テラーノベル
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第29話
次の日の特訓中。
日差しが気持ちよくて何も無ければ、外でピクニックをしたいような陽気だ。
「ここに留まるのも、今日までにしようかな。他の所の人にも顔を合わせたいし」
「そうか……ロルフ。一つ言っておかないといけない事がある」
フリオが珍しい……何だろう?
「……ホルム王も、マルコさんも、ロザンナさんも、兄さんと同じように、旅立った。こんな話して申し訳無い。守れなくて、すまない……」
は……?
僕の頭の中は疑問符でいっぱいだった。
ホルム王が……シルビオさんに加えて、マルコさんも、ロザンナも……何で……? 僕も人の事言えたような立場じゃないけど、置いていった……
お願いだ。夢であってくれ……
僕はあの時と同じように手が震えた。
駄目だ。こんな事してたら、示しがつかない。
僕の事を見て誰か分かるような人は居ないだろうけど、立場として、使命があるんだから、こんな情けない姿を……
「すまないが、事実だ。実感が無いかもしれないが、そうなんだ。俺も最初聞いた時は、耳を疑った。世界の命運を任せて申し訳無い。そう心の底から思ってる。だけど、お前に頼るしか無い」
……フリオが嘘をつくわけないじゃん。分かってる。でも、これは……心が痛くなったかな……
「……フリオ。言われなくてもやるよ。僕は助ける、助けないを決められるような神様じゃないから」
「ロルフ……そう言ってくれてありがとな。エルドの長としてからだ。そして、帰ってきてくれてありがとな。フリオとしてからだ」
……ん? エルドの長……
「え、エルドの長って……えぇ!」
「あれ、言ってなかったっけか?」
「フリオも、いつもと変わらないな……」
僕は頭を抱えた。だけど、長ってフリオなら任せられる。
「ま、まぁ、任せたぞ。四人の分までな。南は任せろ。必ず守ってやる」
「うん」
それから、出発前に組手を組んだ。
「よし、今度は勝つからな」
「勝たせないよ。僕だって鍛錬を頑張ったから」
野原の中に秋風が吹いた。
……そういえば、秋だったな……涼しくなってきたころなのか。
「どちらか倒れたら一本。一本勝負。始めっ!」
それが聞こえたら、フリオの槍が飛んできた。僕はスッと避けたけど、想定内だったらしい。
次の攻撃は、突いてきたけど僕は剣で弾いた。
……強くなったよな。フリオは……
僕がのうのうと寝てる間に頑張ったんだよね。うん。分かってる。
僕がそう思いながら避けていると意外な所から槍が飛んできた。
僕は剣で弾いたけど、ギリギリだった。
「やるね。でも、負けてらんないな」
僕は反撃にでた。
脇腹に向かって剣を振ったけど予想通り弾かれた。
そのままの勢いで腕に当てようと体を一回転して反対側に剣を回した。
でも、避けられた。
「……手加減無しで来てほしい。手を抜いてるだろ? 俺も手を抜かないからそのままで来てほしい」
僕は頷いた。
すると、フリオは槍を突いてきた。僕は避けながら攻撃を仕掛けた。それは避けられた。今は手を抜いていない。
でも、少し隙を見つけたので、スッと突いた。
「今回は、倒れるまでだ。当てただけじゃないぞ」
え? そんな事、した事無いよ……フリオを倒せなんて……
僕がそんな事を考えてる間にフリオは次の攻撃を仕掛けた。僕は避けたけど、足が重かった。
フリオを、倒す……いや、怪我を最小限にする。ただそれだけ。
僕は手首に強く当てて槍を落としてから膝を蹴って倒した。
「ふはっ。本当はもっと強いのにな……怪我でもさせたら大変とでも考えてるんだろ」
図星だった。僕は何を答えられずにあやふやしてると笑われた。
「はっ。はっ。いつになったら分かる? 俺はそんな柔じゃない。ロルフの事を信じてたから本気で挑んだが、手加減されて負けるなんてな……」
……信じて無いって言いたいの? 急に誰かが襲ってきたら僕は背中をフリオに任せるよ。
「違うぞ。お前は、俺に任せた事が何度かある。お前が変わらないのはそこもだろ。信じて無いと言ってる訳じゃない。変わった俺の事を知って欲しい」
「……分かった。でも、大災厄を倒してから。それからだね」
「まぁな。ほら、回復魔法をかけてやってくれ」
フリオがそう言うと僕の体は軽くなった。
疲れがどこかへ飛んでいったような感覚。何だか懐かしい。
アニカ……あの時とは、温もりは違うけどちゃんと温かい。
助ける。護れなかったから、次は必ず……
「肩の力を抜け。そしたら、色々と見えるぞ。年の功ってやつか?」
「同い年だよ」
「ま、硬くなりすぎるな。昔のお前は石のように硬かった。力み過ぎだ」
あの時が……フリオ……
「分かった」
「ならよし。行ってこい。今度会う時は、良い報告をしてくれよ」
「うん!」
僕はそれからエルドを出た。
#ポケモン
ギミパ
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コメント
1件
…うわ……仲間たちが次々去ってしまったって、あの知らせ方、読んでて胸がぎゅっとなったよ。 ロルフは強くあろうとしてるけど、やっぱり心の奥で震えてるのが伝わってきて……それでも前に進もうとする姿勢が切なくて好きです。 フリオとの組手も、手加減しちゃうロルフと本気で向き合いたいフリオの温度差にドキドキした……次がすごく気になる。