コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
・登場人物は全てオリジナルのキャラクターです(一次創作)
・BL要素を含みますが、やらしい描写は無いです(多分)
・設定などがぶっ飛んでいることがあると思いますが、お見逃しください()
それでもいいという人は、どうぞ↓↓↓
話し合いもひと段落つき、落ち着いた頃。俺の心の声が、不意にぽろっと零れた。「…そういえば…、ダクラは無事に[エリアZ]に行けたのかな」「…ダクラ?」「うん、この街にいたんだけど俺が[エリアZ]に行くよう誘導した奴で、俺の、…あっ!!そーだ!あんたこの前ダクラの職場行って[エリアZ]に行くよう催促しただろ!俺のこと知ってるかどうか確認した後に!」「…ああ、そうだな。名前は知らなかったが」「あれはなに??どーゆー意図で?」「わからないか?お前がずいぶんと親しげにしていたから、お前の世界では知り合いなのではと思ってな。俺たちが行動を起こす前にあそこに移しておこうとしたんだが」「…そっか。よかったよ、あんたがいいやつで」「よくわからないが、ありがとうとでも言っておいた方がいいのだろうか」「あはは、俺相手にそういうのいいよ。え、ちなみにどうやって俺があいつと親しくしてるってわかったの?」「俺たちは同一人物だと言っているだろう」「いやでも俺はあんたの情報なんもないけど?」「俺がリモコンを操作しているのだからそちらに俺の情報は伝わらないだろうな」「それずるくない?!一方通行じゃん!」「お前が俺について知る必要があるのか?」「あるわ!それにそんなこと言ったらあんただって俺のこと知らなくていいじゃん」「俺はお前が勝手に行動しないか監視する必要がある」「逆も然りだけど?!」「勝手に[エリアZ]に行った挙句勝手に反逆グループと手を組んだというのにどの口が。俺は勝手に行動しない、合理的な判断に基づいて行動するからな」「俺だって自分が最善だと思った行動をとっただけだし!あんたに文句言われる筋合いないし!…ていうかあんたの言う‘合理的な判断’だって完璧には信用できないかんね?!そこんとこわかってる??」「少なくとも俺はこの世界の政策を変えた実績はあるぞ。代表を挙げるとするならば、エラーを起こした人間を殺さず[エリアZ]に追放するだけに留めたことだな。お前はどうだ」「そこ持ってくんのずるくない?!あんた大概に性格悪いな!」「まあそれはもういいだろう」「…はあ、そうね…。で、俺はもう[エリアZ]に戻った方がいい感じ?」「いや、今からお前をお前の世界に戻す」「そんなことまで自由に操作できるとかもうチートじゃん…」「ちーと…?」「何でもないですぅ。で、次はいつこっち来れるの?」「すぐこちらに戻すが、まあ、少しでも負担を減らせるように作戦実行のギリギリまでは向こうで過ごしててくれ」「りょーかい。…でもダクラのことが気になるなぁ…」「それほどまでに気になるなら今から調べてやろうか」「えっ分かるの?」「俺を何者だと思っている。この国家で一番の権力者だぞ。力を使わずしてどうする」「待ってそのセリフちょーかっこいいんですけど、頼りになる、惚れそう」「最後のはいらん。…そうだな、今から本部と繋げるからそこのクローゼットの中にでも隠れておけ」「はーい」「何があっても絶対に音をたてたり出てきたりするなよ」「それフラグだけど大丈夫?」「…その意味は分からないがろくでもない意味なことは察せるぞ」「わーったよ大人しく待つって!」じーっと見られながら、俺はそそくさとクローゼットの中に隠れた。なんか独特な匂いがふわっと漂ってきたけど、特段強い匂いでも不快な匂いでもないし、まあいいや。これが最高指導者であるオオヒの匂いか…。あれ、俺今変態臭いこと考えてる?
「本日エリアZへ送られた者たちを報告しろ」
凍てつくような、感情の乗ってない無機質な声が部屋に響く。最初に会った時みたいな喋り方だった。しばらく話続けていたら向こうの声色も柔らかくなったもんで、ちょっとの間忘れてたけど。こいつは腐っても、この恐怖政治を統治してる最高指導者なんだ。
「はい。本日は合計2名の者がエリアZに送られました。一人は仕事をしている際に発狂。もう一人は外出禁止の時間に徘徊していたため、拘束したのちに移動いたしました」
2人目がダクラだな。よかった、ちゃんと行けたみたい。…一人目の発狂と比べたら、なんてかわいい違反だろう。まあでも、いずれにせよあとはヒイラたちに任せて大丈夫だな。
「そうか。用件は以上だ」「かしこまりました」
通信が終わったみたい。もう出ていいかな?いやさすがに声かかるまでダメか。オオヒ早くぅ、ここ暑いよぉ!なんて考えてたら、着信音のような音が響いた。思わず体が跳ねる。
「…大斐、すまない、まだ元の世界に返せそうにない。俺が良いと言うまでそこにいろ」「はいはい、分かったからそれ早く出なよ」「ああ」
「なんだ」「すいません、オオヒ様。例の侵入者についてお話しておきたいことがあります」
侵入者?え、絶対俺のことじゃん。もしかしてバレた?いやいや、大丈夫でしょ、サイレンも聞こえなかったし、警備ロボにも気づかれなかったし!…心臓うるせぇ!静まれ!
「言ってみろ」「オオヒ様、なぜ侵入者を徹底的にお探しにならないのですか?」「…その話は済んだはずだ」「私は納得がいきません。なぜ‘エラー’を起こした人間を野放しにするのですか?‘エラー’は社会に悪影響を及ぼす危険分子なのですよ?」「口を慎め。絶対権力者である俺に逆らうことがどういう意味なのかを理解していないようだな。俺がそう判断した以上、お前は従う義務がある」「…っ」「…どうしても納得がいかないなら…」「いえ。申し訳ありません。オオヒ様の判断が絶対でございます。失礼しました」
会話が終わったと思ったら、通信が切れるような音が響いた。オオヒの指示を待っていたら、いきなりクローゼットの戸が開いた。突然の光に、思わず目を腕で隠す。「…すまない。お前が捕まらないよう警備を減らしていたのだが、それが腑に落ちない人間もいたようだ」「そ、それ大丈夫なの?疑われたりしないの?」「疑われたとて、あいつらに俺を訴訟することはできない。そもそもそんなシステムが存在しない」「…ほんと独裁国家だね?あんたがいい奴で良かったよ。つーかそんな国家の教育を受けたくせに、よく洗脳されなかったね」「お前の記憶でお前の世界のことを知った。それでこの世界がおかしいことに初めて気が付いたのだ」「記憶すら見れるの?待って恥ずかしい記憶とか覗いてないよね?!」「駄弁るのはここまでだ。そろそろお前を返すぞ」「え?もぉ?あ、ちょ、」「こちらのことは気にするな。次ここに呼ぶのは、革命前夜だ」「わ、わかった!」
瞬間、目の前が真っ暗になった。意識が遠のく。それからの記憶はない。