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水 × 赤
赤 主人公
攻め受けとかないです
地雷さん 🔙 推奨
俺は昔から嘘つきだった 。
そんな嘘つきの相手をする人など当然居らず 、 俺は孤立していた 。
だけど 、 そんな俺を構う人が現れた 。
どれだけ冷たくしても 、 どれだけ周りの人間が俺の悪口を言っても 、 その人 ____ 水は 、 俺に話し掛けてくれた 。
水は 、俺とは真反対の人間で 、 皆の中心にいる太陽のような存在だった 。
自分にも 、 周りの人にも素直な水に惹かれて 、 だから俺は嘘を辞めた 。
それから水に振り向いて欲しいと必死にアピールして 。
漸く水と恋人になれた 、 のに 。
「 は … ? 癌 、 ? 」
「 … 非常に残念ですが 、 もってあと1ヶ月程かと … 」
なんとなく調子が悪い気がして 、 病院で検査を受けた俺は 、 自分の体が癌の巣窟になっていることを聞かされた 。
「 … 1ヶ月 … 」
ぼそ 、 とを医師が告げた言葉を反芻する 。
水は ?
折角恋人になれたのに 。
なんで 。 どうして 。
俺の頭は 、 可愛らしく笑う恋人のことでいっぱいだった 。
その後はもう 、 何も覚えていない 。
気が付けば 、 余命宣告されてから1週間経っていた 。
なんだか怖くて 、 水には何も言っていない 。
____ このままではいけない 。
そう分かっていても 、 水に電話を掛けようとする度に 、 メッセージを送ろうとする度に 、 頭が真っ白になって何も思い浮かばない 。
すると 、 突然玄関のチャイムが鳴った 。
「 っ … ? 」
怪訝に思いながらも扉を開けると 、 そこには水が立っていた 。
「 はぁ … 出てくれて良かった … 」
水が安心したように溜息をつきながらさも当たり前かのように俺の家に入ってくる 。
「 なんで 、 お前 … 」
「 … そりゃ来るでしょ 、 急に既読付かなくなったし 、 電話も受けないし … 」
「 … 」
「 め っっっ ちゃ心配したんだからね ?! 」
「 ごめん … 」
「 … 何かやな事でもあった ? 」
心配そうに俺の顔を覗き込む水 。
そんな水から俺は顔を逸らして ____
「 … “ 嫌い ” 」
と言葉を絞り出す 。
「 … え ? 」
「 水が “ 嫌い ” になった 」
「 “ 大嫌いだから顔も見たくない ” 」
「 … 」
「 … それじゃ 、 」
そう言って俺は水に背を向ける 。
「 え 、 ちょ 、 待 っ ____ 」
水を無視して 、 そのまま俺はリビングに入って扉を閉める 。
俺が水を拒否してしまったせいか 、 それ以上水は俺を追及せず 、 そのまま帰ってしまった 。
… これでいい 。
はずなのに ____
「 … っ 」
知らない内に俺の頬は涙で濡れていた 。
” 大嫌い “ ?
” 顔も見たくない “ ?
そんな訳がないだろう 。
大好きに決まってるし 、 毎日 … 許されるなら 、 いつまでも水の傍に居たいに決まっているだろう 。
だけど 、 これでいい 。
” 大嫌い “ 、 ” 顔も見たくない “
____ これは 、 俺が水につく最初で最後の嘘だ 。