四季の部屋は、他の客室などとは違い、障子ではなく彼岸花が描かれた襖で中は見えない…
開けると気づかれるため、耳を近づけて中で話している2人の会話を聞いていた無陀野達、
部屋の中では
四季
「ねぇ、、またあの子達に」
そう四季が言おうとした時、唾切は四季の口を優しく塞いだ
四季
「?」
唾切
「誰かいるみたい…見てくるよボソ」
唾切は四季の耳元でそう呟いた
四季
「わかったボソ」
四季は普段喋らない…
そして、ついさっき四季は“またあの子達に会いたい”と言おうとしたのだろう…それを聞かれれば、一族に報告されるかもしれない、、
また、守れないかも…
嫌な汗が背中に流れた
足音を出さず、バレないように襖に近づき開る、気配のした方へ目を向ける…
すると
ばっちりと、無陀野と目があった
唾切
「は…?」
無陀野
「…」
京夜
「うおわッ!?」
真澄
「バレちまったなぁ」
馨
「…どうしましょうね」
紫苑
「逃げるッ」
紫苑はそう言って1番近くにいた馨と京夜の手を引っ張り、無陀野と真澄にも目で「早く!!」と訴えた、、しかし
ガシッ
唾切は、無陀野と真澄の腕を引っ張り、尻もちをつかせ、残りの2人の手を引っ張っていた紫苑の首根っこを、京夜と馨の服を片手で一緒につかみ、逃げられないようにした…
それでもどうにか逃げようとする紫苑に
唾切
「会いたいんじゃないのかい?」
そう問いかけると、皆動きを止めた
紫苑
「え、あっていいの?」
唾切
「見られたんだ…仕方ない、、部屋に入るといい」
そう言って唾切は部屋の方に向き直る、5人はその後ろについていく
ガラガラ
そう襖を開けて 部屋に入ると薄暗い部屋で椅子に座っている1人の少年…一ノ瀬四季がこっちを向き、驚いた顔をしていた。
四季
「え?」
唾切
「この子達だよ、僕と今一緒に住んでる人ってのは」
そう唾切が呆れた様子で5人に目をやる
四季は驚いて目を見開いていたが、すぐに目を細めて優しく微笑み挨拶をした
四季
「こんにちは」
ゆっくりと綺麗な声でそう呟く四季は、本当に美しく、薄暗い部屋なはずなのに四季には光のベールがかかっているように見えた…
四季
「君たちは…さっき祈りの時にいた子だね…唾切から聞いてたよ?やっと顔が見れた」
唾切
「こっちから無人、真澄、京夜、馨、紫苑だよ」
無陀野
「コク」
真澄
「ケッ」
京夜
「こんにちは〜」
馨
「ペコ」
紫苑
「ね〜お姉さん!今度一緒にデートしn」
唾切
「ベシッ」
紫苑
「いったぁ?!」
唾切
「知らない…お前が悪い」
紫苑が騒ぎ、唾切は受け流している。その時
四季
「ふふ笑」
四季は口元に手を当てて穏やかに笑った。
その部屋にいる全員、それを見逃さず見惚れていた
四季
「紫苑くん面白いね笑それに、俺はお姉さんじゃないよ?笑」
紫苑
「マジ?めっちゃ綺麗だったからお姉さんかと思ってた!まぁ性別はおいといてやっぱデートしよ!!」
四季
「ん〜」
四季は笑いながら少し困ったような顔をした
無陀野
「紫苑、困らすような事を言うな… 」
そう無陀野が言っている隣で、紫苑へどす黒いオーラを放つ者もいれば、笑いながら睨んでいる者もいた。
紫苑
「怖いってお前ら…」
唾切
「紫苑、お前はどこへ行ってもナンパだな…はぁ」
唾切がため息をもらすと
四季
「唾切、いつもより生き生きしてるな、何よりだ」
唾切
「そうかな…いつも騒いでて大変な時が多いよ」
四季
「いいじゃん?そうやって、言葉の掛け合いって必要だと思うし、楽しそうじゃん」
唾切
「まぁ、そうだね」
無陀野
「珍しく唾切りが認めたな…」
京夜
「いつも認めたりしないのに!笑」
馨
「なんか、面白いですね」
紫苑
「え、明日なんか起こる??」
唾切
「僕をなんだと思ってるのさ…」
言い合っている5人の姿を、四季は優しい目で見守っていた…
四季
「(とっても楽しそう。眩しいな、、)」
すると、四季の白い肌に一筋の雫が…
四季
「あ、れ?」
唾切
「!」
四季
「ご、ごめんね…なんでだろ」
そう言いながら、急いで涙を服で拭う
無陀野
「どうしたんだ…?」
真澄
「なんで泣いてんだぁ?」
馨
「どうしたんですか?」
紫苑
「え、ちょ、どうした?」
京夜
「どうしたの?」
唾切
「四季…」
四季
「大丈夫だよ!ごめんね」
四季は笑っていた、それでも目尻は少し赤みがかっていた…
けれどその後からは四季は涙を見せず、6人の話している姿をぼんやり見つめていた
数分後
唾切
「あ、もうそろそろ一族が帰ってくる、」
四季
「ほんとだ…」
紫苑
「え〜もっといたかったな〜」
四季
「ふふ笑 でも、ここで俺と話したのは内緒だよ?」
そう笑いながら自分の口元に人差し指を当ててウインクをする四季…
全員の鼓動が高鳴った
顔が熱くなるのがわかる、その小さく華奢な体を抱きしめたい…けれど、そんな事をすれば壊れてしまう気がして、誰もそれをすることは無かった
京夜
「ま、また来ちゃだめ?//」
四季
「ダメだよ…君達のためにもね」
馨
「なら、また祈りに来ます」
四季
「ッ、、」
四季はなんとも言えない表情をしていた…嬉しく無いわけでは無い、なんなら、次の祈りを楽しみに思った。
けれど、それはいいのだろうか…この子達を危ないところへ自分が誘惑しまっているのではないのだろうか…と
四季
「それと、早くこの…
この部屋から出て行った方がいいよ」
次の言葉が出てくるまで、数秒の迷いがあった…
唾切
「そうだね…一族も帰ってくるし、僕も少し経ったら帰ろうかな」
無陀野
「わかった…」
真澄
「ケッ、またなぁ」
紫苑
「今度はもうちょっと一緒にいよぉな」
京夜
「またね!」
馨
「また」
四季
「うん…(ごめんね、)」
四季はゆっくり手を振った…
5人が部屋から出て行った後、また唾切と2人きりだ
いつもと変わらない…2人きりの空間。
けれど、さっきまで高校生が無邪気に笑っていたのだ。今まででは考えられない光景…
唾切
「ねぇ、言わなくてよかったのかい? 」
四季
「な、なにが?」
唾切
「さっき、無人達に言いかけてたじゃないか…このって、本当は部屋から出て行った方がじゃないんだろう?」
四季
「…唾切はその続きわかるんだ、、笑」
唾切
「そりゃね、全部じゃないけど、四季の事だ、本当はこの村から早く出て行った方がいいって言いたかったんだろ?」
四季
「…コク」
唾切
「でも、どうしてやめたんだい?」
四季
「あの子達ね、きっと親の事大事にしてるんだよ、じゃなきゃ、こんなわかりやすく怪しい村に居座らないと思う。子供って大人が思うより何倍、何十倍優しいよね」
唾切
「君も、まだ子供じゃないか…」
唾切は四季の頭を優しく撫でた
四季
「俺が動けるのは、この本殿の中だけ…村の事はわからない…親が子供にしてる暴力も暴言も、止める事ができないから」
四季は俯き、唾切は四季の細すぎる腕や体を見た…
四季の体は、高校生の無陀野達と比べても細すぎる…肌の白さは外に出ないと言う事で説明はつく。でも、誰がが見ても痩せすぎていて、所々骨張っている…
唾切
「(こんなにも細くなっている…どれだけ辛い事か…)」
それでも四季は自分のことは後回し、、、
「人が幸せなら」「みんなが笑えたら」それが四季の口癖だった。
その口癖は僕がお世話を任された時からだった…
帰りたくない。帰ったら、この子は1人。どこかへ行くことはないだろう…逃げても今の四季には限界がある…それに、君は置いて逃げないだろう。あの一族を
唾切
「僕も、もう帰らなければ…また来るよ」
四季
「そっか…うん、またね唾切」
名前を呼ぶ声は弱々しい…
瞳は揺れ、無理に笑っていると分かる
だが、君は行かないでとは言わない…
言ってくれない。もっと、もっと我儘でいいのに…
そんな気持ちを抱えたまま、重い足を玄関まで動かした…
そこから山道を降りようと門をくぐると、そこには見覚えのある人影
唾切
「なんで…」
無陀野
「1人でこんな山道を歩かせる事は危険だったからな」
紫苑
「それに、あの神の子の事もっと聞きたいからねぇ」
京夜
「俺らにももっと教えてよね〜」
馨
「そうですね…」
真澄
「そぉだなぁ?」
唾切
「お手柔らかに…(四季、次会う時も生きていて
はい!今回はここで終わり!
いつも見ずらいと思うんですが、みなさん見てくださりありがとうございます😭✨
感謝感激、神様仏様!!
下手な文、下手な言葉で意味不明なこともあるかと思いますが、今後も見ていただければ幸いです…
ちゃんと完結するよう頑張ります!
それではまた次回!
コメント
8件
四季裙のウィンクに私もノックアウトされました😌💕
四季君とちゃんと会えた!! 四季君のウインクは、惚れるでしょ… しかもめちゃくちゃ優しい四季君…良い! 本堂に居ることだけ許された四季君には自由や、友人といえる存在が眩しく思えたりするでしょ… …四季君連れ去ったりしそう、(…めちゃくちゃ勝手で、根拠のない考え、本当にごめん…) 続き待ってる!!
…四季くんもっとわがままでいいんだよ… 京夜さんたちは四季くんにズッキュンだね〜 まぁ、そうなるよね(私なら、そこで倒れてるね) 四季くんが平和に元気で暮らせるといいな 今回もめっちゃ良かった!!!!!続き楽しみ!