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「出口、俺知ってるよ。」
「絶対ここから出たいでしょ、kuちゃん」
俺は一度もコイツに名乗っていない。
「…何で俺の名前を知ってる」
「え?さっき聞こえたから。とにかく、出口案内するからさ」
lorが小さく首を振った。
『……うそ』
たった二文字。けど、それは明らかにgrgnへ向けた否定だった。grgnはそれを見て、笑った。
「お、そいつ喋れんの? かわい。ま、いいや。kuちゃんだけついてきて。」
俺は即答しなかった。代わりに、床と壁と天井を見る。蛍光灯の唸りがさっきより低い。空気が、ほんの少しだけ甘く臭い。そして何より、角を曲がるたび、景色が同じなのに“距離”だけが変わっている気がする。水色髪は迷いなく曲がり角を選ぶ。躊躇が一切ない。
(こいつ、地図を持ってるんじゃない。空間の癖を知ってる)
「kuちゃん、どうしたの。置いてくよ?」「……いや」
俺は立ち止まったまま言う。
「出口に向かってるなら、なんで戻れない場所を選ぶ」
言った瞬間、grgnの足が止まった。空気が、変わった。さっきまで軽かったはずの声が、耳の奥に爪を立てるみたいに歪む。
「へえ」
水色髪はゆっくり振り向いた。ギザ歯が、さっきよりはっきり見える。
「察し良いね~、アンタ。」