テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
昼休みの校庭。
普段なら生徒たちの笑い声が響く場所。
しかし今は――。
空気が張り詰めていた。
向かい合う二人の少年。
赤いコンバットスーツを纏った――。
レッドギャバン・崎山宗太郎。
そして。
青いコンバットスーツを纏った――。
ブルーギャバン・川玉真司。
二人の間には、ただの訓練とは違うものがあった。
真司は宗太郎を試している。
そして宗太郎は――。
真司の心の奥にある苦しみと向き合おうとしていた。
レッドギャバン「川玉くん……。」
ブルーギャバン「来い、宗太郎。」
真司はレーザーブレードを構える。
ブルーギャバン「お前が本当にギャバンとして戦う覚悟があるのか……。」
ブルーギャバン「俺自身の目で確かめる。」
宗太郎はゆっくりとうなずく。
レッドギャバン「分かった。」
そして――。
ギャバンブレスを掲げる。
レッドギャバン「蒸着!!」
赤い光が校庭を包む。
ナレーター「レッドギャバンがコンバットスーツを蒸着するタイムはわずか0.05秒にすぎない。」
光が収束する。
赤いコンバットスーツが宗太郎の身体に装着される。
ナレーター「では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう。」
レッドギャバン、誕生。
レッドギャバン「行くぞ、川玉くん!」
ブルーギャバン「来い。」
二人は同時に地面を蹴った。
――激突――
ガキィン!!
レーザーブレード同士がぶつかる。
青と赤の光が火花を散らす。
レッドギャバン「くっ……!」
宗太郎は必死に受け止める。
しかし――。
真司の動きは昨日よりも鋭かった。
ブルーギャバン「迷いがある。」
レッドギャバン「……!」
ブルーギャバン「お前の剣には、まだ恐怖が残っている。」
真司が一気に踏み込む。
レッドギャバン「うわっ!」
宗太郎は後ろへ下がる。
そこへ――。
ブルーギャバン「俺の鍛えた技を見ろ!!」
真司がレーザーブレードを構える。
青いエネルギーが刃に集まっていく。
ブゥゥゥン……!!
校庭の空気が震える。
遠くで見ていたひかりが気づく。
ひかり「宗太郎くん……危ない!」
真司は叫ぶ。
ブルーギャバン「ギャバン・ブルーフラッシュ!!」
次の瞬間――。
青い閃光が走った。
ズバァァァン!!
宗太郎は防御する。
しかし。
その威力は想像以上だった。
レッドギャバン「ぐぅっ!!」
宗太郎の身体が大きく吹き飛ばされる。
ドォン!!
校庭の地面に転がる。
ひかり「宗太郎くん!!」
ひかりが思わず叫ぶ。
宗太郎はゆっくり立ち上がる。
レッドギャバン「はぁ……はぁ……。」
自分の腕を見る。
レッドギャバン「なんだ……今の威力……。」
真司はレーザーブレードを下ろす。
ブルーギャバン「……。」
宗太郎は真司を見る。
レッドギャバン「川玉くん……あの技は……。」
真司は静かに答える。
ブルーギャバン「これは……。」
青いレーザーブレードを見つめる。
ブルーギャバン「ギャバン……。」
一瞬、間を置く。
ブルーギャバン「そしてシャリバンと並ぶ宇宙刑事シャイダーの必殺技。」
レッドギャバン「シャイダー……。」
真司は続ける。
ブルーギャバン「シャイダー・ブルーフラッシュ。」
ブルーギャバン「それを俺自身の戦い方に合わせて改良した技。」
ブルーギャバン「ギャバン・ブルーフラッシュだ。」
※「シャイダー・ブルーフラッシュ」は宇宙刑事シャイダーの必殺技。レーザーブレードにエネルギーを込めて放つ技として知られている。
宗太郎は驚いた顔で真司を見る。
レッドギャバン「自分で必殺技を作ったのか……。」
ブルーギャバン「そうだ。」
真司の声が少し低くなる。
ブルーギャバン「俺は、誰かに守ってもらうだけの存在ではいたくなかった。」
ブルーギャバン「だから鍛えた。」
ブルーギャバン「失ったものを取り戻すために。」
宗太郎は黙って聞いている。
真司はレーザーブレードを構え直す。
ブルーギャバン「だが……。」
ブルーギャバン「それだけでは足りなかった。」
レッドギャバン「……。」
ブルーギャバン「力だけでは、ギャバンにはなれない。」
真司は宗太郎を見る。
ブルーギャバン「昨日のお前の言葉を聞いて、分かった。」
レッドギャバン「え?」
ブルーギャバン「仲間を守るために戦う心。」
ブルーギャバン「それが、お前にはある。」
宗太郎は少し驚く。
レッドギャバン「川玉くん……。」
しかし真司はすぐに視線をそらす。
ブルーギャバン「……まだ認めたわけではない。」
レッドギャバン「またそれ言うんだ。」
遠くで見ていたひかりが笑う。
ひかり「やっぱり真司くん、素直じゃないね♪」
ブルーギャバン「聞こえているぞ。」
校庭に、少しだけ温かい空気が流れる。
すると
レッドギャバン「……川玉くん。」
ブルーギャバン「なんだ。」
宗太郎は少し迷う。
でも。
今、聞かなければいけない気がした。
レッドギャバン「おい。」
ブルーギャバン「?」
レッドギャバン「俺は……お前の過去を知らない。」
真司は黙る。
レッドギャバン「ギャバンへの恨みとか……家族のこととか……。」
宗太郎は拳を握る。
レッドギャバン「正直、俺にはまだ分からない。」
ブルーギャバン「……。」
レッドギャバン「でも。」
宗太郎は真司をまっすぐ見る。
レッドギャバン「お前が一人でずっと苦しんでいたことだけは分かる。」
真司の目が少し揺れる。
レッドギャバン「だから言え。」
ブルーギャバン「……。」
レッドギャバン「お前の過去。」
沈黙。
風が校庭を吹き抜ける。
真司はしばらく何も言わなかった。
やがて。
小さな声で呟く。
ブルーギャバン「……言っていいのか?」
宗太郎は即答する。
レッドギャバン「言っていいに決まってんだろ!」
真司は少し驚く。
宗太郎は続ける。
レッドギャバン「だって俺たち、同じギャバンだろ?」
ブルーギャバン「……。」
レッドギャバン「昨日、俺が一人で戦えたのも、お前とひかりがいたからだ。」
レッドギャバン「だったら今度は俺が、お前の話を聞く番だ。」
真司は俯く。
そして――。
小さく息を吐いた。
ブルーギャバン「……そうか。」
真司はゆっくりと顔を上げる。
ブルーギャバン「なら……言う。」
レッドギャバン「……。」
ブルーギャバン「俺が、なぜギャバンになりたかったのか。」
青い光が少し揺らめく。
そして――。
真司の記憶が蘇る。
――回想――
――幼い頃・川玉家――
まだ小さかった真司。
その頃の彼は、普通の少年だった。
正義のヒーローに憧れ。
宇宙刑事ギャバンの活躍をテレビで見ていた。
幼い真司「すごい……。」
画面の中で戦うギャバン。
どんな敵にも立ち向かう姿。
誰かを守る姿。
幼い真司は目を輝かせていた。
幼い真司「僕も……いつかギャバンみたいになりたい。」
しかし――。
ある日。
その日常は突然壊れた。
宇宙犯罪組織マクーによる事件。
街を襲う怪しい影。
逃げ惑う人々。
幼い真司は何もできなかった。
幼い真司「父さん……!」
幼い真司「母さん……!」
助けを呼んだ。
必死に願った。
幼い真司「ギャバン……来てよ……!」
しかし――。
間に合わなかった。
その経験は、幼い真司の心に深く残った。
――現在・回想の中――
成長した真司。
彼は訓練を始めた。
もう二度と。
誰かを失いたくない。
そう思ったから。
真司「俺がギャバンになる。」
真司「俺なら……誰かを守れる。」
しかし。
同時に別の感情もあった。
怒り。
悔しさ。
過去への想い。
真司「なぜ……あの時助けられなかった。」
真司「なぜ……。」
――校庭・現在――
宗太郎は静かに聞いていた。
ブルーギャバンは続ける。
ブルーギャバン「俺は……ギャバンを憎んでいた。」
宗太郎は驚かない。
ただ聞く。
ブルーギャバン「でも……同時に憧れていた。」
ブルーギャバン「矛盾しているだろ。」
宗太郎は首を横に振る。
レッドギャバン「そんなことない。」
真司を見る。
レッドギャバン「だって、それだけギャバンって存在が大きかったってことだろ。」
真司は黙る。
ブルーギャバン「……。」
レッドギャバン「川玉くん。」
宗太郎は笑う。
レッドギャバン「お前はギャバンを恨んでいたんじゃない。」
レッドギャバン「本当は、ギャバンみたいに誰かを救いたかったんじゃないのか?」
真司の目が見開かれる。
その言葉は。
ずっと自分でも認められなかった気持ちだった。
ブルーギャバン「……。」
しばらくして。
真司は小さく笑う。
ブルーギャバン「……お前は、本当に不器用だな。」
レッドギャバン「え?」
ブルーギャバン「自分のことも分かっていないのに、他人のことばかり考える。」
宗太郎は苦笑いする。
レッドギャバン「それ、よく言われる。」
真司はレーザーブレードを見る。
ブルーギャバン「……宗太郎。」
レッドギャバン「ん?」
ブルーギャバン「俺はまだ、過去を完全に乗り越えたわけじゃない。」
レッドギャバン「……。」
ブルーギャバン「だが。」
真司は宗太郎を見る。
ブルーギャバン「少しだけ……前に進めた気がする。」
宗太郎は笑う。
レッドギャバン「じゃあ、それでいいじゃん。」
ブルーギャバン「……。」
レッドギャバン「ギャバンって、完璧な人じゃないとダメなんじゃない。」
レッドギャバン「悩んでも、迷っても、それでも誰かを守ろうとする人がギャバンなんだと思う。」
真司はその言葉を静かに受け止める。
やがて――。
青いコンバットスーツの中で。
初めて少しだけ笑った。
ブルーギャバン「……なるほどな。」
その瞬間。
赤と青。
青い光と赤い光が交差する。
ブルーギャバンとレッドギャバン。
二人の戦いを、少し離れた場所からひかりが見守っていた。
しかし――。
これは勝ち負けを決める戦いではない。
真司が抱えてきた過去。
その心の闇。
それを宗太郎がどう受け止めるのか。
それを確かめるための戦いだった。
ブルーギャバンはレーザーブレードを構える。
ブルーギャバン「……。」
宗太郎はそんな真司を見つめる。
そして。
強く拳を握った。
レッドギャバン「だったらさ……。」
ブルーギャバンが見る。
ブルーギャバン「?」
宗太郎は一歩踏み出す。
レッドギャバン「俺が!!」
その瞬間。
レッドギャバンの身体が赤い光に包まれる。
ブゥゥゥン……!!
宗太郎は地面を蹴った。
高く。
高く。
空へ舞い上がる。
ひかり「えっ!?」
ひかりは驚いて空を見る。
ひかり「宗太郎くん……飛んだ!?」
レッドギャバンは空中で身体を回転させる。
赤い光がレーザーブレードに集まっていく。
レッドギャバン「お前の過去の闇を……!」
レッドギャバン「俺が砕く!!」
そして――。
急降下。
レッドギャバン「うおおおお!!」
ズドォォォン!!
赤い一撃がブルーギャバンを直撃する。
ブルーギャバン「ぐっ……!!」
真司の身体が大きく吹き飛ぶ。
ドォン!!
校庭の地面を滑る。
ひかりは思わず叫ぶ。
ひかり「……すごい!」
ひかり「宗太郎くん……昨日まで初心者だったのに……!」
レッドギャバンは着地する。
しかし。
その表情は勝ち誇ったものではなかった。
真剣だった。
レッドギャバン「川玉くん……。」
ブルーギャバンはゆっくり立ち上がる。
そして。
小さく呟く。
ブルーギャバン「……この技は。」
宗太郎を見る。
ブルーギャバン「まさか……。」
ブルーギャバン「ギャバン・サイクロン……!」
レッドギャバンは驚く。
レッドギャバン「知ってるの!?」
ブルーギャバンはレーザーブレードを下ろす。
ブルーギャバン「いや……完全に同じ技ではない。」
レッドギャバン「え?」
ブルーギャバン「だが、動き……力の流れ……。」
ブルーギャバン「過去の宇宙刑事の戦闘データにあった技に近い。」
真司は宗太郎を見る。
ブルーギャバン「なぜ、こんな技を使える。」
宗太郎は少し照れながら答える。
レッドギャバン「実は……。」
少し間を置く。
レッドギャバン「昨日の夜、特訓してたんだ。」
ひかりが驚く。
ひかり「え!?」
レッドギャバン「俺、このままじゃ強くなれないと思ったから。」
宗太郎は拳を見る。
レッドギャバン「川玉くんみたいに強い技もない。」
レッドギャバン「凶太郎には勝てない。」
レッドギャバン「だから……。」
宗太郎は笑う。
レッドギャバン「俺にできることを探した。」
真司は黙って聞いている。
レッドギャバン「それで、過去のギャバンのデータを調べたんだ。」
ブルーギャバン「……。」
レッドギャバン「そしたら、この技があった。」
宗太郎はレーザーブレードを見る。
レッドギャバン「だから参考にして、何度も練習した。」
真司は少し驚いた。
昨日まで。
戦い方も知らなかった少年。
なのに。
自分に足りないものを理解して。
必死に努力していた。
ブルーギャバンは静かに言う。
ブルーギャバン「……お前。」
レッドギャバン「ん?」
ブルーギャバン「怖くなかったのか。」
宗太郎は少し考える。
レッドギャバン「怖かったよ。」
即答だった。
ブルーギャバン「……。」
レッドギャバン「今でも怖い。」
レッドギャバン「また負けるかもしれない。」
レッドギャバン「誰かを守れないかもしれない。」
でも――。
宗太郎は真司を見る。
レッドギャバン「それでも。」
レッドギャバン「怖いままでも、前に進むしかないと思った。」
真司は黙る。
その言葉。
それは昔の自分が欲しかったものだった。
力ではない。
完璧さでもない。
恐怖を抱えながら進む勇気。
ひかりは笑顔で見つめる。
ひかり「やっぱり宗太郎くんはすごいよ。」
レッドギャバン「え?」
ひかり「だって、強い技を使えるからじゃない。」
ひかり「誰かのために頑張れるから。」
ブルーギャバンは静かにレーザーブレードを消す。
ブルーギャバン「……宗太郎。」
レッドギャバン「?」
ブルーギャバン「お前は……少し変わっているな。」
宗太郎は笑う。
レッドギャバン「それ、褒めてる?」
ブルーギャバン「……さあな。」
でも。
その声には、昨日までの冷たさはなかった。
青いギャバンの心の闇に。
少しだけ光が差し始めていた。
コメント
7件
おお、第5話で真司くんの過去がついに明かされた……! ギャバンに憧れつつも憎んでたって、その矛盾を抱えて「ギャバン・ブルーフラッシュ」まで自作してたのか。かっこよすぎる。宗太郎の「ギャバン・サイクロン」の一撃も痺れたけど、それ以上に「怖いままでも前に進む」って言葉が刺さった。二人の絆が少しずつ固まってくの、熱いな。