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今回もとても面白かったです!1つ質問なんですけど、鏡花ちゃんはプレゼント何にしたんですか(・・?
時刻は、夜8時。
集合の時間まであと3分ほどか。
豪華な料理の並んだ机。
着飾られた探偵社内。
クラッカーを手にそわそわと待機している女性事務員の方々。
その他探偵社は各々プレゼントを手にしている。
国「そろそろだ」
先程まで5秒おきに時計を確認していた国木田くんが堅い口を開いた。
ぎっと、扉が開く。
『20歳の誕生日おめでとう!敦くん/敦/敦さん』
パン!というクラッカーの音に驚いた表情の敦くん。
太「今日は敦君の20歳祝いだよ。おめでとう。私からは、また後日プレゼントを用意してるからね、楽しみにして呉れ給え。」
敦「はい…!楽しみにしてます!」
敦「皆さん、こんな豪華な料理まで…、本当にありがとうございます…!」
そう言って顔を綻ばせた。
その後から続くように、国木田くんからは、白い腕時計、谷崎くん達から、UFOキャッチャーで取ったと思われる大きな虎のぬいぐるみ。社長から、猫モチーフの万年筆、乱歩さんから大量のお菓子。賢治くんからも大量の野菜、与謝野先生から料理用ナイフ。
…最後のものには、少しゾッとした表情だったけれど。
どれも嬉しそうに受け取って、丁寧にお礼を述べていた。
太「さぁ、ご馳走を頂こうじゃないか」
私はそそくさと机に大量に並んだ酒缶に手を伸ばす。
国「お前は酒ばっか飲むな!!!」
缶に伸ばした手をバチンと叩かれてしまった。
太「うぅ〜、痛いじゃないか国木田くぅ〜ん」
与「今回ばかりは妾も反対だねぇ。お前の飲みっぷりは嫌いじゃないが、其れは敦に飲んでもらうんだ」
机に並んだ酒缶を見つめ直す。
太「…いくら何でも量が多いのでは…」
これには隣で同じように目線をずらした敦くんも、困った顔をする。
敦「…飲めますかね…そんなに」
敦「あ…、でも若しかしたら飲めるかも」
太「えぇ…」
太「…でもそうか、敦くんなら飲めるかもねぇ」
国「流石に辞めとけ…、各々飲みすぎぬように」
国木田くんの、“飲み過ぎぬように”という一声も虚しく、成人済みの大人達は3缶以上もの酒をぐいと飲み干した。
敦くんはまだ正式な20歳になった訳では無いので、鏡花ちゃんと一緒に豪華な料理を食べている。
…が。
時刻はもう時期0時。
敦くんの初アルコール迄何分と、カウントダウンが始まった。
主に与謝野先生が盛り上がり、意外にもその次に乱歩さんが楽しんでいる。
国「0時迄後…、…、10」
…9…、8、7、6、5、4……
3
2
1
瞬間、与謝野先生と乱歩さんが酒缶を持ち上げて敦くんにぐいと飲ませた。
敦「うわっ……!まっ…」
敦くんの小さな悲鳴も虚しく…。
国「…!!一気に飲ませ過ぎですよ!!」
敦くんは無駄だと分かったのか、抵抗を辞めて酒缶の半分を一気に飲み干す。
太「だ、…大丈夫?…敦くん」
谷「…ほんとに!!…平気??」
酒缶を机に戻された敦くんは、意外にも平気そうだ。
…否、…少し顔が赤くて…えっち((殴
…と思った刹那、その赤みがスっと顔から引いた。
与「おや、余り変化が無いねぇ」
乱「やっぱそうか〜」
与「何かあるのかい?」
乱「んー、敦くんは異能のせいでアルコールを分解しちゃうんだよ。1缶も飲んだからまだ酔いは残ってる筈だけど。飲んだ分だけ再生は遅くなるよ」
ふぅ〜んと、顎に手を当てて何かを企んでいる与謝野先生は、ココ最近の中で1番楽しそうだ。
ふと、嫌な予感が脳をよぎった。
与「…一寸太宰、敦に触れてみて呉れないかい?」
太「…それは若しかしなくとも、今からずっと……ですか」
与「当たり前だろう?」
ひぇぇ…、と思わず間抜けな声を出しそうになる。
顔を赤くした敦くんにずっと触れるなんて、難易度が高すぎる。
…少し躊躇っていると、そこに乱歩さんがやってきて、楽しそうにグイグイと私を押した。
乱「そうそう、これが楽しみだったんだよ〜」
太「ちょっ、…乱歩さん?!」
瞬間、目の前の敦くんに激突する。
そのせいでバランスを崩した双方が床に倒れ、敦くんが私に押し倒される図になった。
…乱歩さんの笑い声が後ろから…、否、上から降ってくる。
太「敦くん…ごめん!」
彼の顔が急に赤くなり始めたのは、異能無効化のせいなのか、…それとも…。
敦「…っ、い、いえ!…その、太宰さんこそ」
太「今どくからね」
横に胴体を退けて倒れている敦くんに手を伸ばす。アルコールのせいでふらついて居るのか、覚束無い足を一生懸命に使いながらふわりと地面に足をついた。
与「おや、敦が赤くなったね」
敦くんの顔をまじまじと見つめてニヤリと微笑んだ与謝野先生は無理やり私達の手を繋がせて敦くんにグラスをあげた。
…もう既に諦めている国木田くんは、やっと2つ目の缶に手を伸ばしていた。
…敦くんも、先輩から貰ったものを断れずに
少しづつアルコールを口にした。
敦「…これ、美味しいかも」
アルコールが口に馴染んできたのか、ペースを上げてお酒を飲み干しては、その都度呂律が甘くなり、吐く息すら色っぽくなっていった。
手を繋いで、こんな近くにいるのだから、その変化が、誰よりも強くわかってしまう。
太「…二日酔い確定だね」
与「流石の虎も分解が追いつく訳ないねぇ」
与謝野先生は、酔いつぶした国木田くんを満足そうに眺めて、“次は敦を…”と企みながら、度数の高いアルコールを勧めた。
それを横目に見ながら、乱歩さんもカルーアミルクを口にしている。
…賢治くんは入睡、谷崎くんたちはナオミちゃんの学校があるため、もう帰っている。
鏡花ちゃんと社長は、2人で何か楽しそうにしている…。
…つまり、この状況に置いての救世主は居ない。
太「これ以上飲んだら、、敦くん…本当に平気かい?」
敦「だいじょぶ…、ですよ。これ飲んだら、終わりにしますから」
あっという間に飲み干してしまっても、敦くんは眠らず倒れずだ。
与「…これには流石の妾も驚きだねぇ。敦、素でも酒に強いのかい。これから飲ませがいがありそうだ」
愉快に笑って満足したのか、やっと敦くんをアルコール地獄から解放した。
僅かだけど、だんだんと繋いだ手の温度が上がり、そこにかかる重さが増している。
太「…敦くん、1人で立て……、ないよね、。でも、そろそろ帰る時間だろう?」
敦「立てますよ、…多分。」
太「フラフラしちゃってるし、帰り大変だろう?あんな大量のアルコール、きっと明日になっても残ってるよ。」
乱「…だったら太宰が送ってあげれば良いじゃん」
今迄黙って盗み聞きをしていた乱歩さんが口を開いた。
太「でも私が触れていたら…」
乱「生憎、君以外送れる人居ないし、触れていようが触れていまいが、大変なのも、二日酔いなのも変わんないよ」
的確に指摘されては、肯定以外に道はない。
太「そうですか。…じゃあ、彼は私が送っていきます」
これ以上彼に触れていたら、気が気でならなくて大変だけれど、そこはまぁ、…何とかなって呉れ…
太「…それじゃあ、彼ももう限界そうですし、私達はおいとまさせて頂きます。」
敦「すみません、太宰さん…、、、皆さん、今日は本当にありがとうございました…!あと、明日プレゼントは持ち帰りますね、今日は少し無理そうなので…、」
乱「わかったぁ、気をつけてねぇ」
残った社員も乱歩さん、与謝野先生、社長しかいなかった。…鏡花ちゃんは約1年前程に部屋が別になったから、もう1人で帰ってしまったのだろう。
他の3人もバラバラに返事を返して私達を見送ってくれた。
そして、もう1時半にもなる夜中、探偵社を出た。