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恋愛短編集
始まり~
ーー性別ーー
『ねぇ、このワンピース着て〜』
「え、まだ続けるの?」
『そりゃそうじゃん』
先程から長々と続く家庭内での
ファッションショー
うちは両親共に家に居ることが少ない
だから兄と僕の2人だけ
服を買ってくるのは兄だが
毎度毎度女の子が着るような服ばかり
「ねぇ、もうやめよ…?」
そう言える訳がない
兄は実際この時間だけ楽しそうに
ニコニコとしている
そんな兄を見ていると
言葉が喉につまる
『ねぇ、こんな可愛い服着てると』
『男の子か女の子か分からないね♡』
「ぼ、僕は男だよおにぃちゃん」
『そうだね〜♡』
そう言いながら男にしては長い
僕の 髪をクシでとかした
『女の子みたい♡』
「そ、そうだね」
幼少期から女の子として育てた
男にしては低い背丈や細い手足
大きい目に声変わりしても少し高い声
足を閉じたり笑う時手で口を隠す仕草
男か女か分からない曖昧な弟
両親も俺もそう育てた
同類なんだ家族共に
「……?」
あーあ、罪悪感
男物の服は制服だけ
間違っていると分かりながらも
何も言わずに此方に付き合ってくれる
『…俺間違ってるかなぁ』
聞こえないように小さく呟いた
今も昔もずっと感じている
俺のモヤモヤとした心
「どうしたの?」
『ん?何も無いよ大丈夫』
自分は男だという意思が強い心と
可愛げがある姿をした女らしい身体
『本当に…お前は男なのか?』
ーー性別ーー
また次の話で
なう(2025/09/25 17:52:00)