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目が覚めるといつの間にか自分の家に着いていた。昨日フェージャと出会ってからよく覚えてないけど多分普通に家に帰ったんだろう。
頭がぼんやりする。霧がかかった様に昨日のことが思い出せない。
「あれ、こんなになるってことは私お酒飲んだ?記憶無くなるまで飲んだってこと?やば…」
昨日の自分にドン引きしながら布団から身を捩り起き上がると見たことのない上着が掛けられていたことに気づく。
黒い厚手のコート。襟元にはふわふわのファーが付いている。持ち上げるとどこかで嗅いだことのある様な、花の匂いが鼻腔内に広がる。
…この香りは………
「これ、フェージャの?…もしかして…」
嫌な予感が頭を巡る。
「私、フェージャをひん剥いてしまった……?」
「へっしゅん!……」
「主様?!もしや昨夜のお出掛けでお風邪をお召しに?!」
「黙ってください。」
「(´・ω・`)」
取り敢えず仕事(サボり)をしようとうずまきに来たが出社(サボり)早々、社員の方々が全員うずまきで燃え尽き症候群と化している姿を見つけてしまった。
「おお…皆さーん、仕事しましょー?くにきーだくんの万年筆が折れちゃいますよー?」
「羅紫ー?私はね、この組合戦で多大なる貢献をしたのだよ。少しくらい休んだってバチは当たらないさ。」
「そうだよ!名探偵は今日はお休みー!」
「何言ってんの…」
私はほとんどポオくんの所に居たからなあ…なんか物足りなくて滾っているんだよね。…あ!良いことおーもいついた!
「ほおほお…それなら飴と鞭をあげましょう!」
「え?飴?」
キラキラした目で顔を上げこちらをきゅるるんと見つめてくる乱歩さん。
どっかの界隈ではこれを26歳児と言うらしい。かわい。
「乱歩さん、そう言う飴ではないです。…取り敢えず、これから皆さんに依頼をして貰います。サボったり遅れたりしたら私が異能で空中メリーゴーランド高速バージョンをします。」
一回やったなあ…確か国木田くんの入社祝いでテンション上がって全社員にかましたっけ。アレは地上100メートルだったけど今回は500とかにしようかなあ…
「そして見事成功したら……」
「「「「成功したら……?」」」」
「早い者勝ちで何でも一つ、願いを叶えます。」
そういった瞬間、ここにいる全員の目の色が変わる。谷崎くんは恐らくナオミちゃんとのキャッキャうふふを夢描き、与謝野女医は解体に目を光らせている。治と乱歩さんは怪しげな笑みを浮かべていた。…え、後半二人怖いんですけど。
「僕、社長に仕事貰ってくる!」
「私ちょっと海外マフィアの密輸止めてくる。」
「じゃあ僕はそのお手伝いをしますね!」
「妾は難民キャンプに行こうかねぇ…」
「おお…」
効果抜群。
太宰side
何でも、ねえ。
昨夜、羅紫が魔人と会っていたのは知っている。何故かって?乱歩さんにねるねるねるねるを箱ごと献上したからね。
流石に会話の内容を聞くのは憚られたが羅紫の雰囲気を見るかぎり裏切って向こう側へ着くことはないだろう。
然し私以外の男と会っていたと言うのが如何にも赦せない。昔からそうだ。自分のお気に入りは何処かで傷つくのも、失くすのもましてや盗られるのも赦せない。赦せないのだ。
羅紫を見つけたのは”僕”だ。
羅紫を助けたのは”僕”だ。
羅紫に感情を教えたのは”僕”だ。
羅紫に今の生き方を教えたのは”私”だ。
羅紫に救済の素敵さを教えたのは”私”だ。
羅紫を愛していいのは”私”だけだ。
それなのに羅紫は何処かで傷つき何処かへ消え気づけば魔人の手元へと引き抜かれそうな始末だ。
「さて、何を”お願い”しようかねえ…」
反応的に乱歩さんも何かを企んでいる。それが何かは確定したわけじゃないが十中八九羅紫に関することだろう。
ひとまず依頼を果たさないことには願いは叶わない。うずまきでの一瞬の思考の後、よく分からない顔で黙っている乱歩さんを一瞥し横を通り過ぎる間際に自分たちしか聞こえない様な小さく、然し力強く囁く。
「何を考えているのか分かりませんが勝ちますよ?」
「…上等。」
うずまきを出て探偵社へと足取り軽く進んで行った。