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『 風を受ける兎 』
『 戦場で駆けていく、不敵な笑みを浮かべるお前に、俺達は心底惚れたんだぁ。 』
俺はそう言った。
死の瀬戸際でお前の表情が歪んだ理由に、俺たちが居たこと。きっとそう信じてるぜ団長。
俺の手を取った団長は、『前に進み続ける』と選択をした。
神威「 阿伏兎ってさ、何で俺を選んだの。 」
阿伏兎「 ……急にどうしたんですか団長。 」
船の端で風を受ける団長。目を細めて空を見上げ、手のひらを太陽に翳せば乾いたように喉を鳴らして。
神威「 俺は、実の妹やハゲを殺そうとするようなヤツで、お前をも簡単に殺せてしまう様なヤツで、 」
阿伏兎「 ……。 」
神威「 お前は俺なんかについて来なくても、もっと違う生き方があったんじゃないの。どうして俺なんかを選んだんだ。 」
当たり前のことを問われた気がした。
阿伏兎「 俺達夜兎族は、戦いに生き戦いに死ぬ一族だろ。おらぁ、” 本能 “ に従ったまでだ。そん中で、やっぱりアンタに居てほしいんだよ。って、臭い台詞はいらねぇか。 」
阿伏兎「 それに、 」
神威「 ……。 」
阿伏兎「 どうせ長くない人生なら、その人生アンタの横で終わらせたい。 」
神威「 ……、とんだ大馬鹿だね。阿伏兎は。 」
団長は、俺に微笑みかけた。
そんな団長を見ているとなんだか堪らなくなった。
俺は無言で腕を引いて抱きしめていた。
阿伏兎「 あー……今日は殺さないでくれよな。団長。なんだか、分からねぇが、アンタが生きててくれて良かった。 」
神威「 はは、 」
団長は俺の腕にしがみつくと、珍しいこと勿れ。
神威「 阿伏兎が俺を拾ってくれて良かったよ。 」
俺は泣き出しそうな叫び出しそうな団長を慰めてやることしか出来なかった。
神威「 ……ッア、 」
阿伏兎「 痛てぇか、団長。 」
団長は俺の腹に軽く蹴りを入れた。
阿伏兎「 い”て”ッ、 」
神威「 俺を、誰だと持ってんの、 」
高揚した顔で自分の足を俺の背中に絡めてきて。団長の中に挿入った自身の愛欲を感じながら少し笑って。
阿伏兎「 はっ……、 」
団長が情けなく眉を下げて笑うもんで、俺は緩く口付けを。確かめる様に舌を馴染ませた。
こんな事するのに意味なんて無いのかも知れないけど、それでも団長が俺を求めて、そんで俺はコイツを慰めてやれるものがこれしか分からなくて。
神威「 余計な、こと、考えてる、お前今、 」
神威「 俺に集中、 」
口付けを団長から離せば、コツンと優しく頭突きをして。初めて身体を重ねたわけじゃないのにアンタを抱くことが少し怖い。
戦いの熱を覚ます為に何度も何度も重ねた身体。なのに、何だか今は腫れ物に触る様に触れないと壊れそうで。
阿伏兎「 だんちょ、 」
俺はアンタを情けなく呼んで緩く緩く動き出して。微かに聞こえる嬌声が心音に届くと縮まる感覚がして。
阿伏兎「 だん、 」
声を出そうとする俺の口を、俺の腕に回した腕を動かして唇を塞いで、
神威「 神威、 」
阿伏兎「 え、 」
神威「 団長じゃない、名前呼べヨ、 」
阿伏兎「 〜〜〜ッ”、、、、、 」
俺は馬鹿でかいため息をつき。
なんて愛らしいことを言うんだこのすっとこどっこい。
俺の理性が保てると思うのか。ほんっと……。
神威「 阿伏兎、 」
阿伏兎「 ぁ”〜〜〜…ハイハイ…神威さん、 」
ズッズッと音を立てながら自分でもわかるくらいの脈打つ愛欲を従わせるように手前からじわじわと慣らして。
神威「 ……ァッ”、……んぅ、 」
阿伏兎「 きもちーか、神威、 」
神威「 聞くな、ヨ、バカ。 」
俺は声を漏らしながらも、ムッとして睨んで見せるが普段よりも柔く見えて。乾いた様な笑いを溢せば頬を撫でればヤツの髪をほどき唇を重ね。
阿伏兎「 神威、愛してる、 」
ぽろっと出た言葉だった。返答が欲しいとも思わないが出てしまった事、口を噤もうとしたその瞬間。
神威「 __________ 。 」
聞こえた気がした。確かに、そう聞こえた。
俺は心臓が跳ねて、アンタの中が畝って、互いの熱が溶け合い、肌と肌が触れる感覚がもどかしい。
もっと近付いてもっと、もっと、
神威「 ぁっ、……はッ…”、ぁ、ぅッ”…ッ、 」
阿伏兎「 は………” ,,, 」
だんだんと早くなる動きに、神威は必死にしがみついて。碌に力も入ってない腕でしがみつく神威。奥へ奥へと中を進み続けて。奥のしこりに少し当てれば嬌声をあげて。
神威「 ッあっ……”っ、 」
阿伏兎「 ここ、好きだよな、 」
肩を揺らして口付けを求める神威。
嗚呼、なんて愛らしいんだろうか。どれほど拗らせ募らせてしまった恋幕だと思っているのだろうか。お前がきっとあの時俺に殴り掛からなかったらこうなっては居ない。
俺はあの時、お前に希望を見出して良かった。
神威「 あっ…、あぶ、とっ……!ぁッ、 」
阿伏兎「 んっ、神威、 」
俺の背中に脚をクロスさせて捕まえられれば、中きゅっと締めて。俺は痼り目掛けて腰を打ち付ければ息を荒げて。
神威「 ぁっ、...や、っ〜〜〜”ッ、!!! 」
阿伏兎「 ーーーッ”、、、 」
神威も俺も同時に果て、中から溢れる白濁が幸せと生きている実感をさせた。
浅い息を吐きゆっくり腕を降ろして両手で顔を掴み口付けてきて。
長い髪が艶っぽくて、透き通る様な青い澄んだ瞳に相待って狂おしい程美しい。
阿伏兎「 はぁ〜あ……アンタには勝てっこないわ…。 」
神威「 そりゃそうだよ。あーそうだ阿伏兎。 」
阿伏兎「 …? 」
神威「 結婚でもしよっか。 」
阿伏兎「 はい??? 」
神威「 んははは、冗談だヨ。何本気にしてんの? 」
けらけらと笑って揶揄う様に抱き締める神威。心なしが少しだけ瞳に輝くものが見えたけどそれはきっと見間違いだろう。
疲れたのか俺の腕の中ですぅっと寝息を立てて。
俺は身体をゆっくり寝かせてベットの軋む音を耳に残して自身も瞼を閉じた。
ゆっくりと瞼を開けた。
腕にあった重みは無くなっていて、行ったか、と思えば身体を起こし視線を動かした。
神威「 あ、起きた?遅い目覚めだネ。阿伏兎。 」
阿伏兎「 、 」
窓の縁に座る神威は、まるで奴の母親にそっくりで。靡く髪は橙色に光って柔く白い肌は小さな幸福を感じさせた。
神威「 ん?何? 」
阿伏兎「 いや、なんでもねぇよ神威。 」
俺たちはずっとこうなんだろう。
何十年経っても何万年経ってもお前を思う気持ちは全て純なものだろう。
たとえ死が二人を分かつまでその時まで、お前の傍で、お前の反応と争わせてくれ。
嗚呼、愛してる。
神威「 結婚しようか。 」
fin .