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NO side
トウカの部屋に、アラームの音が響く。
不機嫌そうに目を覚ました透海は朝の支度を始める。
「……ねっむ……」
どうやら彼女は朝に弱いらしい。
「カル〜 カッター貸して」
カルとは、カルヴァリーのこと。
長すぎるので、あだ名で呼んでいるのだそう。
《ぬいぐるみは動けねぇよ》
「………はぁ…」
トウカが引き出しからカッターを取り出そうとした時、
ートントン
誰かが来たようだ。
「ヒスイー? もう来たの…?」
ヒスイが来るには早すぎることに違和感を覚えながらも、玄関へと向かい、ドアを開ける。
そこに立っていたのは、
「元気かい?」
紫色と、青緑色の瞳を輝かせ、薄くグラデーションのかかった髪。何よりも目立つのは、頭に生えている大きな角だろう。
彼の名は、ベルソー。
無愛想だが意外にも優しい、そんな性格だ。
彼もトウカの元親友である。
「あら、久しぶりね。今更何の用?」
「随分と久しぶりだな。トウカ。 救世主サマとは仲良くやってるか?」
「冷やかしに来たのなら帰って。」
そう言ってトウカが扉を閉めようとしたその時、トウカはベルソーに肩を捕まれ、首にナイフを当てられる。
「面白い噂を聞いたもんでなぁ? お前、新入りをいじめてるんだって?」
「……それがどうかしたの? 私に仕返しでもするつもりかしら?『揺りかご』さん?」
「あんまり調子に乗るなよ?クソ女。 俺はいつだってお前を殺せる。」
「はぁ…めんどくさいやつ……わかったわよ。 ささっと離して」
⁇?「ベルソー、みーっけ! 」
トウカがベルソーを振り払おうとすると、突然、背後から声がする。
「あ?」
振り返るとそこには、紫色の瞳の少年がナイフを手で器用にクルクルと回している。
「アンタ達ねぇ…私はこれから用事があるの。帰ってもらっていいかしら?」
⁇?「おっw 残念んだったなぁ、ベルソー! 見事にフラれたぜ!」
目の前の少年は愉快そうに笑う。
⁇?「ほら、こいつは忙しいんだってよ! 離してやれってw」
「チッ…」
ベルソーは軽く舌打ちをすると、トウカの首からナイフを離す。
少年はベルソーがナイフを離したことを確認すると、その場を去ってしまった。
「なぁ…トウカ。」
「何?」
「お前の言う用事っていうのは、例の新入りのことなんじゃないか?」
「えぇ、そうよ。 貴方達のだいs「アイツってキモいよな」
透海 side
突然の言葉に思わず固まってしまう。
今……コイツ何て?
「キモい」… みんながみんな悪女の事大好きな訳じゃないのね。
ヒスイ「トウカちゃぁぁん! 遅れてごめ……
べ、ベルソー…?」
元気よく走ってきた彼女だったが、ベルソーの姿を見て、少し怯えたようになった。
当たり前ね、ハルカだってアイツのオモチャになったんだから。
「……さ,行きましょう。 着いていらっしゃい。情報収集にはぴったりの場所を知ってるの。」
「俺も行く。」「……好きにしたら?」
「……」
「大丈夫。 コイツはオモチャじゃない。」
「そう……なの?」
こうは言っているものの、まだ完全には信用していない様子だった。
「……おい、揺りかご。」
「あぁ?」
おっと、怒らせちゃったわね。 揺りかごって自覚あったじゃない。面白いわ。
「新入りのことどう思う?」
「キモい」
即答された。
「……ほらね?」
「…よかった……」
ヒスイは安心したような顔をした。
ようやく信じてくれたのね……めんどくさい…
ほとんど会話もなく、街を歩く。
いつの間にか目の前には大きな館が見えていた。
「さ,着いたわよ」
確か鍵はかかっていないはず……よね?
館の重い扉を開ける。 無防備すぎない?
「か、勝手に入っていいの……?」
「いいの、いいの」
「もう来たの。 早かったわね」
出迎えてくれたのはアスカ。
「連絡くらいしたらいいのに……」と少し呆れた様子だった。
「お宅の変態野郎に合わせてちょうだい。」
「急ねぇ……アイツなら研究室で5徹してるわよ」
「5徹ってやべぇな」
変態生きてるかしら。
「研究室入ればわかるわよ。 入ってみなさい、死んでたら教えて」
「扱いが酷い。
なぁ、トウカ…こいつ大丈夫なのかよ……」
「至って健康、平常運転」
「はぁ?」
彼の研究室兼図書室は2階にある。
ゆっくりと階段を登り、図書室へと入る。
図書室の重い扉を開けて、研究室へと入る。