テラーノベル
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「お客様,申し上げにくいのですが,あなた様はたった今死亡予定時刻の10分前になりました。ので,今から私についてきていただきたい…聞いてます?」所々破れた黒いマント。錆びた鎌を持った彼は死神だった。だが目の前に立つ男はため息をつくと,
「見てわからないか?これは数年に一度しか手にはいらない幻のカップ麺だ。せめて3分待て」と悪態をついた。
「いや,しかしお客様…」死神は困惑した。
彼は天界のなかでも一部しかいないエリート死神だった。
今まで回収してきた魂は100にも及び,今回も簡単だと高をくくっていたはずだった。が,
「…わかりました。3分ですね」そして,一分が経つ。
「あのう…」
「なんだ?」死神が気まずさに口を開く(開く口はないが)。
だが話すことはなく沈黙する。
「話すことがないのなら話しかけないでくれ。カップ麺の声が聞こえない。」
「こ,声ですか…?」死神は口を閉ざす。
3分が経った。
「では,魂の方回収させてもらっても…」「何を言っているんだ?3分待てと言ったって,食べさせてくれないのか?薄情者。」
「え,しかし先ほど3分と…」死神は少し頭をひねり,「やっぱり待ってあげようか…」と独り言をこぼした。
って,いやいや,何を言っているんだワタシは。
この方の魂を回収するのが仕事…しかし,たしかに用意するだけ用意して食べないというのは人間界で言う食品ロスになる。
「…わかりました。食べ終わりましたらお声がけください。」
「わかってんじゃん。」
そして3分後,彼の魂の回収がおわる。
「まったく…あの人の最後の言葉がまさか『天国にカップラーメンはあるのか』だとは…まぁ答えてしまうワタシもワタシですが…」死神は回収対象者の写真付きチェックリストにチラリと目をやる。
ツインテールの濃いメイク…
「次の方は,また面倒くさそうですね…」彼は今日も,難しい客を相手に魂を回収する。
少なくとも神が,この死神に対応が難しい客を押し付けているうちは。
コメント
3件
うわ、めっちゃいい味出してるなこの死神とカップ麺マニア!笑 最初は「また死神モノか~」って思ったけど、カップ麺にこだわる主人公のマイペースっぷりと、それに完全にペース乱される死神の掛け合いが絶妙すぎる。 「天国にカップラーメンはあるのか」って最後のセリフ、めっちゃツボったわ。次のツインテールの客も気になるし、続き楽しみにしてる🔥
まみむめももも
130
あおもか
77