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「……っくそ……」
大森が去ってから数十分。
若井は資料を片付け、椅子に深く沈んでいた。
目が痛い。背中も、喉も、全部が重たい。
けど、帰ろうと立ち上がった瞬間――
「……動くな」
背後から、低い声がした。
振り返る間もなく、背中を押される。
「せ、先輩っ……!」
ドン、とデスクに押しつけられた。
背中に冷たい天板。目の前には、さっき帰ったはずの大森。
「逃げんの早すぎ」
「は……っ、なに、して……」
「お前が反抗するから、ちょっと“罰”な」
大森の顔が、近い。
嫌でも感じる吐息と、熱。
「俺に逆らうとか、生意気。――誰のおかげで、仕事できてんだよ?」
「自分でやってます……!」
「は?俺がやらせて“やってんの”。感謝の一つもないとか、ほんとバカじゃねぇの?」
若井の手首が、掴まれる。
強くない、でも逃げられない強さ。
「お前さ、俺がちょっと触れただけで、びびってんの、わかる?」
「っ……ち、近いです……っ」
「顔赤いけど、どした?嫌いな俺に触られて、反応してんの?」
ニヤリと笑って、大森は若井の頬に指を滑らせた。
その指が、嫌なほど優しくて――でも、冷たかった。
「……ほんと、お前って、俺の言いなりになるのが似合ってんだよな」
「や、やめてください……っ」
「やめねーよ。お前が“俺のもの”って、ちゃんとわからせるまで」
――大森の声は、ひどく穏やかで、ひどく意地悪だった。
……いったんここで切ります。