【MEN said】
ぼんさんから『もうすぐ着く』と連絡がきて、
どれくらいの時間が経ったのだろう?
誰かが俺の家に来る気配は全くない。
先程からLI◯Eでぼんさんに、
メッセージを送っているのだが、
既読も一向にもつきそうにない。
そんなとき、俺のスマホが鳴り出した。
ぼんさんかな?と思い、
スマホを手に取ると、
そこには社長のドズルという字が。
こんな大事なときに撮影かよと
ちょっぴり不満を持ちつつ、
ドズルさんには逆らえないので、応答ボタンを押す。
「もしもし?ドズルさん?」
「あ、MEN……。突然なんだけどさ、」
「…はい?なんでしょう?」
「今すぐ、◯◯病院の◯◯号室に来てほしいんだ。」
「どうしたんですか?誰かが骨折して入院とか?」
「………いいから来て。そしたら、分かるよ。」
「じゃあね。」
「分かり…ました……。」
何かがおかしい。
普段、ドズルさんは
もっと落ち着きのある明るい声で話すのに。
今日は、物凄く悲しげのある声で話していた。
何となくだけど、
おらふくんとおんりーちゃんが
啜り泣くような声も聞こえたような気がしたし………
も、もしかして___
「ゔっっ、ぼんさっ、、、」
病院のベッドで横たわり、
静かに寝ているぼんさんを見て、俺は泣いた。
俺の嫌な予感は、
当たりたくもないのに、当たってしまったようだ。
「………っ、ははっ…」
1つため息を落とすと、
俺は泣くのをやめ、
無理矢理でも作り笑いを浮かべた。
泣くのはきっと、ぼんさんが許さないだろうから。
もう2度と目覚めることのないぼんさんに、
俺は話しかけた。
「ぼんさんは、俺といれて幸せだった?」
「俺は、いつもぼんさんに幸せにしてもらえてたよ。」
「ねぇ…今日の大事な話って何だったの?」
「もし、俺と別れたかったって言うなら、」
「別れかた間違ってるよ……」
「お願いだからさぁ…目開けてくんないかなぁ、?」
「俺、もう、耐えらんない………」
再び泣き落ちる俺の肩に誰かが手をそっと置いた。
おそらくドズルさんだ。
「MEN…僕からでごめんね。」
「本当は、ぼんさんから渡されたかっただろうけど……」
「………っ!!」
ドズルさんの方を恐る恐る振り向くと、
大きな手のひらに包まれていたのは、
紛れもなくお揃いの2つのシルバーリングだった。
「誕生日おめでとう。MEN。」
「ぼんさん、プロポーズするなら、
ずっとMENの誕生日がいいなって言ってたよ。」
「最高の思い出にしてあげたいって。」
「まさか、
こんなことになるとは思ってもなかったけど………」
「でも、受け取ってあげて?」
「ぼんさんの気持ちは変わらないだろうし。」
嘘だ…信じられない……。
ずっと夢にみてきた。
この人が俺の旦那さんだったらなって。
全く、ぼんさんって人は。
俺は泣くのを止め、今度こそ本当の笑顔で___
「ぼんさん、今日もいい天気ですね。」
貴方がこの世を去ってから1年。
俺は毎日、
仏壇のぼんさんが笑った写真に向かって話しかける。
俺の左手にはあの時のシルバーリングが。
もう1つは、ぼんさんの左手に。
遠く離れていても、
俺とぼんさんが永遠にパートナーである印。
運命の【赤い糸】はずっと結ばれているのだ。
コメント
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めっちゃ感動した🥹