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腰から下にバスタオルを巻き付けただけの姿に、にやけ顔があっという間に吹き飛んで、驚きに目をしばたいた。
「そっ、そのかっこうは……っ!」
さすがにスーツをスマートに着こなすだけあって、引き締まったいい身体で……って、
ちがーーう! 違うって、そうじゃなくてと、視界から彼の裸体を慌てて外すと、
今度は、昨日の夜に言われた、『裸にしたいのか? 私を』という台詞がよぎって、顔がぶわっと真っ赤になった。
「……どうしたんだ? そんなに真っ赤になって」
ふと気づけば、しっとりと水滴を含んだ、艶かしく男麗しい厚い胸板が目の前にあって、
まさに水も滴る……なんて、思ってる場合じゃなくて!
「……ふっ、ふ、服を……」
声を詰まらせつつ、やっとそれだけを口に出した。
「ああ、服なら、」
と、濡れた髪をタオルで拭きながら、
「汗が引いたら、着るから」
こちらの動揺など気づいていない風で、なんでもないことのように蓮水さんが話した。
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そうだった〜……彼って、知らぬ間に人を惹きつけちゃうタイプの、天性の人たらしさんだった──。
せめて計算ずくとかならかわしようもあるのに、当人が無自覚じゃ全くかわしようもないよね? と、ひとりため息を吐くと、「シャワーを浴びて来ますね…」とだけ言い残して、すごすごとバスルームへ向かうしかなかった──。