テラーノベル
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俺様の名はタマ。この町の路地裏を仕切る、歴戦の野良猫だ。今日も今日とて、朝から晩まで「ニャー」と鳴いては人間どもからご飯をせしめる、という崇高な任務に勤しんでいる。だがな、お前ら人間は知らないだろう。猫の人生ってのは、マジで辛いんだぜ。
まず、朝だ。朝日が眩しい? ふざけんな。俺様は夜行性なんだよ! 真っ昼間から「ニャーニャー」と鳴いて人間を起こし、朝食をねだる。これがどれだけ神経を使うか。寝ぼけた人間どもは、たまに俺様の鳴き声に気づかず、そのまま二度寝しやがる。おい、起きろ! 俺様が腹減ってんだよ!
そして、ご飯だ。人間どもは「猫は魚が好き」とか勝手に決めつけてやがるが、とんでもない! 毎日毎日、魚ばっかり食えるか! たまには高級な鶏肉とか、カリカリのチーズとか、そういうのが食いたいんだよ! なのに、出てくるのはいつも同じカリカリ。たまに缶詰が出てくると、テンション爆上がりだが、それも一瞬だ。もっとバラエティに富んだ食事を要求する!
さらに、人間どもの謎の行動だ。俺様が気持ちよく日向ぼっこしてると、いきなり腹を撫でてきたり、耳の後ろを掻いてきたりする。まぁ、それはいい。気持ちいいから許してやる。だがな、いきなり抱き上げて、意味不明な高い声で「かわいいね〜」とか言ってくるのはやめろ! 俺様は野良猫だぞ! 威厳を保たせてくれ!
一番の苦痛は、風呂だ。なぜか人間どもは、俺様を風呂に入れようとする。冗談じゃない! 水が大嫌いなんだよ! あのシャワーの音、体にまとわりつく泡、そしてあの謎のドライヤーの風! まるで拷問だ! 毎回、風呂場から脱走するのに命をかけてるんだからな。あの戦いは、まさに死闘だ。
ある日のことだ。いつものように路地裏をパトロールしていると、見慣れない段ボール箱が置いてあった。中を覗くと、小さな子猫が震えている。「ニャー…」と弱々しい声。おいおい、新入りか。
俺様はため息をついた。また面倒が増えたな、と。だが、これも先輩猫の務めだ。俺様は子猫に近づき、そっと頭を舐めてやった。子猫は驚いた顔で俺様を見上げた。
「お前も、これから辛い人生が待ってるぞ」
俺様はそう心の中で呟き、子猫を連れて、今日の獲物を探しに歩き出した。ああ、今日もまた、人間どもからご飯をせしめるという、辛くも尊い一日が始まる。
猫は辛いよ。本当に辛いんだ。だが、それが俺様の生き様ってもんだ。
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