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バスルームへ行きかけて、ふと頭を振り返らせて、
「あれほど楽しい酒の席は、あまり過ごしたことがなかったんで、私もだいぶ酔ってしまったようで、すまなかったな」
申し訳なさそうにも彼が口にした。
「いえ、謝られたりなんてことは!」と、手を大きく横に振る。
「それじゃあ、先にシャワーをさせてもらうから」
「はい」と頷きながら、夕べホテルのスタッフさんから聞いた言葉をにわかに思い出していた──。
『きっとお二人でのお酒の席のおしゃべりを楽しまれている内に、酔われてしまわれたんでしょうね。とても楽しげでしたから』
楽しかったと蓮水さん自身も感じてくれていたんだとわかると、胸の奥をじわりと嬉しさが込み上げてくるようで、知らず知らずのうちににやけて緩む頬をひとり両手で挟んでいた。
──と、バスルームのドアが開く音がして、何気なく視線を移すと、蓮水さんがシャワーから上がって来たのが見えて、一瞬、その姿にあっけに取られて目が釘付けになった──。