何もない空間に唯一人ポツンと座っていた。
どこからか声が聞こえる。姿は見えない。「君は何の為に此処にいるの?」
心の中で答える。
「_____みんなを救うため。」
「みんなって具体的に誰?」
何の為に文ストの世界に行くのか、二次元に行けるサイト、「異世界への鍵」を使ったときも聞かれた。その時、私は何て答えたのだろうか。覚えていない、忘れてしまった記憶。
私はやっぱり推しである中也を救いたいのか?半信半疑で答えた。
「中原中也」
「本当にそうなの??」
「うん。多分。」
「そっか_____。まあ、頑張ってね。 」どこから聞こえてるか分からない声。
「 頑張ってね」という言葉が少し哀しく聞こえた。
目を覚まし周りを見渡す。先程は変な夢を見たものだ。本当に私は中原中也を救いたいのか?分からない。何時もと違う風景に慣れない私は、気持ちを整える為ベランダに出て外の空気を吸う。そしてマフィアのビルに目を眩ませる。ジャージに着替え、髪の毛を一本に束ねて体をほぐす。
「(甘えていちゃいられない)」走ってみたら、少し足が重く感じた。知らない道を通る。迷子にならない為、家から遠い所迄行かないが、探索はしておきたい。
_____此処は、貧民街?服のボロボロな子供達が楽しそうに走っている。11の子は、普通友達と遊んで、学校に行って、変哲のない日常が楽しいと思えるのだろう。だが、私は違う。文ストキャラを救うため、私は成長しなくてはならない。休みなんていらない。
路地に出た。先程よりも静かになった。其処で、声が聞こえた。空耳だと思い、無視しようとしたが、違うみたい。
「…助け…て、お腹すいた…喉乾いた…」
か細い声で最初は本人が何処にいるか分からなかった。見つけた瞬間、驚きで後ろに倒れ込んでしまった。
「(中也??)」