少し(かなり)早めのクリスマスです。
「Merry Christmas、ナチ!ハロウィン以来だね!」
そう言ってイタリアはナチスの手に唇を落とす。
今日は年に一度のクリスマス。家族、恋人、友人、誰と過ごすかは悩むものだ。
そんな中、仕事で中々会えなかった枢軸国の三人は、この一晩を一緒に過ごすことになった。
「本当に変わらないな、お前らは」
冗談か本心か、クスリと笑いながら日帝は言う。そしてナチスと同じように、イタリアに自身の手を任せた。
「ハロウィンの時は本当に面白かったな。雰囲気のためにホラー映画でも見ないか、ってイタ王が言った瞬間、お前の顔が急に青ざめていったんだよ。さっきまで走り回るイタ王を怒鳴ってた偉そうな顔がだぞ?」
「やめてくれ、あれは本当に恥ずかしかったんだ…俺はゴーストとか苦手なんだからな…」
前と変わらず自分を見上げて揶揄ってくる猫の姿に、お前も対して変わっていない、と少しむっとする。
「どうした?坊ちゃんはご機嫌斜めか?」
「いい、もう揶揄うんじゃない…」
「ねぇねぇ、さっきナチからもらったマフラー付けてみたんだ!似合う?」
「うん、似合ってる。」
ソファの上で話している二人を、ナチスはツリーの反射と夜景を挟むガラスの横に立って見ていた。
「…日帝」
「ん?」
「あ、僕トイレ行ってくるからナチのとこ行ってていいよ!」
そう言って部屋を出たイタリアの足音が聞こえなくなった頃、横に来た日帝の腰をナチスは黙って引き寄せる。
「どうした?まだ不機嫌か」
「別に」
「あ、それともお前はプレゼントより“俺”がご所望だったか?」
「…ああ、そっちがその気なら頂く」
少し揶揄うつもりで言った日帝は、予想外の返答に固まる。
「は、ちょっと待、…ん」
煩い口がまた開く前に、ナチスは自身の唇でそっと塞いだ。そしてそのまま舌を入れる。
「ん、んむ、…あ、なち…」
呼んでも叩いても舌は離されない。それどころか腰までくっつけられ、日帝は抵抗出来なくなってしまった。
外には幾つものマンションが建ち並び、あちら側もこちら側も目を凝らせば中の様子は見える。そんな場所でキスをするなど見てくださいと言っているようなものだ。
いつものナチスならそんな事はしない。だから日帝は少し言葉が強かったかと思い謝ろうと口を離すため肩を押すが、舌の裏を優しくなぞられ手の力が抜けてしまった。
「あ、あぅ、ん…、っは、ぁ、」
酸欠か、生理的な涙か、閉じられた睫毛が艶めいてくる。段々と身体が支えられなくなり、日帝はナチスの胸に倒れ込む。それを見計らってぐいっとまた強く腰を寄せられ、力の抜けた日帝はナチスに自身を任せてしまった。
しばらくして水の流れる音が鳴り、ようやくナチスは唇を離した。銀色の糸が切れると、日帝は手の甲で口を隠しながら荒い息を繰り返す。
「はぁ、おま、なにを…」
「何も、お前が提案して来たのだろう?」
「〜〜〜っ!!!」
頬を真紅に染めた日帝は思いっきりナチスを突き飛ばし、ちょうど戻ってきたイタリアの所に走って行く。
「お待たせー…って、どうしたの日帝?」
「ちょっと揶揄ってやっただけだ、気にするな」
「うわ、あの言い方はナチ何かとんでもない事したよね…」
星と雪が街を飾る頃、とある一つのガラスには「変わらない三人」が夜景の一部を彩っていた。
コメント
12件
やだなんて天才的な文面 舐めさせていただきたい👅💦
尊すぎる… ナチさんがヤリ[自主規制] ってことなのかな… でもそれはちょっと違う…?
神すぎて死なんですが え言葉選びとかセンス良すぎませんか?めっちゃ神作ですし… ナチにて最高ですねはい