コメント
1件
好き好き好き好きぃっ!これめっちゃぶっ刺さりだ。
ちゅ。
俺が寄せた顔に涼架くんの顔が近づいてきて、そのまま唇が触れた。
柔らかい感触に驚いて、どう反応したらいいか、戸惑った。
「んふふ、可愛い」
満足そうに呟いてからくいっと日本酒を飲む。なんでキスしておいて、なんでもない様に普通でいられるのか。
ドキドキしてなんて言ったらいいか困る僕の太ももにするり、と手が伸びてそっと撫でられる。
気づけば反対の手は背中に回されて、背後は壁で完全に逃げられない状態になっている。
太腿をかなり際どいところまで撫でられて酔っていることもあって敏感になっているのかビクッと反応してしまう。
「···いや、かな?」
嫌どうかと聞かれる···どちらかというと。
「いやじゃ、ない···」
少し驚いたように目を見開いたけど、すぐにすっ、と目を細めて笑ってまた俺はキスされる。今度は深く、長いキス···舌が唇を舐め、そのまま口腔内に侵入してくる。
「ンッ···」
日本酒の味が口に広がってクラクラしてしまう。 俺を撫でる手が太腿の奥を撫でてそこをそっと握られる。その時始めてそこが苦しそうに主張しているのに気づいて顔が熱くなる。
「ここ、キツそうだね···楽にしてあげる」
「えっ···」
ズボンのチャックが下ろされて下着の中に手を入れられ、 ゆるりとそれを握られる。
「だめ···、こんなところで···」
「しぃ、静かにしてたら個室だし誰も来ないよ」
こんなことがバレたら···と思うと止めなきゃいけないのに気持ちよさに抗えず、口を手で抑える。
「ぅ···ん、·····ッ」
「気持ちいい?声、我慢してるの可愛い···」
慣れた手つきでそこを刺激され、耳元で囁かれる。こんなところでこんなこと···いけないことをしている背徳感と、声を抑えておかなきゃいけないという気持ちの、せいでより敏感になっている気がして限界はあっと言う間だった。
「りょうかくん···俺、もうだめ···離して、だめだから···ッ」
「だめじゃないよ?気持ちいいんでしょ?良いって言って?」
その手を止める気持ちがないことを知って我慢していたものが溢れる。
「···気持ちいい、いいけどだめだよ···涼架くん···ッ、んっ」
とぷっと涼架くんの手に出してしまって、俺は力が抜けてへたり、ともたれかかってしまう。
ぼんやりとしている間にさっと片付けて俺の方に向き優しく抱きしめてくれる。
「ごめんね、こんなとこで。あんまりにも阿部くんが可愛いから我慢できなくって」
この人、俺の何倍もあざといぞ···こんなのズルすぎる。しかももの凄く手慣れてないか?あまりにナチュラルに事を進めるので俺以外ともこんなことしてるんじゃないか、なんて考えが頭の中に広がる。
「···りょ、涼架くんはどうしてこんなことしたの」
きょとん、と俺を見つめる姿はさっきあんな風に俺を責めた人とは思えないような天真爛漫な笑顔を俺に向ける。
「阿部くんが好きだからだよ」
「···いつもこんなことしてるのかと」
「してないよ···阿部くんだけ。それってやきもち?心配してるの?」
んふふ、と笑って残ったお酒を飲んでいる涼架くんに自分ばっかりドキドキしているようでなんだか悔しい。
グラスを置いたタイミングで涼架くんの頬に手を添えてぐい、と自分に向けて唇を押し付ける。
「···涼架くんばっかりズルいから」
何がズルいのかさっぱりわからないけど···そういって不満そうな俺を見て涼架くんは嬉しそうにしている。
「俺は本当に阿部くんが好きなの。周りに素敵な人がたくさんいると思うけど、僕にも頑張るチャンスくれないかな?」
「···あざとすぎる」
「んふ、阿部くんには負けるけど。とりあえず、これからうちに来ない?美味しいケーキがあるんだけど」
色々考えることはある、本気なのかどういうつもりなのかこれからどうなるのか···けど俺はとりあえずケーキに釣られたということにして、その差し出された手に自分のを重ねる。
「ケーキ、食べたら帰ります」
そう宣言する俺にポツリ、と涼架くんが呟く。
「···阿部くん可愛いから、帰してあげられるかなぁ···」
その呟きが聞こえていながらもその手に引かれて付いて行く俺はやっぱり一番あざといのかもしれない。