この作品はいかがでしたか?
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帰っている途中。
と、
『やぁ!』
女性の声が聞こえた。
なんだろう?
すぐ近くにある家の方から聞こえた。
そっちを見ると。
⁉︎
家の庭で剣を振るっている女性が見えた。
『え?』
何をしているんだ?
『はあ!』
そう言って、また剣を振るっていた。
危ない人?
さぁ、どうしよう。
危険だよな。
よし、止めよう。
『あの、そこの君!』
女性が僕の声に気づいたようで振り返る。
『剣、危ないから…』
『え”‼︎見られた‼︎』
女性が大声で言った。
どうしよう。
『落ち着いてくだしゃい!』
盛大に、大声で噛んだ。
『うぐっ!あははははははは‼︎』
そして、盛大に笑われた。
悪い人ではなさそうだ。
『あ、あの〜、』
『あはは、ごめんなさい。私、笑っちゃって、あはは!』
まだ笑っていた。
『その剣、どこで手に入れたのですか?』
『あ、えと、これは〜、』
女性は剣を見せながら、
『私のパ…こほん、私の父が木で作ってくれた剣なの。』
よく見ると、銀色に塗られてあるけど木っぽい作りだった。
『そうですか…では、先ほどは何を…』
『み、見なかったことに…アレ?もしかして君、いっぴきおーかみじゃない?』
昔の僕は有名みたいだ。
『え、えと、まぁ、そ…』
『やっぱり‼︎』
女性が近づいてきた。
この人は元気だなぁ。
『あ、はい…』
僕は、完全に勢いに押されていた。
『あの!』
『はい!』
びっくりして、自然と返事をしてしまった。
近いな…
『私に、剣術を、戦い方を教えてください!』
『え”ぇ”!』
驚いた。
まじか…
『このあと時間ありますか?』
まぁ、今日は早めに帰れたからな。
『まぁ、ありますけど…』
『やたっ!』
女性は喜んでいた。
『あ、私は桜乃.美亜[サクラノ.ミア]!』
『僕は、銅.甘です。』
僕も自己紹介をする。
『え?いっぴきおーかみじゃないの?』
え、
本名じゃないですけど、
多分…
本名を知らなかった。
『周りからはそう呼ばれてたみたいだけど、僕は今、銅甘と名乗ってます…』
『そうなの‼︎』
そんなに驚かないで…
『えと、戦い方を教えてほしいんですよね?』
『はい!お願いします!』
何から教えればいいんだ?
『あ、木剣がこっちにあと1本あるから待ってて!』
そう言って、奥にある倉庫へ走っていく。
そして、
倉庫から、木剣を持ってきた。
『はい!甘の剣!』
そう言って、木剣を渡された。
え?今、
甘って言った?
『教えてください!甘師匠!』
もう、わけわからん!
うーん…とりあえず、
『僕と戦ってみましょうか。』
『ええ‼︎』
『遠慮なく来てください。』
戦ってみないとわからないからなぁ。
僕は、木剣を構える。
『って!後ろの子だれ‼︎』
今気づいたの⁉︎
騒がしいな。
『この子は琥珀さんです。ちょっと怖がりなので、この状態で…』
『2対1なんてズルい!』
人の話を最後まで聞いてくれない…
『琥珀さんは戦わないので1対1です!』
ちょっと疲れた。
『じゃあ行きますね!』
桜乃さんがこちらに剣を構える。
でも、動かない。
なら、
僕がいく!
僕は、桜乃さんに近づく。
と、
『うわァァァァァァ!』
桜乃さんは倒れた。
『まだ、何もしてないですけど…』
『こわあァァァァァア!むりむりむり!私の負けです!許してください!死にたくないですぅぅぅぅぅ‼︎』
『・・・』
かなり疲れた。
『戦ってみないと、アドバイスとかできないので…』
『ううううううう!』
泣くなよ!
こんな時間がしばらく続いた…
『い、いいい…いきますよ……』
桜乃さんは、震えていた…
『僕は攻撃しないので…来てください…』
まずは、攻撃の方から見てみよう。
桜乃さんが、木剣を構える。
と、
視界から、桜乃さんが消えた。
『え?』
気づくと、目の前にいた。
!
僕は、急いで攻撃を防ぐ。
速い!
攻撃が次々と襲ってくる。
話が違うじゃないか!
僕は、バランスを崩しそうになる。
桜乃さんは、その隙を見逃さなかった。
『やべ!』
なんとか、避ける。
!
まだ、終わらない。
スコン!スコン!スコン!
次々に攻撃がくる。
『やあ!』
どちらにしても、僕に攻撃させる隙がないな。
『はあ!』
強い攻撃がきた!
僕が持つ木剣に力強く押し付けてくる。
『よし、終わりです。』
だが、やめない。
あれ?
桜乃さんの顔を見てみる。
『こわ!』
僕に殺意があるのかな?
『終わりです!もうやめて?もういいストップ‼︎』
『あ、』
桜乃さんの手が止まった。
なんとか止められた。
危うく殺されるところだった。
『どうですか!』
どうって、
『殺されるかと思うほど強かったです!』
『そんなことはないでしょ〜』
自覚ないのか…
『それで、どこをどう直せばいいのかな?』
『直すところなんてないです!』
本当になかった。
『なんだよそれ!』
本当に、
今の僕に教えられることはありませんよ!
『そうなると…防御力はどれくらいかを見ておきたいな。』
さっき怖がっていたしな、
『あ、もうそろそろ帰らないと〜』
急に帰ろうとし始めた。
『じゃあ、また次の時に見てみようか。』
そのまま家のドアへ向かって行く。
マジで逃げる気かよ。
『逃げるようじゃ、強くなれないですよ。』
そう言った途端、桜乃さんの動きが止まる。
そして、
『強くなりたいよ!でも、怖いじゃん!』
まったく、
『最初はゆっくり始めていくから大丈夫だと思いますよ。』
『ほんと?』
『ほんとですよ。さぁ、始めましょう。』
僕はまず、かる〜く木剣を振るう。
『えい!』
バシッ!
僕が振るった木剣を跳ね返した。
『そうそう、そんな感じです。』
もう一度、違うところからゆっくり剣を振るう。
次のも跳ね返した。
次は少し速く振るう。
そうして、
少しずつ速く振るっていく。
と、
『うわぁ!』
まだそれほど速くないところで、桜乃さんが逃げた。
『もう無理!ダメ!』
どうやら、防御の方が苦手のようだ。
まぁ、1人でずっと素振りだけをしていたのならこうなるか。
相手がいなければ防御することはない。
逆に、素振りをずっとしていたからあんな攻撃ができたのかも。
『桜乃さん、今の君に必要なことは、対戦で防御をしながら戦う力だと思います。』
『ずっと1人でしてきたからかな、誰かに剣を向けられたことなんてなくてね。えへへ、』
疑問に思っていることをまず、訊いてみよう。
『桜乃さんはなぜ、剣を振るうのですか?』
これを知っておいた方がいいかもしれない。
『私は、本当の両親に捨てられてちゃって、いじめられたこともあってしばらく孤独だったんだ。でも、今の優しい親と出会えて、幸せにもなれた。だから、そんな優しい人を守ってあげたくて、だから強くなりたいの!』
今の桜乃さんを見れば、とてもそんな過去があったなんて思えない。
でも、桜乃さんは黒い髪だが、緑色の目を持つ人狼だった。
きっと、辛い過去を忘れようと、心配かけないようにと、無理矢理元気な人を演じているのかもしれない。
なら、
『わかりました。一緒に強くなりましょう。』
僕は笑顔で言う。
『はい!よろしくお願いしますね!甘師匠!』
桜乃さんが手を差し出した。
僕も手を差し出す。
そして握手をする。
桜乃さんが、今までで1番の笑顔を見せた。
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