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転校してきた殺し屋君第1章:偽物の日常
エピローグ
狂った歯車の正体
爆炎が上がり、サイレンが街を覆う。その喧騒を遠くに聞きながら、学校を見下ろす高台に一台の黒塗りの車が停まっていた。
後部座席で優雅に煙草を燻らす女――「リーダー」と呼ばれた黒幕が、隣に座る男に低く、鈴の鳴るような声で問いかけた。
「……終わったかしら?」 「ええ。指谷は再起不能。文字通り、灰になりましたよ」
男が淡々と報告を続ける。 「しかし、驚きました。凪浩一たちが追っていた『親友の死』。あれ、結局は我々の計画とは一切無関係……指谷が個人的に、あの少年が目障りで突き落としただけだったとは」
女は窓の外を眺め、退屈そうに唇を歪めた。 「そうね。指谷は優秀な『道具』だったけれど、執着心が強すぎたわ。あの子の死に組織の影を感じ取って、勝手に踊って、勝手に自滅した。……皮肉なものね。凪浩一が命をかけて暴いた真実は、ただの一個人の私怨だったなんて」
彼女たちにとって、浩一が命を懸けて戦った「親友の仇」など、取るに足らない些細な出来事でしかなかったのだ。
「さて、本題に入りましょうか。組織の裏切り者を掃除する『本当の計画』について」
女がそう言うと、車のドアが外から開かれた。 そこに立っていたのは、数時間前まで図書室の惨状を冷徹に裁き、浩一に「感謝」すら示していたあの人物だった。
「遅れました、リーダー。現場の後始末は完璧です。凪たちは、私が味方だと信じて疑っていませんよ」
眼鏡を直し、穏やかな、だが凍りつくような微笑みを浮かべる男。 黒咲(浩一)たちが組織の「右腕」だと信じている佐江宮ですら知らない、真の裏切り者。
「……ご苦労様、教頭先生」
女の右腕として、最も深く潜入していた男。 黒咲浩一の「普通の日常」を守るはずの学校そのものが、すでに巨大な罠の一部であることを、まだ誰も知らない。
ひとせるな
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