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“ここを突破して、この研究所にいる桃太郎を!皆殺しにする!”
その等々力の声を合図に、各チームがいよいよ厳重な扉の内部へと侵入する。
扉を開けるために必要なのは物を溶かす力… “酸” の能力を持つ不破の血だった。
本人がいる2階組は不破が直接扉に手を触れ、それ以外のチームは持参した彼の血を扉にかけることで穴を開けることに成功した。
扉に異変が発生した時点で警報が鳴るかと思われたがそれはなく、未だ辺りは静寂に包まれている。
だが等々力が穴の中に手を伸ばした瞬間…!
耳をつんざくような警報音が鳴り響いた。
『マズイ!扉の内部に赤外線の認証センサーが内臓されてたんだ!』
「情報に偽りは無い感じか。優秀で何よりだ」
「お前知ってたんか?」
「誰よりも優秀なスパイ紛れ込ませてるからね。人脈は広く深くが基本だよ♪」
『バレたなら仕方ない!いずれバレることだ!各自桃の殲滅!鬼の救助にあたれ!鳴海、もしもの場合は治療を頼む!』
『りょ〜か〜い』
『そしてもう1つ!死ぬな!』
大将の言葉に、皆が揃って “了解” と返事をする。
それから2階組の3人は視線を交わし、今度は不破を先頭に扉の内部へと足を踏み入れた。
案の定同じ警報音が鳴り響き、すぐさま背後から大勢の桃太郎の足音が聞こえてきた。
「うわ、早っ」
「いきなり体力使うんは得策じゃないわな。」
「そうだね。できれば隊長・副隊長クラスに会うまでは戦いたくないかな。」
「ほな、一回あいつら撒こ「お待たせしました隊長」
「「は?」」
その言葉と共に大勢いた桃太郎の首が吹き飛び声の主を見て鳴海はニコリと微笑んだ。
「遅かったね菊華」
「監視カメラを弄るのに時間がかかりまして。申し訳ありません」
「待てや。鳴海コイツと知り合いか?」
「知り合いというか…」
「桃太郎と知り合いってどう考えても変だよな」
困惑する2人に弟のことを説明し仲間だと言うことも伝えた。
「桃太郎機関のスパイをする桃太郎ってことか」
「大胆なことするなぁお前」
「褒め言葉として受け取っておきます。隊長、指示を」
「俺たちが目的地に着くまでの護衛。その後はここにいる隊長・副隊長クラスの身元を確認できる物の回収と出来るなら遺体の一部を回収。終わったら次の異動の準備、得た情報は全部隊に通達。襲ってくる鬼には大人しく服従するマネをするか逃げる事。桃太郎は…邪魔ならバレない程度に消してよし」
「分かりました」
「おお…的確な指示だ」
「他のには言わんくてええんか?」
「言ったところでそれを理解してもらう時間が惜しいから却下。」
「手厳しいな…」
「…!外が騒がしくなってきました。急ぎましょう」
「ホンマかいな。心強い護衛がおるから体力消耗の心配は無いな」
「菊華?だっけ道案内とか頼めそう?」
「お任せ下さい。あと気安く名前を呼ばないでください」
そして、菊華を先頭に走り始めた3人であった
菊華の案内に従い走り続ける3人。
途中何人かの桃太郎と遭遇したが、菊華が難なく片づけ、大事には至らずに今を迎えている。
と、そんな折…脳内に声が届いた。
『こちら鳥飼、蛭沼。隊長・副隊長と遭遇。戦闘に入る。』
「! もう隊長・副隊長と…」
「確かに早いね。」
「俺らの方も近いかもしれん。気引き締めて行くで。」
「腕が鳴る!!」
鳥飼たちの戦況を気にしながら進み、15分程が経った頃…
鳴海は囲達から離れ、空き部屋に来ていた。(2人を菊華に任せ抜けてきた)
「ここなら大丈夫かな」
誰もいないのを確認すると同時に菌で出来た黒い渦の中から数名の鬼が出てきた。
右腕に掲げている腕章には《八咫烏》の絵。
「うう…隊長ぉ…遅いですぅ…」
「仕方ないだろ。人が多いんだ」
「やっと人気がない場所に来たんだから文句言うなよ」
「うう…悲しいですぅ…」
彼らは栃木県に配属された鳴海直属の隊員である
「無駄口叩かないで。状況は?誰が来てんの?敵の数と配置は?」
「現在、華厳の滝研究所跡地にいるのは桃太郎、鬼國隊、そして我々 “八咫烏” です。羅刹の学生らはここに向かっている最中かと」
「我々からは動ける者をかき集めて4名が参加しています。」
「敵は雑兵を除けば最低でも隊長クラスが3人、それに伴い副隊長は3人かと思われますぅ…配置については何も…」
仲間からの情報を頭の中でまとめ、これからの行動について指示を出す鳴海。
「まずは晶ちゃんと無人くんの合流が最優先。無人くんとは合流出来てる?」
「まだ出来てません」
「まだ出来てないか…近くに集落があったからそこに寄ってるかもね。監視は?」
「隠世が現在進行形で向かっていると情報が入りましたのでいずれは。」
話しながら服を脱ぎ始めた鳴海に薬師は驚いて慌てて止めた。
「な、なんで脱ぐんですかぁ…!せっかく似合っているのにぃ…」
「俺はこれから個人で動く。その都度指示は出せるけど今から1時間は連絡取れないから」
聞けば先程から “誘われている” らしい
「誘われて…?」
「みんなを巻き込まないようにしないとだから惹き付けて離す。ああ、それとここに向かって。」
「ここには何が…?」
「この場所に乙原って名前の鬼國隊のメンバーがいるから接触して俺が一時的に抜ける事、抜けた穴は藍が入る事を伝えるように言って。多少脅しても構わないから」
「了解ですぅ…どうかご武運を隊長…」
そう言い薬師に荷物を預け自身はこの場所からさらに離れた所へ足を進めた。
上へ上へと階段を登り戦闘場所はだだっ広いガランとした空き部屋に決めた。
「出てきなよ。さっきからジロジロ見ちゃってさ」
「あはっ!なーんだバレてたんだ笑」
「当たり前でしょ。気配消して俺にだけベッタリ着いてくる物好きなんてお前ぐらいだもんな」
「うふふ…面倒だから単刀直入に言うわ。醜男、一緒に来なさい」
鳴海の前に立ちはだかったのは桃原家五女 桃原結莉乃。
「華厳の滝配属じゃなかったよね?どうしてここにいるの」
「スカウトよ!スカウト!戦果を挙げれば自分の部隊を持てるし、アンタも捕らえて上に引き渡せば桃原一族の株も上がる!一石二鳥ってやつ?」
その言葉に鳴海は鼻で笑って返した
「お前が隊長?夢見るのもいい加減にしろよ。いい歳こいて年齢=彼氏いない歴のくせにバカ言ってんじゃねぇ」
「あんなに可愛がってあげたのに酷い言い様ね」
「顔、いくらかけたんだ?」
「顔?」
「整形しただろ?昔と顔が違う」
ポケットから昔撮った家族の写真を取りだし結莉乃に見せた。
「母さん父さんは美形だけどお前は違ったもんな。婚外子だから」
「!」
鳴海を含めた兄妹は精密に言えば半分しか血は繋がっていない。(直列に繋がってる者もいる)
「父さんは桃太郎の能力を引いた者を直系に入れて引かなかった者は養子に出てたもんな。」
「ッッ…!(なんでそんなこと知ってるのよ…!?)」
「なぁ、結莉乃」
鳴海はいつもよりワントーン低い声で結莉乃に他の兄妹は何処にいるか問いかけた。
当然ながらその質問には返答は無く…
「交渉決裂だな。大人しく吐けば死なずに済んだのに」
鳴海は隠し持っていた2本のナイフを取り出し構える。
「ぐちゃぐちゃにしてあげるわ!出来損ないのゴミクズ!!」
「やってみろよバーーーカ!!!!」