コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ー作法委員会ー
奈多「で、僕たちを説得したいんでしたよね?」
食堂のおばちゃんに貰ったのであろう饅頭を頬張っている遊叉、奈多を見つけたのはつい先程。
遊叉「無駄ですけどね~。」
奈多の饅頭を横取りして頬張る遊叉は、1年は組の兵太夫と何も変わらない。
喜八郎「遊叉達は、死ぬのが怖くないの?」
遊叉「ヘ?」
遊叉と奈多はキョトンとした顔をし顔を見合わせた。そして笑いながら私と喜八郎を見た。
遊叉「怖くないですよ~。」
喜八郎「何で?遊叉達が落とそうとしている城は学園を全滅させるほどの強さを持ってるんでしょ?未来から来たとはいえ、たった19人で落とすなんて命を落としかねないよ?」
喜八郎がそう言うと、奈多が静かに目を伏せた。
奈多「……失うものより、得られるものが大きいですから。」
喜八郎「え?」
仙蔵「どうゆう事だ?」
奈多「たった19人の命で学園を守れるなら、死んでも構わない。と、言うことです。」
遊叉「僕達が守るべき者はこの学園にいる皆ですから。」
そういった二人は、とても眩しく見えた。
仙蔵「……もし、お前たちの望み通りお前たちの命と引換えに学園を守れて、助かった私達が泣いて喜ぶと思うか?」
遊叉「……。思いません。」
仙蔵「っ!だったら!」
遊叉「でも、無理なんです。先輩のいない未来なんて、何もたのしくない。」
そう、静かに言った遊叉は立て掛けてあった踏み鋤を持って走っていってしまった。
その時の顔は、泣くのを我慢しているように見えた。
奈多「立花先輩は己を犠牲にして亡くなりました。綾部先輩は、浦風先輩を守るようにして亡くなってました。」
何も言わず、黙ってみてたはずの奈多が静かに私の隣へ並んだ。
奈多「本当は、先輩方に守ってもらったこの命を無駄にしてはいけない。分かっているんです。けど、」
奈多が顔を顰め、俯いた。
奈多「僕達はもう耐えられない…。」
そう言った奈多に、私も、喜八郎も、何も言えなかった。