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「どうして、私を避けるんだい?
私達は親友のはずだろう?」
「っ、おい夏油、近いって、」
私は夏油の胸板を押し、距離を取ろうとするが、その手は簡単に絡め取られてしまった
「苗字呼びも良いけれど、私は前みたいに下の名前で呼んで欲しいな」
「、俺らは小学校の頃とは違う。いつまでも一緒にいれる訳じゃない」
だから、と言葉を紡ごうとすると
顔の横に置かれていた手が私の頬をそっと撫でた
「それは、友達同士での話だろう?
私は、その先の関係を求めているんだ」
「その先、?」
「あぁ、私はね
一人の女性として君が好きだ」
「、は?」
私は耳を疑った
コイツ、私が好きだって?
徐々に迫る傑の顔に、私はただ待つ事しかできなかった
こんな事、ダメなはずなのに
振り払えないのは、傑に絆されているからだろうか
「すぐ、る、」
「好きだよ、冷夏。
他の誰よりもね」
私はこの日、人生初の告白とファーストキスを受けた
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「、んぅ、」
目が覚めると、すっかり外は闇に包まれており、私の周りの人達は既に帰ったようだった
「、今日は持ち帰りか、」
私は身体を伸ばし、ふと自分の唇に触れた
その後私は教室を飛び出し、家へ帰った
そして、傑から逃げるように引っ越したのだ
そして、高校に入るがそこで軽いいじめに遭い、私はちょくちょく学校を休む事が多かった
当然、大学なんて行けるはずがなかったので
私はこのブラック企業に就職した
「、傑、今頃何やってんのかな」
たまに思う事がある、もしあの時、何かしらの返事をすれば何か変わっていたのかと
「、いや、やめよう。こんな事考えても意味ないし、」
私は必要な資料やノーパソをカバンに入れ、
その場を後にした
「ふぅ、疲れた、」
私は薄暗い廊下を歩きながら、小さく呟く
「転職しようにも、高卒が受け入れられる場所なんて限られてるし、」
どうしたモノかとロクに働かない頭で考えながら、私はエレベーターへと乗り込み、一階のボタンを押す
この二十四年間で、彼氏なんて出来た事ないし、それに比べて周りはどんどん結婚していく
「、なんかもう、考えるの疲れちゃった、」
どうせ死ぬ時は一人なんだし、このまま苦しいのが続くなら、いっそ、
私がそんな事を考えていると、エレベーターの扉が開いた
「、、あれ?」
しかし、着いた場所は先程の階
「ボタン押すの忘れてたのかな、」
私はボタンに目を移すが、ボタンは一階に光が付いていた
そして、ボタンの上の画面には一階の文字
「故障かな、しょうがない。
階段で行こう」
私はエレベーターから降り、階段へと足を向けた