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次の日の朝、ライとマナは昨日見たことを共有する為にウェンを呼び出した。
「なになに、昨日何があったんだよ~」
ウェンはイッテツとリトがどうなったのか気になっていたので2人から早く話を聞きたかったのだが、2人の神妙な表情を見て困惑した。
「お通夜かよ。昨日テツから何聞いたのさ」
さっき自販機で買ったオレンジジュースを飲みながら2人に聞くとマナが口を開いた。
「まぁ、まずはテツとリトが付き合ったねんな?」
「そうらしいね?おめでたじゃ~ん」
別にそれだけならマナは今頃泣きながら本人たちよりも喜んでいることだろう。でも明らかにこの顔は他に何かあったと言っている。
すると次にライが喋り始めた。
「そのあと…テツとるべが……キスしたんだよ!」
「……はぁ?!ありえないんですけど??」
口の中のオレンジジュースが溢れそうになるくらいウェンが口を開けて驚き、その場で立ち上がった。
「まぁ…そういう反応になるよな。わかるでほんま……。まぁ一旦落ち着こうな?」
「落ち着いてられないでしょ!どういうことか詳しく教えて!!」
イッテツとリトが付き合ってそこから何故、ほしるべとキスする事になるのか理解できるわけがなかった。が、マナもライも同じようだ。
「俺かて知りたいわ…」
「るべもテツも何考えてんだろ。意味分かんない!」
「もう、僕直接聞きにいってくる!!!」
ウェンはいてもたってもいられなくなりまだ登校していないイッテツかほしるべを探しに行こうとした。
「イッテツとリト付き合ったんや?」
その時後ろからカゲツがやって来た。
「あれ、カゲツきゅんじゃん。この時間にいるの珍しくない?」
「そういうウェン達こそなんでこんな早くからおるん」
ウェンが恋話バナをする為に早く集まったと説明すると、カゲツは驚いたように言った。
「へぇ、、僕てっきり佐伯とほしるべが付き合ったんかと思っ_」
「それどういう意味や??!」
その言葉にマナが過剰に反応したので慌ててライが止めに入った。
「カゲツ、その話詳しく聞かせて。マナは一旦深呼吸ね?」
それからカゲツは、最近自分が見たイッテツとほしるべの動向について話し始めた。
「最近…ていうか前からちょくちょく見かけるんやけど。あの2人やたらハグしとったりキスしたり?やから僕付き合ってるんやなって勝手に思ってたんだけど。違ったんか」
「…なーるほどなぁ。これリトには言われへんな」
「これどうにかしなきゃじゃん?僕達から言うべきだよね」
「じゃあマナが言ってよ。みんなで言うのもなんか違うし」
「わかった。任せとき~」
それからマナはイッテツと2人きりで喋れるタイミングを見つけてそれを実行することにした。
「テツ、ちょっと聞きたいことあるんやけど」
「うん。何?」
「昨日さ、テツ…るべとキス_してたやん?」
「あぁー、したね」
そこからマナは、何故リトと付き合っているのにるべとキスをするのかという話に続けようとした。その時イッテツがマナに顔を近づけて言った。
「マナくんもキスしたいの?」
「……は、?」
いきなりなんの冗談だと思ったがイッテツはどうやらふざけているわけではないらしい。
「僕、マナくんとなら全然できるけど?」
「マナくんなら…って。テツ自分が何言っとるか分かっとるん?」
「え?そりゃあ言葉通りだけど…」
どこか危険な予感がしてマナはイッテツの肩を掴み、問うことにした。
「テツ……キスすることがどういう事かちゃんと分かっとる?」
「うん。親しくしてる人とする事で…まぁ仲の良さを確認する__みたいな?」
「あんま言葉にするの恥ずかしいんだけど…//」
たしかにその説明は間違ってはいない。が、流石にその親しさの基準がイッテツは常識よりも低くなっているのだろう。
「ハグとか‥‥はまぁいいとして。キスはな?好きな人とするもんやから。テツで言えばリトと…」
「え?友達とでもするものじゃないの?仲いいのに」
「それはそうかもやけど。キスは友達とあんましやへんから」
マナがいくら説明しても納得がいかないようでイッテツは首を傾げたままだった。
「分かんないよ…るべくんもマナくんも親友だと思ってるから………だめな理由が分かんない…」
「っ、、、テツ!」
「ごめん、僕先生に呼ばれてるから。もう行くね」
「で、どうだった?」
昼休みになりマナはライとウェンの待つ教室へ向かった。そしてどこか浮かない表情のマナにライが優しく声をかける。
「うーん…それが__」
ーーー
「なるほどねぇ…テツってば納得してくれなかったかぁ」
「テツにとってはキスもハグとかと同じ程度のスキンシップらしぃわ」
3人は、うーんと悩んだ。今は運良くリトがその現場を見ていないがもし見られてしまったら…
「ほしるべも何考えてるかわかんないからなぁ。言っても通らなそうだし」
「やんなぁ。やっぱテツに分かってもらうしかないな」
「今日はこの3人だけで食べるんだし頑張って作戦考えるぞ~!」
それから3人は昼食を食べながら話を続けた。
「それいいやん!」
「ライ頭良い~」
「じゃあウェン。頼んだ!」
「任せろ~」
数日後の昼休み
「リトくんお疲れ様!!」
「おう。テツも毎回応援来てくれてありがとな」
今日はようやく運動部の助っ人としての役目を終えたリトが久しぶりに同じ教室で昼ご飯を食べる日だった。
「やぁぁっとテツとリトにゆっくり話聞けるわ」
「ねー。ほんと待ってたんだから」
マナとライがしみじみと頷く。そんな反応にリトが爆笑した。
「コココッ笑。何?そんな聞きたかった?笑」
「あったりまえじゃんねぇ?」
ウェンはそう言いながらリトの肩に腕を回した。
「そ、れ、でぇ~。どう思ったの?」
「何だよ。どう思ったって…汗」
「まぁ、ウェンがリトに質問攻めしとる間俺達はテツに色々聞こうかね」
「だね?」
「う、ぐ…」
恥ずかしい…マナくんもライくんもあれこれ聞いてきて焦って答えなくていいことまで答えちゃった。
ていうかさっきからウェンくんとリトくんの距離近くない?別にいいけど僕の知らないうちにそんな仲良くなってたんだ。ふーん。
「リト~」
「おいバカ、近ぇよ」
ウェンはいつも以上にリトに近づいて接してみせた。
「…テツ?大丈夫?ぼーっとしてるけど」
「え?あ、ぁ。別に…なんでも…」
「リト~ぎゅー!」
「何だよ笑…はいはい。ぎゅー」
そしてリトにハグをねだる。リトも笑いながらそれを受け入れた。
「テツ?どこ見とんの?」
「いや、何も…」
「リト~。ちゅー」
「は、それは…」
「いーから。合わせて」ボソ
そして最後のトドメとしてキスまでねだってみせた。流石にリトも動きが止まったが、小声で協力を促す。
「ほら、ちゅー」
「あ、、?えーと。ちゅ_」
「ちょっと待ったぁぁ!!」
ウェンがゆっくりリトに顔を近づけた時、イッテツの大声が教室に響いた。
「びっっくりしたぁ。急に大声出さんといてぇ汗」
「あ、ごめ…」
どうやらライの作戦は上手く行ったらしい。ライがすかさずウェンに目で合図すると、それを受け取ったウェンはリトの腕を引っ張り遠くへ連れて行った。
「うお、何?」
「いいから、黙ってついてきて」
それからリトとウェンがその場を去り、マナとライがイッテツにもう一度説得を始めた。
「……で、テツ」
「あ、うん。ごめん……僕マナくんの言ってたこと分かったよ」
「ごめんね?嫌がらせしたかったわけじゃないから」
「ううん。ライくんも…ありがとう」
ウェンがリトにしたように自分が今までほしるべとしていた事を振り返った。さっき感じたこの気持ち。もしかしたらリトくんもこうなっていたかもしれないと。
「わざわざリトくんにバレないようにまでしてくれたんだよね。本当に…その……なんて言えばいいか」
「ええんやで。テツならわかってくれると思っとったし」
「そうそう。これから気をつければいいから」
「……うぅ泣。マナくん”!ライくん”泣」
「ほらほら笑今泣いたらリトに怪しまれるから笑」
その頃のリトとウェン
「なんだよ急にこんなとこまで‥」
教室から少し離れた廊下でウェンはリトを引っ張る手を止めた。
「別にぃ?ただなんとなく走りたくってさ〜」
「‥‥なんだそれ汗」
理由になっていないウェンの言い訳に呆れつつも、まぁ普段からよく分かんないしな。と無理矢理納得した。
「じゃあ教室戻ろ!」
「あ、戻んのね?汗」
結局訳のわからないままリトは再び教室へと向かうために来た道を戻る羽目になった。
お互い無言のまま廊下を歩く。するとウェンが不意にリトの方を振り向いた。
「ちゃんとテツと幸せになってよね?」
「ふ笑、言われなくてもなってやるよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
続きます