テラーノベル
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午後の授業は、眠くなる。
窓から差し込む光はぬるくて、
教室の色もどこか薄まっていた。
——その時だった。
ジリリリリリ!!
耳を裂くような警報音。
一瞬、何が起きたのか分からず、
次の瞬間、教室がざわつく。
「火災報知器!?」
「マジ!?」
恐怖が一気に広がる。
赤、赤、赤。
不安と焦りが混ざって、
視界が焼けるように染まった。
(……っ)
息が詰まる。
情報量が多すぎる。
感情が、濃すぎる。
俺は思わず、俯いた。
「落ち着け!席を立つな!」
先生の声も、
緊張で歪んだ色を帯びている。
その中で。
——一箇所だけ、
静かな空間があった。
jp。
立ち上がるクラスメイトの中で、
あいつの周りだけ、
相変わらず、何も見えない。
次の瞬間、
誰かがぶつかって、
俺の肩が強く揺れた。
「……っ」
視界が、ぐらつく。
赤が、流れ込んでくる。
怖い。
近い。
多い。
——ダメだ。
そう思った時、
腕を掴まれた。
「ya!」
引き寄せられる。
気づけば、
jpの後ろにいた。
人の波と、
感情の洪水から、
遮られるように。
不思議だった。
jpの背中は、
相変わらず無色なのに。
そこにいると、
頭が、少しだけ静かになる。支え
「大丈夫か?」
振り返る顔は真剣で、
逃げ場を探す目をしている。
その瞬間。
——見えた。
今まで、
輪郭すら掴めなかった場所に。
はっきりとした色が、現れた。
鋭くて、強い。
でも、冷たくない。
——守る、色。
俺は、息を呑んだ。
「……jp」
名前を呼ぶと、
その色は、
またすぐに薄れていった。
「行くぞ」
短く言って、
jpは前を向く。
再び、透明。
まるで、
最初から何もなかったみたいに。
避難が終わり、
校庭に出たあとも、
俺の心臓は、落ち着かなかった。
見えた。
確かに。
jp.の感情は、
存在していた。
しかも、
俺に向けて。
——なのに、
どうして、
見えたり、見えなかったりする。
答えは、まだ出ない。
ただ一つ、
もう誤魔化せない事実があった。
jpは、
例外なんかじゃない。
俺の能力が、
jpに触れたがっている。
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