゃないでしょ。…ほら、声が震えてる」
膝の上に置かれた手が、ゆっくりと太ももを撫でる。
「…きんとき、もう…」
「もう、なに?」
「……意地悪…っ」
「ふっ…ごめんね?意地悪で」
耳元で囁くと、シャークんの目尻が潤む。
悔しさと羞恥と、どうしようもない熱が混じった瞳。
きんときの目元が緩む。
「せっかく離れてやったのに自分から来るとか…ほんとに馬鹿だなお前は…」
シャークんの頬を撫でながら呆れたように話す。
「…そんな事言うなよ。俺は…俺はずっとお前のこと思ってたのに」
「いいの?もう二度と離してやれないよ。」
「…いい。離さないでいいよ。もうどこにも行かないでよ。」
そういった途端、きんときはシャークんと唇を重ねた。
「チュッ…ん”ッ……はッ」
何度も、何度も二人の舌が絡まり合う。
熱く、深く互いの存在を確かめ合うように。
「…はッ……もう二度と離さないから。」