第3話【おどろき】
ーここからヒロイ視点ですー
あれから、キヨと会って1週間が経った。
私は順調に色々なゲームをして動画投稿をしていた。再生数もまあまあ稼いでいるし、裕福な生活をしていてはいる。キヨと会うこともなくなり、ドキドキという気持ちももうどこかへ鳥に運ばれていっていた。
そして、私は今視聴者にずっと言われ続けている言葉を実行しようとしていた。
それは、
〈【X・Instagram】のアカウントを作って欲しい〉
という意見だった。
確かに2年もYouTuberをしているのにまだ作っていないのはおかしいかも。
なので、いま自分のスマホで実行していた。操作があまりよくわかっていないので、Xは大変だった。
一応、ポストはした。1時間で3.5万いいねがきた。
結構有名なんだな、私。
改めて実感した。
ヒロイ@hiloi_dayo
どうも、ヒロイです。操作方法よく分からないけどがんばります。ヒロイです。偽じゃないです。操作方法よく分からないけどがんばります。
💬 ♻️ ❤️ ↑
ーコメント欄ー
〈うおおおー!やっとXしてくれた!〉
〈本物?〉
↪︎ほんものだろ。
〈同じ言葉繰り返してておもろい〉
〈インスタもしてー!〉
みんな、嬉しがってる…やった!!
これでよかったんだね!!!なら、次は顔出し…か。
そう、私はもう1つ悩みの種に追われていた。
それは、さっき言った通り顔出しだ。顔出しは身内バレが1番きつい。でも、それをわかった上でやるのがYouTubeだ。最初からこうなるのを分かって覚悟はしていたので、今、決意した。
しよう。YouTubeLIVEで。
19時。いつもは動画投稿する時間だ。けど、今日は違う。初めてのライブ配信。
私はヘッドフォンを付け、サムネには
『初めてのLIVE配信、顔出しします。』
にした。説明欄にも同じように書く。そして、LIVEを開始する、のボタンをタップする。
すると、自分の顔が画面にうつる。
始めたすぐ、1人、ふたりとどんどん増えていった。私の顔が、世界に配信されている。喜ばしいことだが、緊張が走り言葉がカタコトになる。
『み、みんな!ヒロイだよ!初めての顔出し緊張するっ…』
〈え、これヒロイ?〉
〈うそ〉
〈顔出しじゃん!〉
〈かわいい!!!! 〉
〈え、やばタイプなんだけど〉
〈💖💖💖〉
コメント欄は、すぐ流れていく。まだ五分ぐらいしか経っていないのに、見ている人は1.3万人になった。キヨは、見てくれているのだろうか。そんな夢みたいなことを頭の片隅で考えながらみんなと雑談をする
『顔出し顔出しうるさいから顔出ししてやったよ!!!よろこべ!!!』
〈顔と声合わなすぎでしょ〉
〈こんな暴言言っててイラつかないのヒロイだけ〉
〈かわいい〉
〈名前呼んで😭〉
私は、コメント欄の人達のコメントを必死に目で追いかけて読み上げて答えた。すると、思いもよらない人物が私の配信にコメントしてきた。
コースケ〈こんばんはー!初見です〉
〈コースケじゃん〉
〈え!やば〉
〈本人?〉
〈最俺メンバー来たよヒロイちゃん〉
〈えぐ〉
〈!?〉
コメント欄は、さっきの倍の速度で流れてゆく。
『コ、コースケくん!?来てくれたんだ…!ありがとう〜!!!』
〈え、友達?〉
〈めちゃくちゃタメで草〉
〈ちょっと失礼じゃないの?〉
〈どっかで知り合ったの〉
そう。私とコースケは高校で出会って、ゲームが好き、という共通点からとても仲良くなった。2人でホラゲーをしたり、他にも、一緒にご飯に行ったりもしたことがある。コースケは、私がYouTubeをやっていることは前から知っていたが、周りには知らないように振舞って欲しい、と頼んでいた。身内バレを防ぐための方法である。
『コースケくん来てくれてありがとー!初めての顔出し緊張する(笑)』
コースケ〈いやー、びっくりしたよね!てことで、だまってみときまーす〉
〈やば〉
〈激アツやん〉
〈最俺の一部メンバーと仲いいの最高だろ〉
『ほんとにね!私リスナーたちと違って運いいかも』
〈いてこますぞ〉
リスナー達と仲良く雑談をして1時間半が経過した。そろそろ配信を切ろうと、リスナーの人たちに声をかける
『そろそろ配信辞めるねー!まじで長い間見てくれた人ありがとう!じゃ、また次の動画でお会いしましょーう』
リスナーたちに挨拶をし、配信を切った。
初めての配信でずっと緊張していたから、体が石のように固まっていた。
体をぐーっと伸ばし、寝る準備をする。布団をのばし、枕を整え終わると同時に布団に潜り込み、部屋を暗くする。
『おやすみ自分!!!』
『今、何時だ…? 』
急に、夜中の4時にスマホに大きな通知がなり、私は目を開けた。
そして、その通知を確認した瞬間私は飛び起きてベッドから体を落とした。
『いった…、』
私は、再度確認しようと目をこすりまくってもう1回スマホに映っているメッセージを見る。
〈夜中に申し訳ありません。私、YouTubeの方で主に実況しているキヨと申します。良ければ、ヒロイさんと動画を撮りたいなと思い、連絡しました。本当はお昼頃ぐらいに連絡しようと思ったのですが、あまり予定が合わずこの時間帯になってしまったことを深くお詫びします。ヒロイさんがいいなら、返信をしてお伝えお願い致します。〉
『うっそ、、嘘でしょ、、?』
私は目を点にして、口をポカーンとあけてそのメッセージを眺める。間違いなく、これはキヨからのメッセージだ。大好きな推しからの夢のようなメッセージ、その上、コラボのお誘いを受けて私は夜中に泣きじゃくってしまった。夢かと思い、頬を叩きまくったが痛いままなのでこれは夢じゃない、と思い、私はすぐメッセージに返信しようと震える手を押えながらゆっくりメッセージを打つ。
『こ、これでいいよね、?いいよね!!!』
私は、ちゃんと誤字がないか五分ぐらい確かめて、やっとのことで返信した。
〈こんばんは、初めまして!メッセージ感謝いたします、ヒロイと申します。この度はコラボのお誘いとても感謝してもしきれません。私でよければ、キヨさんと動画を撮らせて頂きたいです!私は別にいつでも連絡してもらって大丈夫なので、予定がない日のゆっくりとした時間などに連絡してくれたらと思います!〉
キヨの返信が来るまで多分時間がかかると思った私は、もう目がとっくのことに覚めていたので朝ごはんを久しぶりに作ろうとキッチンへ向かった。
コメント
2件
話の作りがすごい上手で、読んでてめっちゃwktkします!!!最高!!!!!!!