「お姉さん」
「え?」
突然声をかけられて驚く私だったが、すぐに相手が誰であるかを理解した。
そこには、私のよく知る少年の姿があったからだ。
いつの間にか、隣にいたらしい。
その表情はいつも通りのもので、特に変わった様子は見られない。
とりあえず安心する。どうやら取り乱さずに済みそうだ。
「何よ、あんたも来たわけ?」
「うん、まあね」
「…………」
「…………」
会話終了。
二人の間には沈黙が訪れる。互いに互いの出方を窺っているような状態が続く。
先に動いたのは彼女だ。
彼女は彼の手を取り、指を絡ませるようにして握り締めると、そのままゆっくりと腕を引いて彼を引き寄せる。
二人の唇の距離はゼロになる。
「あなたは、わたしのものよ」
そう囁いたあと、再びキスをする。今度は少し長めだ。
「さあ、一緒に行きましょう?」
手を繋いだまま歩き出す二人。向かう先は決まっている。
その途中、彼は立ち止まり、後ろを振り返る。そこには、今まで歩いてきた道がある。彼と彼女が共に過ごした日々があった証でもある。
しかし、それももうすぐ終わるのだ。
二人はこれから新たな旅路へと向かう。
これまでとは違う道を行くことになるだろう。
それでも構わない。なぜなら、二人にとって新しい世界の始まりなのだから。
二人の前には幾つもの壁が立ち塞がり、時には衝突することもあった。けれど、二人で一緒ならば乗り越えられた。壁の向こう側には希望があり、未来への道が開かれていたからだ。
二人は前へ進むことをやめず、歩みを止めなかった。
今はまだ、その先のことはわからない。
だけど、たとえ何があっても大丈夫。きっと幸せにしてみせるわ。
この気持ちだけは、絶対に変わらない。たとえ何があっても、それだけは譲れない。
あなたと一緒に過ごした日々のことを思うだけで、私は幸せなんです。
私のことなんて忘れてくれても構わないけど、これだけは約束してほしい。
これからも私との思い出を大切にしてくれて、ありがとうございます。
いつも一緒にいてあげられなくてごめんなさい。
それでもあなたのことが大好きです
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