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#独占欲
#ワンナイトラブ
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次の週の土曜日。僕たちは朝から某クリニックの待合室にいた。 そこは、女性、女性、そして女性。たまにいる男性たちは、戦場から生還した兵士のような虚ろな目でスマホを見つめている。
完全なるアウェイだ。だが、言い出したのは僕だ。ここでひるむわけにはいかない。
受付を済ませると、僕たちはあっさり分断された。
「では、ご主人はこちらへお願いします」
採血を終えた僕の前に、横幅に圧倒的な説得力を持つベテラン看護師さんが現れた。彼女は無言のまま、白い小さなカップと透明な容器を差し出してくる。
「こちらへどうぞ」
案内された部屋のドアには、小さくこう書かれていた。
――採取室。
(ど直球すぎるだろ)
「ここで出してください」
(……え?)
思考が一瞬でフリーズする。
(ここで? まさか――この人の前で!?)
しかし看護師さんは一切動じない。
恐怖におののく僕をよそに、彼女は机の上にあるDVDプレーヤーと、どぎついパッケージの数枚のディスクを指さし、
「それ、使って」
とぶっきらぼうに言って、すたすたと退室していった。
安堵も束の間、ふと何種類かあるAVのタイトルを見ると、全て人妻モノだった。
(誰のチョイスだこれ。 院長か!?なぜ「人妻」のみに限定されているんだ? 浮気防止のつもりなのか、それとも単にこの病院のターゲット層への配慮なのか。 いや、こんなことを分析している場合じゃない!)
今は一分一秒を争うミッションの真っ最中だ。
(外、めちゃくちゃ人いたよな……さっき入ったの、絶対誰かに見られてるよな……?)
壁の時計の秒針が、心臓の音より大きく聞こえる。
(やばい、制限時間が迫っている気がする……! あんまり遅いと、あいつ粘りすぎじゃない? とか思われるよな!?)
焦れば焦るほど、僕の分身は完全シャットダウン。スリープモードどころか、OSの更新ファイルすら見当たらない。
(頼む、動いてくれ! これには、夫婦の未来がかかってるんだ……!ここで止まるな……!)
「……はあっ……はあっ……」
なんとか任務を完了した。彼女との約束通り、備え付けのDVD及びスマホには一切頼っていない。僕はただ、彼女の温もりだけを必死に手繰り寄せていた。
だが、透明な容器の底を見つめて、絶望した。
(……これ、少なすぎないか?もはやサンプルって言っていい量なのか?……)
新たな不安が押し寄せた。