テラーノベル
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「真澄、会いに来た」
「…………無陀野、てめぇには今の状況が分かんねぇのか?」
「隊員総出で作戦会議中だな」
「そうだ、つまり部外者お断りだ。羅刹学園に帰れ」
俺、淀川真澄は顔色一つ変えないが怒っていた。無陀野無人から告白されてたし、次は逃がさんと言われていたことを思いだした。こいつ俺が逃げないように隠れ家での作戦会議中に入ってきやがった。無陀野は顔色一つ変えずにとりあえず部屋を出ていった、残った隊員からの隊長の俺に対する視線が痛い。全員、どういうことですかと顔に出ていた。俺はそれを遮って作戦会議を再び続けた。
「どうした真澄、随分と怒っているようだが」
「おい無陀野、俺は羅刹学園に帰れと言ったぞ」
「こんな機会がなければ真澄、お前は俺に会わず逃げ出すだろう」
「そうだろうな」
「だからわざと作戦会議中に乱入した」
「仕事とプライベートを分けやがれ」
「それで真澄が手に入らないなら嫌だ」
「こんな奴が教師とは羅刹学園も質が落ちたな」
無陀野無人は作戦会議が終わるまで俺を待っていた、俺の羅刹学園に帰れという言葉は聞かなかったことにしたようだ。俺の勘がピリピリいってる、今すぐ身を隠せといっている。だが無陀野は俺の腕をしっかりと握っていた、ヤバイこのまま無陀野にお持ち帰りコースなんてごめんだぜ。
「無陀野さん、隊長を離してください」
「ほう、俺の邪魔をするのか?」
「馨」
「邪魔しますよ、隊長は譲れません」
「悪いが、こっちも譲るつもりはない。雨過転生」
「馨!! 避けろ!!」
無数の兵士が現れて馨を矢で攻撃した、幸い馨はほとんどを上手く避けた。致命傷は負っていないが、無傷というわけでもない。
「無陀野、仲間に攻撃するとはどういうことだ?」
「そいつが俺の邪魔をした」
「鬼機関に抗議するぞ」
「いくらでもやればいい、どうせ俺より強い奴はいない」
「チッ、めんどくせぇ。どこにいくんだ」
「二人きりになれるところだ」
無陀野に腕を掴まれてつれていかれそうになったのはホテルだった。冗談じゃない、マジで無駄野にお持ち帰りコースなんてごめんだ。しかし無陀野は俺の腕を離さない。このままじゃお持ち帰りコース決定だ、俺は腕と男の尊厳と二つを天秤にかけて後者をとった。いつも持っていたナイフで無陀野がホテルのフロントと話している隙に腕を斬り落としたのだ。そして血を舐めてそのまま姿を消す、斬り落とした腕には血をコントロールしてすぐ止血をする。そうやって俺は無陀野から逃げ出した。
「馨か、無事か。できれば花魁坂を呼んでくれ、間に合えばの話しだがな」
「隊長こそ無事で良かった。花魁坂さんなら呼びました、隊長、貴方腕を斬り落としましたね」
「それしか無陀野から逃げる術がなかった」
「分かります、無陀野さんが知らないほうの隠れ家に行ってください」
「もう向かってる、失血でくらくらするぜ」
「すぐに花魁坂さんを連れて行きます」
そうして俺は何とか無陀野の知らない隠れ家に辿り着いた。半日もしないうちに馨と花魁坂がやってきて俺の腕を治してくれた。
「おー、まだ隠居しなくて済むな」
「他に方法が無かったとはいえ、隊長は無理しすぎです」
「そうだよ、まっすー。腕が無くなったら困るでしょう」
「馨、花魁坂、お前たちが俺の立場だったらどうした」
「……腕くらい犠牲にしないと無陀野さんからは逃げられませんね」
「……ダノッチ熱愛派だったんだなぁ、僕も無理やりヤられるくらいなら腕斬り落とすかも」
「馨、鬼機関に無陀野の行動に対する偵察部隊の妨害行為として抗議いれとけ」
「はい、そうします」
「僕からも鬼機関に抗議しとくよ」
その結果、無陀野は羅刹学園に強制送還となった。しばらく休暇の申請も認められないらしい。甘い、犠牲になった俺の腕に対して罰が甘すぎる。鬼機関でも昔百人斬りをした無陀野を持て余しているようだ。その無陀野からは何が書いてあるか分からないお手紙が届いた。正直、焼却したいところだったが一応中身は確認した。
”すまん、そんなに嫌がられるとは思わなかった。でも俺は諦めるつもりはない”
「昔の戦闘部隊のヒーローは自信満々だったようだな。俺が素直にヤられると思ってたのか」
俺はもちろんそんな無陀野に腹が立ったし、悪友時代を差し引いても好感度が下がった。しかもこいつまだ俺を諦めてねぇ、そんな俺への執着にはゾッとした。無陀野は何をしても俺を手に入れるつもりだ。
「いかれた奴につける薬はないな」
コメント
1件
うわっ、もうエピソード終わった瞬間に心臓バクバクしてます……! 真澄さんの「腕を斬り落とす」っていう選択、読んでて「えっ!?」って声出ました。それほどまでに無陀野から逃げたいって切実さが痛いほど伝わってきて、でも最後の「いかれた奴につける薬はないな」には思わず笑っちゃいました。馨さんと花魁坂さんの理解ある返しも好きです。無陀野さん、本気でヤバい人だけど、どこか憎めない魅力があるのがアキナヌカさんの筆力だなあと。続きが待ち遠しいです!