冬花はまた別の動画を再生した。場所はまた公園の多目的トイレの中。
彼女は洗面台に手をついて立ち、足を広げてお尻を突き出している。陸と同じ顔をした男の子が、いわゆる立ちバックの体位で後ろから突きまくっていた。二人とも下半身は裸だけど、冬だからか上半身は厚着。さすが陸の弟。小学生なのに性器はすでに僕のものより大きい。
パンパンパンと肉体がぶつかり合う音が響く。彼女は陸とするときのように、ああんああんとあえぎながら快楽を貪っていた。陸の弟だけあってカイにもサディストの気があるのか、ときおり彼女のお尻を平手で打ち据えている。それをすると興奮するらしい。
何よりショックを受けたのはカイが避妊具をつけていなかったこと。僕とのときは口で行為するときも避妊具を欠かさなかったのに。そして危惧した通り、カイは精液を彼女の中に放出した。白い液体がぼたぼた落ちてトイレの床を汚していった――
安全日だったのだろうが、万一男子小学生との子を妊娠したら? そういう危険性は脳裏になかったのだろうか? さすがにかばう言葉が浮かばなくて、僕は沈黙した。
「そいつは飲尿や露出やロリコンプレイするような変態なんだ。変態は変態同士でくっつけばいい。あたしらにやりたい放題やられたのが悔しくて、仕返しに真面目なアニキを手玉に取って、汚い体を抱かせて童貞を奪ったんだろ? 便器女と真剣交際なんてやめてくれよ」
「僕が誰とつきあおうが僕の勝手だ」
「確かに。でもこの動画を親に見せるかどうかはあたしの勝手だよな?」
両親がこの動画を見たら今まで全面的に信頼していただけに、裏切られたという気持ちから彼女と別れろと僕に迫ってくるだろう。
「だいたいおかしいと思ったぜ。アニキの彼女が自殺しようとしたアニキを救ってくれたって親が言ってたけどさ、アニキは陰キャではあるけど一番自殺なんてしないタイプじゃねえか。どんな策略使ったか知らねえけど、あたしはその女だけは絶対に認めねえからな」
冬花は捨て台詞のようにそう吐き捨てて、自分の部屋に戻っていった。