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・登場人物は全てオリジナルのキャラクターです(一次創作)
・BL要素を含みますが、やらしい描写は無いです(多分)
・設定などがぶっ飛んでいることがあると思いますが、お見逃しください()
それでもいいという人は、どうぞ↓↓↓
「正面から堂々と入ってくるとは、肝が据わっているな」俺は奥の部屋に連れていかれ、高そうな椅子に座らせられた。「えへへ、あんたと同じ人間だったらセキュリティーも突破できるかなって思って」「それはつまり、指紋認証と虹彩認証で全てのシステムを動かすことが出来るということを知っているということか」「うん」「ヒイラの入れ知恵だな」「ご名答~」「…あいつは元気にしていたか」「元気だったよ~!政府に反乱を起こそうって作戦も準備中で…」「何?」「え?」「反乱を起こそうとしている、と言ったか?」え、なにこの空気の変わりよう。今更オオヒが敵でしたなんて言われても困るよ?「そーだけど?なに?なんか文句でもあんの?指導者っつー立場が気に入ってるとか?」オオヒの眉間のしわが深くなる。「そうじゃない。…反乱などを起こしたら、政府と全面戦争になる。その場合、俺が手助けすることは難しくなる」「なあんだ、そーゆーこと。それなら大丈夫だよ、あんたは俺たちが誘拐する予定だから♪」「お、俺をなんだって?」「作戦について詳しいことを話しにここに来たんだ、ちょうどいいからさっそく…」「待て、待て。それだけではない、政府には特殊部隊があって、反乱を想定して訓練された鎮圧用ロボットたちもいる」「そいつらに指示する権力くらいあんたが持ってるでしょ?」「そ、そうだが…」「なにその反応…、なんかあんの?」「…まさか反乱まで起こそうとしているなんて思っていなかった。俺はただ、お前にとって大切な奴をエリアZに移すのが目的だと思っていたんだ」「…?」オオヒの言い方が引っかかる。“俺にとって大切な奴をエリアZに移すのが目的”?なぜそんなことがわかる?ずっと俺の行動を観察していたから?いや、見ていたからと言って、俺の目的を予測することなんかできるか?…わかる気もするし、無理がある気もする…。「ねえ、もしかしてオオヒは俺がどうやってこの世界に来たのか知ってるの?」「…」「…この世界に、沈黙は肯定って言葉ある?」「お前は、今見えている世界が世界のすべてだと思うか?」「俺のことを無視して、なんか語り始める気?まあいいけど」
「世界とはテレビのようなものだ」「この世界テレビあるんだ」「いいから最後まで話を聞け」「はい」「…テレビにはたくさんのチャンネルがある。だが俺たち人間は一つのチャンネルしか見ることができない。二つのチャンネルを同時に見ることはできないのだ。しかし自分が見られないだけで、様々なチャンネルが同時に放送していることは間違いない。その、自分が見ることのできない様々なチャンネルが、パラレルワールドと呼ばれるものだ」「なるほど?」「そして、テレビのチャンネルを変えるためにはリモコンというものが必要だろう」「そうだね」「無論人間も一人一人、リモコンを持っている。だがその存在は死ぬまで気づかない」「それはどうして?」「そういうものだからとしか言えないな」「そっか…」「ああ」「…えっと、じゃあ今の話の流れ的に、俺は自分のリモコンを見つけて、チャンネルを変えたからパラレルワールドに飛んできた、ってこと?」「いや、お前の場合、俺が操作した」「そ、操作した…?そんなことできんの?」「俺とお前は同一人物だ。俺が自分のリモコンを弄れば、パラレルワールドの自分にも影響が出るのは理解できるだろう?」「う…うーんそっかぁ…。でもさ、普通リモコンの存在を知らないなら、なんであんたは見つけることができたの?ましてや操作するなんて」「先ほど俺は、“人間は一つのチャンネルしか見ることができない”と言っただろう。“人間は一人一人リモコンを持っている”とも言ったな。言い換えれば、人間以外のものは別のチャンネルを見ることができる、すなわちリモコンの使い方を知っている、ということになる」「え、そうなの?」「ああ、だがみなそれをしない。自分が生まれ持ったチャンネルで最後まで生き続けることが賢明だと知っているからだ」「チャンネルを変えたら、別の自分に迷惑がかかるから?」「それもあるが、一番の理由はリスクが高いからだ。ずっと同じチャンネルを見続けていたら、元のチャンネルに戻りづらくなる」「なにそれ怖い」「とにかく、人間以外のものはチャンネルを変えることができる、のが一番重要だ。俺一人ではリモコンは操作できていない。ロボットを使ったのだ」「…え?!」「今までのテレビやらリモコンやらの概念は全て俺が子供の頃に妄想していたことだ。だが世界は実際に似たような仕組みになっていたことがわかった。そこで俺はこれを使って、この事実を人々に公開されたくなければ俺の提示する条件を飲め、とロボットを脅したのだ」やべー、話が難しすぎてよくわからんけど、とにかくオオヒが禁忌的な事実を見つけてロボットを黙らせた…ってこと?オオヒやべー…。「俺では操作できなかったため、ロボットを使って操作し、お前を呼び出した。これでお前の質問は答えたな」「いや、え、…なんで俺なの?」「なぜ、とは?」「他にも違う世界の大斐はいるんでしょ?なんならあんたみたいに、俺より優秀な奴なんてたくさんいるだろ」「…ふ」え?なんでそこで笑うの?なんか俺面白いこと言った??「自分のことは自分が一番よく知っている」…俺の問いには直接答えてなかったけど、その一言に全てが詰まってたのは伝わった。「…」「ちなみに、この世界のロボットたちは人間のリモコンを操作して洗脳している。同じチャンネルでも、様々な番組がやっているだろう?普通人間は生涯の中でいろいろな番組から、所謂刺激をもらうからこそ人生は豊かになる。だがこの世界の人間は、一つの番組しかテレビに映し出されていないのだ。その状態が、洗脳されている状態と言えるだろう」「たとえがわかりやすいな。え待って、ずっと同じチャンネルを見続けていたら元のチャンネルに戻りづらくなるって言ってたけど、…俺は大丈夫なん?」「ああ、計算済みだ」「そ、そっか…。あんたが言うならいっか…」「お前をこの世界にずっととどめておくつもりはない。…最初は、お前を呼び出して共に革命を手伝ってもらうつもりでいた。まさか既に計画していたとは夢にも思わなかったが」「そーだ、すっかり忘れてた!あんた、何で俺が反乱するって言った時に、いい反応しなかったのさ。最初からその気でいたんなら、俺を説得する手間が省けてラッキーじゃん」「お前は仲間を作って、そいつらに手伝わせる気だろう。俺はそんなことを計画していない。他人を巻き込むのは賢明な判断ではないはずだ」「え、なに、俺ら二人だけで社会を変えようとしてたってこと?それこそダメじゃん」「なぜだ」「無謀すぎだもん」「無謀だと?俺は昔から計画を練ってきたんだ、無謀ではない」「いくら事前に準備してたからって、計画通りに事が進むかはわからないでしょ。イレギュラーなことが起こった時こそ、仲間がいたらその分リカバリーもできるし」「…逆に、他人が足を引っ張るかもしれないだろ」「そんなの俺たちも一緒だろ」「俺たちのどちらかがへまをしたら自己責任だ。だが他人は他人だ。人のせいにしたところで状況は変えられない、なら最初から俺たち二人で行った方がいい」「あのねえ、仲間の意味わかってる?責任の押し付けとかそーゆーのないから。誰かがへましたら他の奴がカバーするの。そういうものなの」「…?」心底意味が分からないという表情。俺は大きなため息をついた。「俺もわかってるよ?オオヒが今まで、ずっと一人で行動してきたこと。ロボットにバレないように、悟られないように、って。誰が密告するかもわからないから、他人を信用せず、相談とかしてこなかったのも想像できる」「わかっているじゃないか」「でもね、やっぱり俺は、他人に頼ることをあんたに知ってほしい」「…」「もしこの先革命が成功して、あんたがこのままこの世界のリーダーを務めることになったら、絶対に人の助けが必要になるはずだよ。だから仲間の大切さを、今回知ってほしい」「…っは、まさかお前に説かれる日が来るとはな」「ちょっとー、それどーゆー意味ぃ?」「はは、すまない」「放っておいたら向こうが勝手に行動しちゃうし、その方がやばいでしょ。それに、手伝ってくれってお願いしちゃったし」「…はあ、まったく勝手なことを」「どんまい☆」「ど、ん…?…まあいい、そこまで言うならお前のやり方に乗ろう」「…え、いいの?」「お前が言ったのだろう、なぜ驚く」「…いや、なんか意外だなって…」「とにかく、言ったなら最後まで責任はとれよ」「わかってるよ~~」「それで、ヒイラたちとはどんな作戦を?」「えーっとね~」
俺はできるだけ細かく説明して、オオヒに作戦を伝えた。彼はところどころダメ出ししてきて、こうした方がいい、ああした方がいいと口出ししてきた。そのたびに、納得したり反論したりして、作戦は仕上がっていった。