テラーノベル
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風が少しだけ強い。
「……ねえ、グリーファー」
「なんだよ」
「今日、隣いい?」
「は?」
珍しく、ちょっと遠慮がちな声。
グリーファーはちらっと見る。
「……勝手にしろ」
「やった」
すぐ隣に座るプレイヤー。
距離、近い。
「……なんだよ」
「んー?」
「やけに大人しいな」
「そう?」
「そうだよ」
少し様子がおかしい。
いつもならもっと明るく絡んでくるのに。
「……ねえ」
「だからなんだよ」
「ちょっとだけ」
少しだけ、服の裾をつまむ。
「そばにいて」
その一言。
一瞬、グリーファーの動きが止まる。
「……お前さ」
「うん」
「それ反則ってわかってる?」
「え?」
「無自覚でやってんなら余計タチ悪ぃ」
ため息をつく。
でも――
「……来いよ」
ぽん、と隣を軽く叩く。
「いいの?」
「いいって言ってんだろ」
プレイヤーは少し嬉しそうに近づく。
そのまま、
こてっ
肩にもたれかかる。
「っ……!」
グリーファーの体が一瞬固まる。
「……おい」
「なに?」
「近ぇ」
「やだ?」
「……」
一瞬黙って、
「……やじゃねぇ」
小さく答える。
「ほんと?」
「何回聞くんだよ」
「だって安心するから」
ぎゅ、と少しだけ袖を掴む。
「……はぁ」
深いため息。
「ほんと隙だらけだなお前」
「そうかな」
「そうだよ」
そのまま――
ぐいっ
今度はグリーファーが引き寄せる。
「っ!」
「こっちのがマシだろ」
腕の中に収める形。
完全に囲われる。
「……グリーファー?」
「動くな」
低い声。
でもどこか優しい。
「お前さ」
「うん」
「他のやつにもこういうのやってねぇよな」
「やらないよ」
即答。
「君だけ」
「……」
グリーファーの腕に、少し力が入る。
「……ならいい」
ぽつり。
「ねえ」
「なんだよ」
「ちょっと恥ずかしい」
「は?」
「こんな近いの」
「今さらかよ」
「だって…」
顔が少し赤い。
「……顔見せろ」
「え?」
顎を軽く持ち上げられる。
目が合う。
逃げられない距離。
「っ……」
プレイヤーが少し目を逸らす。
「逸らすな」
「だって…」
「いいから」
じっと見つめる。
それだけで、空気が甘くなる。
「……ほんとダメだなお前」
「え…」
「そんな顔してたら」
少しだけ声が低くなる。
「我慢効かなくなる」
「っ!?」
プレイヤーの肩がびくっと揺れる。
「……グリーファー?」
「ビビってんのか」
「ちょっとだけ…」
正直に言う。
「……はぁ」
ため息。
でも――
そのまま、
ぽん、と頭を軽く撫でる。
「安心しろ」
「え?」
「無理はしねぇよ」
少しだけ優しい声。
「……ほんと?」
「ほんとだ」
「よかった…」
ほっとしたように、また寄りかかる。
「……でもな」
「ん?」
「これ以上は」
少しだけ間を置いて、
「俺の気分次第」
ニヤッと笑う。
「えぇ…」
「文句あんのか」
「ないけど…」
ちょっと困った顔。
「……ほら」
「?」
「ちゃんとこっち来い」
腕を引かれる。
今度は完全に、
グリーファーの胸に収まる形。
逃げ場なし。
「……こうしてろ」
「うん」
素直に頷く。
「……プレイヤー」
「んー?」
「ほんと、俺にだけにしろよ」
小さく、でもはっきり。
「うん、するよ」
即答。
「……ならいい」
少しだけ満足そうに目を細める。
そのまま、
静かな夜の中で。
プレイヤーは守られるみたいに包まれて、
グリーファーは離さないように抱き寄せていた。
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