鳴り響く轟音に燃え盛る炎、叫び続ける悲鳴
西暦2360年
当時先進国であった日本は突如終わりを迎えた…
「もう諦めなさい大宗、これだけ探したのに見つからないならもう仕方ないわよ。研究所に行く時間が無くなっちゃうわ。」
俺は自宅の玄関前からよく遊んでいる公園までの道を往復していた。
「あともう少し探したら見つかるかもしれないだろ!絶対にこれだけは無くしちゃ行けないんだ!」
俺は血眼になって地面を眺めた、馬鹿の一つ覚えみたいに。まるで空を嫌うかのように。
「もう本当に仕方がないんだから……あ、豹馬くん!帰省していたの?」
顔を上げるとそこには昔よく遊んでくれたまるでお兄ちゃんのような存在だった豹馬がいた。
「久しぶりだね大宗くんと椿さん。何を探しているんだい?」
聞き馴染みのあるこの声は不思議と心地が良かった。信頼しているが故だからだろうか。
「そうなのよ聞いてよ豹馬くん。さっきからこの子が無くしたキーホルダーをずっと探してて…私は諦めろと言ったのだけど…」
母さんは疲れきった顔をして言った。
「ただのキーホルダーなんかじゃない!あれは源が引っ越すから思い出に2人でお揃いのキーホルダーを買ったんだ!だからこそ無くす訳には行かないんだよ!!」
そうだ、あのキーホルダーは福岡に引っ越した源のことを忘れない為に一緒に買った大切なキーホルダーなんだ。
「なるほどね……大宗くん。失ったものばかり数えるのはやめようよ。別にこれは悪いことじゃない。失ったを数えてばかりじゃ良いことも見逃してしまうよ。」
確かにこれは正しいのかもしれない、しかも豹馬は会社を受け継いで社長になったんだ。言葉の説得力がすごい。
「そうそう豹馬くん最近社長になったんだって?ここ仙台で話題よ?地元であと超大手NGEの社長になった人がいる。って」
「そうだよ豹馬、今は何を会社でやってるんだよ。俺だってNGEで働きてぇよ!雇ってくれよ!」
「ふふふ、そうだねもう少し大宗くんが立派な大人になったら考えておくよ。(Next generation energy)は今まで新しい次世代エネルギーの発明をしていたが、今はエターナルモートルが作られたからね。これからはやり方を変えてエターナルモートルを生かした開発をしようと思っているよ。」
「ちぇっ、雇ってくれねぇのかよ。あ!そうだ!弁当を届けねぇと!」
そうだ俺と母さんはこの後父さんが働いてる研究所に弁当を届けに行かなければならないのだ
「じゃあここら辺で、いつかまたご飯食べにおいでね豹馬くん。」
俺たちは振り返って走り出した。
「はーいまた食べに行きます。……福岡ねぇ。
大宗くんが悲しまないといいんだけれど。」