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これは ただ の 平凡 な 高校生 二人 の 恋 の 話
長い長い恋 の 話 。
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少し開いた大きな窓の網戸の隙間から風が入る。
カーテンが小さく揺れて、けたたましい目覚まし時計の音が部屋に鳴り響く。
ベッドの上で目を擦りながらその目覚まし時計を見る緋色の瞳。
翠『 ふ ぁ っ … 、七時 … 、50 … 、6 。 』
翠『 七時 56 !? 』
彼はその時計に示された数字を見て驚き、急いだ様子でベッドを降りる。
翠『 ぅ わ あ やばい やばい っ 。 』
翠『 昨日 ぽけもん し過ぎたからだ − !( 焦 』
翠『 もう絶対やらない ! 』
何度目かわからないその言葉を必死な様子で叫ぶ。
乱れた制服の皺をなくすためシャツの下部分を引っ張り緑のセーターを見に纏う。
慌てた様子でネクタイを取り、歯を磨く。
_『 あんた ご飯 は ? 』
翠『 ト − スト だけ 頂戴 !! 』
_『 お兄ちゃん 昨日 夜更かししてたもんね 。自業自得 。 』
_『 夜更かし !? 』
翠『 それは 言わないでよ ぉ っっ ! 』
母親と妹と言葉を交わし、手渡されたトーストを口に頬張る。
綺麗に磨かれたローファーを履き玄関に掛けてある鍵を取る。
翠『 いっふぇ きま ふ っ !! 』
_『 行ってらっしゃい ! 』
_「 いってらっしゃ ~ い 。 」
玄関でその言葉を返す母とリビングから聞こえる妹の声に背中を押されて彼は走った。
走りながらネクタイを締め片手でトーストを持ち頬張り続ける。
翠「 おいし っ 、 」
小さくそう呟き、柔らかい笑みを溢した。
そんな誰にでもあるような当たり前の生活。
群を抜いて賢いわけでもなく、人一倍容姿端麗なわけでもない。
ただの一人の男子高校生の日常。
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下駄箱に履いていたローファーを入れ上履きを取り出して履く。
一年生は赤のネクタイ、二年生は緑、三年生は青。
ギリギリに着いたその男子高校生は今年二年生だ。
今日は入学式とかそんな特別なイベントがある日というわけではない。
クラスに慣れて来た中間テストを控える5月上旬のある火曜日である。
_『 すち ! おはよう 。( 微笑 』
教室の扉を開けたらすぐさま彼に話し掛けてくる人がいた。
翠『 おはよう 。らんらん 。( 微笑 』
桃『 うん !( 笑 』
すち、彼が一年生の時話す相手がいなかった彼に最初に話し掛けたのがすちの目の前に居る桜木蘭だった。
一年生が初対面でそこから少しずつ話すようになった。
翠『 今日 … 、時間割なんだっけ 。 』
桃『 数I 社 音 英II の 国語 − 。今日職員会議 だから 五時間だってさ 。 』
翠『 そうなんだ 、俺 今日 は 早く帰りたかったから ラッキ − 。 』
桃『 なに 帰って また ぽけもん でも やるん 。 』
翠『 正解 。 』
桃『 即答かよ 。 』
そんな他愛のない会話をしながら荷物をまとめて革鞄を机の横に掛けた。
すちはスマートフォンを取り出し写真フォルダを開く。
そしてそのフォルダに映る好きなキャラクターの話をする。
すちにとってこの時間はかけがえのない時間だ。
翠『 それでさ 、 』
桃『 え 、なになに っ 。( 笑 』
その時予鈴の音が校内に響く。
桃『 あ 、座らなきゃ 、またね 。 』
翠『 うん 、また 。 』
そう告げてらんは自身の席へ戻っていった。
席に座ったら隣の席の茶髪の青年と話をする。
その姿をすちはただ眺めている。
_『 お前 嫉妬か ? 』
翠『 は っ ? 違う … 。 』
濃いゆかり色の髪をした三白眼の隣席の青年はすちを挑発するかのように問いた。
それに反射的にすちは言葉を返した。
熊野入間、すちにとっては二年生に上がってから知り合った友人に近しい存在だ。
紫『 青春 − 。 』
翠『 だから 違うってば 。 』
苦虫を噛み潰すような表情を浮かべ軽くいるまのことを睨む。
すちは机に突っ伏し話を終わらせようとした。
翠「 らんらん は なっちゃん が 好きだから … 、俺 の 片思い が 叶う訳ない 。 」
すちはそう呟いて不貞腐れた。
そしてチャイムが鳴り、一時間目の授業が始まった。
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