テラーノベル
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「…たすけ…てッ」
その時、奴はハッとしたような顔をして俺の首から手を離した。
息を勢いよく吸い咳き込んだ。俺は反射的に距離を取った。奴は手を離した時のまま、固まったように立ち尽くしている。戦う意思はないように見える。
「お前…名前は?」
そう聞くと彼はこう言ってくれた。
『lor…』
「ありがとな、lor。そうだ、俺はkuっていうから。」
『ku、?』
発音がぎこちない。喋れるとしても単語程度か。
「とにかく、歩いてみよ」
その時、俺が進もうとした廊下を指差してlorが言った。
『…だめ』
「? だめってなんだよ」
すると、廊下からコツコツと足音のような音がした。それと同時に嫌な空気を感じた。
「誰か…いや、何かがいる。」
身構えていると、思いもしない声が聞こえた。
「あっ!見つけたー!」
明るすぎる声。救急車のサイレンみたいで安心と不安の境界線を踏んでいるような感覚。
「ねぇ、君ら大丈夫だった?」
現れたのは水色髪の男だった。ぱっと見は普通の人間に近い。だけど、笑った口元から覗く歯はギザギザとしていた。
「ここねー、むやみやたらに歩くと詰むんだよね」
こちらの空気を読まずに距離を詰めてくる。
「離れろ」
「おっと、ごめんごめん。警戒心強。でもこのままだと出られないよ~?あと、俺の名前はgrgnっていうから!」
それからgrgnが一拍置いて言った。
「出口、俺知ってるよ。」
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