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3.気にくわない
航side
俺の周りにはいつも女の子がいた。
遊んでる訳では無いけど、
男子と仲良くするのがそこまで得意じゃなかった。
『わたるー!』最近1番話しかけてくるのは未来。
妹みたいな存在だ。
そこまで親しくは無いけど。
嫌いではなかった。
でも。
好きでもない。
未来の近くにいたのは、あの子。
いつも話しかけてるのに、なんだがつめたく接される
『なにしてんの?』
俺が話しかければ女子はニコニコで色々教えてくれる。
なのにあの子だけは。
『なんもしてない。』
目も合わせずにまるで居なくなれって言われてるかのように静かに言ってくるだけだった。
周りの女子とはまるで違って冷めたような子。
本音が見えない。
でもダンスを本気でやりたいという意思だけは伝わってきた。
未来があの子とあまり話さなくなった理由は知らない。
でもその頃から、あの子はより一層自分を守るようになった気がした。
『曲聴いてんの?』
ダンスの曲聴いてんのか、偉いな。
『はずいから見ないで。』
『努力家じゃん。』
ただ、率直な感想だった。
でもあの子はその言葉で俯いた。
なんで。
ただすごいと思った。
そこから俺はあの子の努力をしてる姿を見るようになった。
1人で鏡に向かってる姿。
音楽に乗ってる姿。
細かく分析されたノート。
見れば見るだけ、
引き込まれていた。
でも、話しかけても。
『踊んの好きなんだね。』
『うん。』
短文でしか帰ってこなかった。
日に日に冷たくなるように感じて、
遠くにいるように誰とも話さなくなったあの子の姿を見て
気に食わない。
そう感じるだけだった。
俺が話しかけてんのに、冷たくて、
話しかけには来てくれなくて、
笑ってくれないし
目も合わせてくれない。
そして何より帰り誘おうと思ったらもう居なかった。
そんなあの子が本当に。
『気に食わない』
何とか心を開かせようと、
今日も俺は話しかけに行く。