夜を映すネオン
ショットグラスに注がれたアイとカクテル
隣でぽーっとグラスを持つ彼が
幸せそうに酒に溺れた。
「俺のものになりませんか?」
少し意地悪気に笑って俺は言う
右2つ、左に3つ開いたピアスは
赤が挿された頬をより色っぽく魅せる
『遊ばんといてや、w』
カンッと音を立てて合わさったグラスと
少し呆れたように笑う君
「遊んでないよ」「紛れも無く本心」
そんな言葉を酒に注ぐと
笑って薬指を擦った
『もうはまってるんよ』
揺れた瞳に愛は無い
静かに微笑む君の笑顔を守れなかったのは
一体どこのどいつだろう。
黒いスーツが良く似合う
黄色と黒の美しい髪
反射して光るネオンの街色が
黄色い宝石の様な目に埋まった
「もう行かなあかんわ、またな。」
まろ、なんて可愛く君は笑う
外で待っていた派手なピンク色
何個かも分からないピアスは
愛おしい彼とお揃いで
「愛してやれよ、、婚約してるくせに」
愛の無い「夜」がどれだけ辛いか
きっと相手は分かってない
酒に溺れて酔って泣いて悔やんで
死にたがったあの子の
脆く弱い部分
アイツは絶対に知らない
「俺の方が幸せにしてやれるのに」
彼が残していったカクテルに口をつける
_『俺だって、幸せになりたかった』_
そんな味は今でも忘れない
「絶対に君を奪う」
呑みきったグラスに向かって
誰にも言えない怒りと決意を
酔いに寄って言い放った
ーーー…
いつもバーにいる青髪
いつかの自分に笑って話しかけてくれた気がする
彼と話す時だけは
誰も知らない自分が出せた気がした。
【あにき…アイツが好きなの?】
『っ、ち、違う、』
【……ふーん】
隣で強引に手を引っ張る愛人
日によって性格が変わって
【俺にはあにきしかいないよ、っ、】
って泣く時もあれば
【お前を愛してやれるのは俺しかいないから】
なんて侮辱されたり
【今日呑み行ってくるね〜】
笑って浮気される事だってある
「(今生きてるのは)」
あの子のおかげかもしれんな。
あぁ、もう戻れない
愛してくれて、優しい彼を求めたいのに
愛してくれなくて
大好きな彼の隣に今日もいる
_「俺のものになりませんか?」_
もう一度あの時間に戻れるのなら
きっと来世は幸せで。
【そうだ、もうあそこのバー行かないでね】
『え、っ、』
【別にいいでしょ?あにきは
俺だけだもんね。】
【明日引っ越すから。手続き済ませた。】
笑って彼は俺の髪をいじる
【浮気なんてさせないよ?】
さっきのんだカクテルよりも甘い声
嫌でも跳ねる体はどうしようもなく
コイツに縛られていて
哀らしい程に苦闇しかった。
愛らしい程に 悔しかった。
【帰ろっか。】
【大好きだよ?悠佑】
最後に、最後に
まろに会いたかったなぁ。
「俺も。」
___なぁ、
コメント
5件
世界は今貴方の小説に救われた
三角関係ではなさそうだね、、 ないちゃんなんか報われなさそうで切ない